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ここに関所を建てよう

 のんびり道を歩いて行く。

 鬱蒼と繁った森だけど、近頃陽気が良くなってきたのか木漏れ日が結構あって明るい雰囲気だ。

 ときどき、ぽっかりと開けた場所がある。


「ここは昔、湿地だったところだろうな。今でも雨が多いと水が溜まるんだろう」


 カッちゃんが、周りを見回して教えてくれる。


「ふーん。じゃあ、田んぼにするといいかもね」

「そうだな。ここを発展させるには先ずは食い物からそろえないといけないからな」

「食いしん坊のカッちゃんらしい順番だね」

「なんの!食は生活の基本だからな!」

「じゃあ、大豆も育てたいね」

「豆類は色々育てたいな。芋も忘れずに」

「葉物はどうする?」

「うーん。小松菜あたりから様子を見るかな」


 オレとカッちゃんは育てたい作物を交互に上げ、検討する。


「畑と田んぼ、後は加工業も必要なのかな?」

「後で、都市計画を建てたいね。ジンちゃんどう思う?」

「日本だと造成しているから、ここら辺は今の地形図じゃダメだ。造成前の地形図を探しておこう」


 ジンちゃんは、なにやらメモを取りながら歩いてる。


「ジンちゃん!舗装されてないから、危ないよ!」


 歩きスマホはダメなんです!


「む!じゃあ、ボイスレコーダーにしておこう」


 今度は、ブツブツつぶやきながら歩いてる。端から見たら危ないおじさんだ。日本でやったら通報されるかもよ。


「そういえば、ここで作物を作ったら、税金はどうするんだろう?」

「そうか、小説じゃあ税金の処理なんて書かれないもんね」

「ここは、日本の領土じゃないから税金も発生しないんじゃないの?」

「うーん。日本人が海外で働いたって場合と同じ処理になると思うんだけどな。住民税は日本へ、所得税は現地へってなる。だけどこの土地は、まだ政府には秘密にしているしなぁ」


 ジンちゃんとカッちゃんが考え込む。


「あ、カッちゃん。もし、造園の社員を使ったら給与所得だから税金変わらないからね」

「うーん。公海上で漁をする場合と同じに考えればいいのか?そうか、ここの生産物を市場に出した時に税金が発生すると考えればいいのか」

「生産物に関してはそう処理するしか無いか。基本は地産地消でいくのがいいだろうけど」

「そうだな。作物ができてから悩もう!」

「いや、それはカンベンして!」

「まあ、秘密の土地なんだから収入も秘密!こっちの収益はこっちで使おう!」

「うん、確かにそうだな。植民地にしないようにしよう」


 なんだか、ジンちゃんは深いことを考えていそうだけど、いつものことなので放っておいた。異世界なんて現行の法律で扱えないんだから、無税で良いじゃんね?


 道は真っ直ぐではなく、土地に合わせてグネグネと曲がっている。一本道だし、土地勘が働くから迷うことはないけど。


「あ、川だ!」


 小高い丘を越えた所で川に出た。丘の向こう側だったので川の音に気が付かなかったんだね。


「じゃあ、ここからは川沿いに進むのか」


 道は川まで降りておらず、見下ろすように続いている。


「もっと、川沿いに道を引いたつもりだったけど、増水しても大丈夫な場所に道ができているな」


 ジンちゃんが魔道具の地図を出して、周囲と見比べている。


「まあ、この地図もざっくりなイラストマップだからね」

「発端の魔法使いがざっくりな性格なのと関係あるのかな?」

「いやぁ、それほどでもぅ」

「僕はイヤミを言ったつもりだったんだが」

「ジンちゃん、タッちゃんに高度な会話は無理なんだよ!

「そうそう、ハッキリ言ってもらわないと!」

「結構、ハッキリ言ったつもりだったんだけどなぁ」


 天気もいいし、道も川沿いでなだらかな一本道。のんびりと歩いていたつもりなんだけど、結構早めに歩いていたみたいだ。思っていたよりも早めに谷の入り口に着いた。


 篠目谷ささめだには結構狭くなっている場所で、短めの渓谷と言った方がいい。谷の手前は広い河原なんだけど、左右から山裾が迫っていて河原に落ち込んでいて急に狭くなる。10メートルも進めばまた広くなり、その先は多摩川へと合流するんだけど。日本では尾根が山ごと削られていて、谷があった事も分からなくなっている。

 昔から、黒鎌党の勢力はここまでなんだ。


「そうだな。関所は谷が眺められる、あそこら辺がいいだろう」


 カッちゃんが指したのは、ちょっと戻った地点。小さな沢と川の合流している所。


「いざという時、沢と川が堀の役目をしてくれるし、後ろに山が迫っているから見張り台も作りやすい」

「うん。関所と谷の間が結構あるから、お茶屋みたいな待合の設備を建ててもいいかもしれない」

「そうすると、あそこらへんに荷止めの広場を作るか」

「庄の内側にも倉庫が欲しいね」


 ジンちゃんとカッちゃんの話を聞いていると、流通センターみたいな事まで考えているみたいだ。


「その前に、商売相手がいるのかわかっているの?」

「「あ!」」


 ジンちゃんとカッちゃんが顔を見合わせた。二人とも先走り過ぎだ。


「じゃあ、ここに関所を作るよ」


 ジンちゃんが、魔法の地図を開いて操作する。

 すると、半透明の門が浮かび上がって来た。


「なるほど!こいつはいいや!ジンちゃん、オレが指示するからそこに置いてくれ」


 カッちゃんがクレーン操作の時みたいに指示を出す。


「よーし!OK!」


 カッちゃんの声がかかると、ジンちゃんが腕を振り下ろす。

 半透明だった門がゆっくりと濃くなり、やがて実体化した。門と言ってもそれ程大きなものではない。

 鳥居に扉が着いたような感じだ。ここから関所の施設を作っていくらしい。



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