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黒鎌党 その1

今回は向井家の説明回。

多分飛ばしても問題無いはず。


この物語は30童貞のおっさんが日本と異世界を行きつ戻りつする物語です。

不定期更新なので、暖かい目でご支援ください。基本的褒められて成長するタイプです。

 母屋に戻ると、婦人会のおばちゃん達が来ていた。

 口々にお祝いをくれる。


「たっくん、今日は、お誕生会ね!おめでとう!」

「もう、誕生会って年でもないんですけどね。ありがとうございます」

「あんなに小さかったのに、立派に育って!」

「ありがとうございますありがとうございます」


 もう、毎年の事なんで、適当にあしらう。一昨々日の誕生日にも同じく祝ってもらったしね。

 おばちゃんたちも好き勝手にしゃべりまくっている。


「おばちゃん、オシメを替えてあげたのよ。覚えてる?」


 さすがにそれは覚えてません。

 コレが来たとなると次はアレかな?


「たっくんもそろそろお嫁さん貰わないとね〜」


 ハイ来ました、嫁取りバナシ。これが始まると、すぐに近所の年頃の娘さんの品評会になるんだよ。

 誰かが候補をあげると、他のおばちゃんがダメ出しするんだよね。

 おかげで、娘さん達の余計な知識まで知ってしまい、彼女達は恋愛対象にならなくなってしまう。

 おばちゃん達、恋愛は幻想から始まるのですよ。


 おしゃべりに付き合っていると、あっという間に時間が経っちゃう。


「こんにちわ!スタジオ使えますか?」


 ダンス講師のミワちゃんがやって来た。

 これ幸いと、おばちゃん達の輪から抜け出す。


「あ、はーい!お客さん来たから、またね〜」

「あー、ミワちゃんか。ミワちゃんもお茶飲飲まない?」

「あ!私は、教室の準備があるんで!」


 おばちゃん達がお茶に誘うけど、サクっと断るミワちゃん。

 彼女はこの町の出身で、オレの後輩。十代から東京でアイドルをやってた。

 おばちゃん達の情報によると、そこそこ売れていたんだけど、ブレイクまでは行かずに引退したらしい。

 テレビは見ないし、ネットもそんなにやらないから詳しく無いんだよね。

 彼女がアイドルやってたのも、大学で友達から教えて貰って知ったぐらいだし。

 今、彼女が教えている子のなかにはローカルアイドルってのもいるそうなんだけど、どの子なのかわからないし。

 なんか、聞きずらいじゃない?


「部屋はいつも通りにしてあるからね」

「ハイ!ありがとうございます」


 土蔵の扉は分厚くて重みで自然に閉じるので、お客さんがいる時はストッパーで開けっぱなしにする。

 この扉にダイヤル式のカギが付いているし、警備システムもあるので、開け閉めはオレかジイちゃんしかできないんだよね。

 あ、土蔵の扉は開け放しておくけど、防音の内扉が付いているんで、音は漏れないよ。


 扉を開けて、ミワちゃんを入れると母屋に帰る。帰る途中に生徒の子達が駆け込んで来る。


「こんにちわー!先生来てますかー?」

「ああ、もう準備してるよー」

「キャー!」


 女の子達が駆けて行く。なんか、仔犬の集団みたいだな。

 転ぶなよー。


 母屋に戻ると、スーツ姿のジンちゃんが待っていた。

 ジンちゃんは、本名を山室仁やまむろじんといい、市議会の議員。オレが中学生の頃、大学生だったジンちゃんが家庭教師だったんだ。


「ジンちゃん、早いね」

「まあ、黒鎌党の一番下っ端だからね。一番に来ないと」

「またまた、黒鎌党の参謀格が。まあ、今日は教え子だったタッちゃんが黒鎌党党首の襲名をする日だからな!」

「あ!カッちゃん。又、そういう事言って!」


 後ろから会話に入って来たカッちゃんは、鈴木すずき勝雄かつおっていうお魚みたいな名前。ウチが株主の土木造園業の社長さん。40代だけど、彼が高校生の頃からウチに出入りしているんで、年の離れた兄貴みたいなものなんだよね。


 彼らが、黒鎌党って言ってるのは、一種の冗談で、戦国時代に向井家が率いた一党にかけて、ウチの息がかかっている政治家とかをそう呼んでいるんだ。実際には色んな政党に所属しているので、黒鎌党って政党があるわけじゃないからね。


 縁側に腰掛けていると、挨拶の客がやって来る。黒鎌党の代議士は本人が。そうではないけども黒鎌党と仲の良い代議士は秘書が挨拶をしに来る。政治関連の人達は夜の宴会には出席出来ないんで昼の内に挨拶するんだ。


 あ、国会議員の秘書まで来た。


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