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柳谷へお手紙出すよ

「はぁ………」


 ジイちゃんに怒られて、黄昏たそがれている向井達夫30歳です。


「まあまあ、親方も基本方針は認めてくれたんだしさ、数字はこれからで大丈夫だから」


 ジンちゃんが慰めてくれるけど、オレとしては、数字が必要だって事をスッカリ忘れていた事に落ち込んでいるんだよ。


「とりあえず、九兵衛さんのところに行ってみたら?どんな援助ができるのかもわかっていないんだし」

「そうだね。先ずは実態調査から始めよう!」


 九兵衛さんの集落は向井の庄から尾根一つ超えた西にある。多摩川の上流だね。いきなり訪れるとまたびっくりさせちゃうので、先ぶれとしてコボルドの一人に行ってもらう事にした。彼らは足が速いから明後日には返事をもらって帰ってくるハズ。


 サラサラと書簡を筆ペンで書き付ける。当然ジンちゃんが、だよ。オレはまだ練習中。一応、サインだけは出来るようになったよ。花押かおうっていうんだってさ。


 サインだけは自分でした書簡をジンちゃんに包んで貰い、お使いをしてもらうために関所へと転移した。


「オラァ!サボってるんじゃねーぞ!」

「「「ウィィース!」」」


 お!やってるやってる。


 カッちゃんに追われて走り込みしているのは、例の五十川いそかわ大悟だいごくんとその子分の二人。

 一応、黒鎌造園で引き取る事で手打ちとなったのだけど、手打ちが通じる勢力だけじゃ無いんだよね。 もともと五十川くんのトコ自体がそう言う集団だったし。で、五十川くん達と相談したら、彼らはもともとが天涯孤独の身の上で、お互い同士しか頼りもいないし、ゲートをくぐればすぐ日本に帰ることが出来るし、って事で、そんなに長く考えずにうなずいてくれたんだ。


 黒鎌造園で引き取ってから、カッちゃんが親身になって世話を焼いてあげたのも良かったみたいだ。今では、カッちゃんの事を「オヤジ」って呼んで慕っている。たまにぶっ飛ばされて宙を飛んでいるけどね。


 そうそう、五十川くん達の姿が見えなくなったので、タコ部屋送りにされて、山に埋められたって噂が立ったのも、付け加えておくね。


「おーい!カッちゃん!お使いを頼みたいんだけど!」

「お使いってのは初めてだな。どこへ?」

「九兵衛さんの所に話を聞きに行こうかと思ってさ、行ってもいいかお伺いの使者を出そうと思って」

「お、タッちゃんにしては手順を踏んでいるな。ジンちゃんにでも言われたかい?」


 もう、何かと準備がいいとジンちゃんの手助けだと思われているな。間違ってはいないんだけどね。


「おーい、シロ!ひとっ走り、柳谷まで行ってくれ。ちゃんと缶詰もらってから行けよ」


 ん?


「カッちゃん、缶詰って?」

「ああ、柳谷まで行くとなると行き帰りで二日はかかるだろ?その分の弁当代わりさ」


 柳谷とは食糧の物々交換でなんども行き来している。その経験から柳谷への行き帰りに缶詰を持っていく様になったんだって。


 うーん。あともう少しで何か思いつきそうなんだけどな。


 とりあえず、シロくんに手紙を渡して訪問日を聞いてくる様に頼む。


「若殿様直々のご依頼、一身に替えても果たしてきますぞ!」


 そう言うとシロくんは張り切って駆けて行った。


「あ!そういえば、柳谷と電話を引いたり出来ないのかな?」

「うーん。そこはどうかなぁ。結構ケーブルにお金かかるからな」

「そうか、そういえば、異世界と日本のバランスも考えないとね。今の所、日本からの持ち出し超過だし」

「それもなぁ。こっちの世界から向こうへ持っていけるものってのも無いしなぁ」


 カッちゃんと二人で考え込んでいると、五十川くんから提案があった。


「若!オヤジ!一つあるぜ!」

「おう、ロクな予感がしないが、言ってみろ」

「そんなスゲー話じゃねえさ。こっちの世界で鍛えりゃそれなりに強くなれるだろう?」

「まあな。一回ゲートをくぐればスキルが使える様になるしな。あとは努力次第だが」

「でも、スキル使いを増やせないから悩んでいるんだけど」


 そこで五十川くんはニヤリと笑って言った。


「そこですよ。若!」

「どういう事?」

「スキル使いが増やせないのは、日本っていうか向こうの世界にバレるのが不味いんですよね?」

「まあな。せめてバレても対抗出来る様になっとかんとな」

「いやいや、オヤジ。バレなきゃいいだけでしょ?」

「だから、バレねー様にするのが難しいんじゃねーか」

「オレがコッチに来たのバレてます?」

「ん?」

「オレら、こっちに来てから向こうに帰っていないじゃ無いですか。捜索願が出る様な身分じゃねーし」

「あ!」


 一応、五十川くん達は、黒鎌造園で雇われている事になっていて、書類上はチャンとしているんだけどね。

 五十川くん曰く、捜索願が出ない様な形で向井の庄に移住してもらってはどうかと。


「コッチに住む事を納得してもらって、たまに日本に行ってはスキル使った仕事して、コッチに帰って来る。そう言う奴らを増やしてもいいんじゃ無いっすか?」


 スキル使いの派遣業みたいなものか。

 うーん。ジンちゃんと相談してみよう。



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