最近テレビをみましたか?
向井達夫30歳、ただいまテレビに出演しています。
テレビといっても、地元のケーブルテレビなんだけどね。小さなテレビ局と言えど、だだの無職のオッサンがテレビに呼ばれる訳がない。
ミワちゃんの生徒さん、プチリップスとの絡みで出演する事になったんだ。オレのアシスタントとして、つぎつぎに女の子達が登場するって訳。
はじめに成功シーン、次にネタバレを含めた練習シーンを流して、最後にネタバレしたネタ部分を女の子に防がせておいてマジックを成功させるって流れ。
見た人は、もう一つネタがあると思っていろいろ推理してくれる。
女の子達の表情と相まって、人気が出た。今では週に一回のレギュラーコーナーになっている。結構視聴率が出て、DVDとBDの発売も決定したんだって。
「いやあ、向井さん。こんなテレビ局からDVD発売なんて信じられないですよ」
テレビ局のプロデューサーをやっている富樫さんが、感激している。
「いやいや、皆さんのお力ですよ。僕はあり物のマジックをしているだけですからね」
「なにいってるんですか!あり物を使ってますけど、2度目のマジックはオリジナルでしょう!あれを見破るって言うんでBDを買っていく人も多いらしいですよ!」
「いやあ、そこはメシのタネなんでカンベンして下さいよ」
「またまた、御曹子のクセに〜!」
「「アハハハ!」」
ちなみにメシのタネから御曹子の流れは番組でも使っているテンプレのやりとり。なんでも天丼て言うんだって。オレが向井家だって事が通じるローカルならではのギャグだね。
この番組、ネットにも流出して、話題になっているみたい。このコーナーを俺が金を出して作らせているってウワサもあるらしい。
そこまでお金持っている訳じゃ無いからね!
お坊ちゃんキャラを守るためにわざとぼかした言い方をする方向でやってるけどね。真面目に聞かれた場合にはちゃんと否定してますよ?
そのままだと「シネ!リア充!」って流れになるんだろうけど、ネットで話題になったタイミングでオレも喋らせてもらえる事になったんだ。番組ではずっと無言でマジックしていたんだよ。
そして、なぜかアホキャラ扱いに。
「なんでさ〜?」
「え〜?タッちゃん先生はしゃべるとアホがバレるから喋らせないでって、頼まれていたんですよ!」
「え?ホントに!」
きっと、ジンちゃんが手を回したんだろうと思ってリアクションしてしまった。
バレたって表情が大写しになって、すっかりアホキャラが定着してしまった。
そのお陰でアイドルのファンからも親しみを込めて声を掛けてもらえるようになりました……。
…………………
「ザンネン御曹子、黙っていれば御曹子の向井達夫です」
「もう、このキャラが定着してきちゃって大変なんですけど!」
お客さんの笑い声。
「あー!タッちゃんは黙ってないと!」
「そうそう、黙っていれば御曹子なんだから!」
最近は、地元のイベントでもプチリップスとの絡みが増えて、この流れで始める事も多くなってきました。
少しずつマジシャンとして呼ばれる機会が増えてきたんだけど、地元ではアシスタントはミワちゃんに頼んでます。やっぱり一番やり易いんだよね。他の人だと取りに動かないといけないのだけど、ミワちゃんだと自然と手の中に収まる。
「やっぱり、タッちゃん先生のパートナーはミワちゃん先生だよね〜」
プチリップスの子達もオレたちの動きを見てそう言ってくれる。
「バカなこと言ってないで、自分たちの動きの参考にしなさいよ?ミッタンとリヤの連携もこれぐらいできたら……」
「あー、やぶ蛇だったー!」
援護射撃してくれたけど、返り討ちにあってしまった彼女達には後でアイスを奢ってあげよう。
…………………………
黒鎌城に行ったら、山井くんが来ていた。
「いやあ、向井さん、ここまで上手くカムフラージュできるとは思ってませんでしたよ!」
「山井くん?にやけているのは何故かな?」
「もちろん、作戦が上手く行って嬉しいからですよ!」
「オレのアホキャラを楽しんでいるんじゃないのかな?」
「いやだなぁ!そんなワケないじゃないですか!」
「最近、オレ、嘘か本当かを鑑定できるようになったの知ってる?」
「え!ウソ!」
「やっぱり、ウソだったんだな!」
「あ!ズルい!」
オレと山井くんがじゃれているとケンじーちゃんがやってきた。
「山井くん、達夫ちゃんの引っ掛けに引っかかるとは……。もう少しニンジャスキルを鍛えた方がいいな……」
「え!いや!師匠!向井さん!助けてー!」
ケンじーちゃんは、山井くんにどんな練習をさせているんだろうか?あまり詳細は知りたくないなー。




