向井の庄の三将!
最近、五十川くんは柳谷に野菜を運ぶのに護衛として付き添っている。二人の子分、ケンくんとリョウくんが野菜を担いで行く。ケンくんとリョウくんは例の100キロの二人ね。
三日に一回ぐらいの割で出掛けているんだ。五十川くん達は向井の庄に住んでいるんで、夕方に帰って来ればいいからね。
向井の庄の外側の見廻りと訓練を兼ねているんだって。
「俺たちは、こっちの世界にホネを埋める覚悟なんで、少しでも馴染んでおかないといけないと思いまして」
実は、五十川くんたち、プラスチックで甲冑を作っている。
最近は、ネット通販で手作りキットを買えるんだって。五十川くんは標準体型なので既に完成。ケンくんとリョウくんの胴廻りがサイズがなくて自作しているけど、手足に付ける部分は完成している。
もともと押出しの効く三人だから甲冑を着ると結構迫力だ。そして意外と器用だ。
「何言ってるんスカ、バイクやクルマの工作、オレら自分でやってたんすよ」
「あ!そうなんだ。あのクルマに描かれた絵とかも?」
「アレはリョウですね。コイツこの顔で可愛い子描くの得意なんすよ」
「顔は関係ねーべ!」
彼らは自分の分が出来ると犬川一党の鎧も作ってあげるんだそうだ。
犬川一党が柳谷を襲おうとしたように、向井の庄の外側は治外法権の世界だ。用心するに越した事はない。コボルドやゴブリンに限らず、山賊だっている。普通にクマやイノシシ、オオカミもいるしね。
五十川くんたちの甲冑も半分は真面目な動機からきているんだよ。イノシシ辺りなら、プラスチックでも充分役に立つものね。
それから、五十川くん達や犬川一党は六尺棒を支給してある。網が飛び出す防犯グッズも常備してあるよ。
すっかり覚悟を決めた五十川くん達の様子を見て、カッちゃんと相談した。
「ねえ、カッちゃん。五十川くん達なんだけど、更正したって思うんだけど」
「そうだなあ。まあ、もう悪さはしそうにないな」
そして、ジイちゃんの了承を得て、三人を黒鎌城の足軽大将として登録する事にした。
いつも関所にいる三人を黒鎌城に呼び出した。いつもと違う空気を三人も感じているようで、神妙にしている。周りをカッちゃん、ジイちゃん、ケンじーちゃんに囲まれていたら、神妙にもなるか。
「三人を呼び出したのは、聞きたい事があるからなんだ」
「は、はい!」
何かやらかしたのかとソワソワしてる三人。
「これから、この庄は大きくなって行く。そのうち、他の勢力とぶつかる事もあるだろう。三人に聞く。この庄を守り抜く覚悟はあるかい?」
ハッとした顔をした三人だけど、すぐに返事を返してくれた。
「よし。それじゃあ、三人を足軽大将とする。ここの治安は三人に任せたからね」
そう言って、三人を登録した。三人も城の権限に気が付いた様だ。お城の防衛施設は自由に転移できる事になる。
「うぉぉぉぉ!やるぜ!オレはやるぜ!」
大声を上げる三人を犬川一党が取り囲んで一緒に吠えていた。
そうそう、九兵衛さんの息子さんの三吉くんとはずいぶんと仲良くなったみたいで、三吉くんがこっちに来た時には関所に泊まっているよ。
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九兵衛さんから行商人が来たと知らせがあったのは、柳谷に行って話を聞いてから半月後だった。
柳谷に泊まってもらっているとの事で、三吉くんが知らせに来てくれた。
「五十川様〜!弥助さんが来ましたよ〜!」
三吉くんは日の登らないうちに出発してくれたそうで、9時には向井の庄に着いた。それでも、こっちから歩いて行くと、柳谷に泊まらないといけなくなる。
明日訪問することにして、今日はシロくんにお土産の缶詰を持たせて三吉くんを送ってもらうことにした。
「じゃあ、明日はジンちゃんと、山井くんにも来てもらおうか?」
「いや、山井はまだ早いでしょう。いや、山井が問題なんじゃない。九兵衛さんのところに大勢で詰め掛けても入る場所がないんだよ」
オレの提案をジンちゃんが即座に否定したので、山井くんが落ち込んでた。すかさずジンちゃんはフォローしていたけどね。
「ハイハイ!若!俺たちは、家の外で護衛しているから一緒に行っていいだろ?」
五十川くんが手を挙げてる。
「まあ、いいだろう。関所はカッちゃんに任せて、三人でついて来い」
「お!ジンさん、ハナシ分かるねぇ」
そんな感じで、翌日にオレ、ジンちゃん、五十川くん達の5人で柳谷に向かった。




