箱庭ゲームってやった事ある?
万が一、他にもこの世界に来ている魔法使いがいた場合、そして、その魔法使いが善良で無かった場合、向井の庄を開発していかないと、不味い事態になるようだ。
だが、どうやって開発するのか?
「タッちゃんの知識に何か手がかりはないかな?」
「ええと、うーん………ちょっと、待って。先ずはこのお城の機能に人員の登録っていうのがあるんで、みんなを登録しよう」
お城の管理者を任命する事により、いろいろな機能が使えるようになるらしい。役職の兼務は出来ないので、人が少ないとできる事が減る事になる。だけど、上位の役職はできる事が多く、ある程度は下位の役職と同じ事が出来るので、人員が少なくてもお城の維持はしていける。
黒鎌城の人員構成はこうなった。人員が少ないから任命も早い。
城主がオレ、向井達夫。
城代がジンちゃん。門番がカッちゃん。家宰がフミエさんで副城主に篤弘。
「なるほど、この城についての魔法が使えるようになるのか」
「ふむふむ。タッちゃんが思い出すように知識が増えるって言ってたが本当だな」
「お城の敷地内なら誰がどこにいるのかも感じるのね。ちょっと、不思議な感覚だわ」
このお城について使える魔法を確認していく。みんな、ゲートの開け閉めができる様になった。ジンちゃんやフミエさんはお城の中なら何が起こっているのか感じることができるらしい。カッちゃんは、転移ができる様になったんだって。
「門や柵なんかの近くだけどな。防衛用のスキルなんだろう」
ジンちゃんやカッちゃんは、お城の設備もある程度いじれるようになった。
「あ!初期状態でも柵や小屋が作れたんだ」
「うーん、でもこれなら今の方がよっぽどマシだな」
黒鎌城は、カッちゃんが手入れをしてくれて、プレハブ小屋とかアルミフェンスとか作られている。
魔法で作れる小屋は掘っ建て小屋だし、柵も竹か木を結び付けた貧弱な物しか作れない。
「ん?これは便利かも知れない」
ジンちゃんが何かいい魔法を見つけたようだ。
「絵図!」
机の上に地図が出てきたよ。
「ほー、こりゃ地図か」
「だだの地図じゃない。これは城主と城代だけが使える領地開発用の魔法の道具さ」
「ああ、城の外もこれでいじれるのか」
「そう、今のところは細い道を引くぐらいしか出来ないけどね」
「じゃあ、向井の庄の出口まで道を引いてみようよ。ジイちゃん達が帰ってきたらその道を使ってもらおう」
「じゃあ、城から向井川へ、そこから川沿いにこう引いて……、ん?篠目谷の手前までしか引けないな。結界の端までは引けないみたいだね」
ジンちゃんが、地図を操作して道を引いた。向井川っていうのは、北にある川のことね。前に天神山に行く時に行った川。城から川まで線を引いた後は、川沿いに線を引く。スマホみたいに指でなぞるだけで線が引かれていく。
さっそく、どんな道が出来たのかみんなで見にいこうとしたら、今度はカッちゃんが声を上げた。
「ん?道が出来たら、関所が作れるようだぞ。関所を作ってくれたら、門番はそこに転移できるらしい」
そう言われて、確認すると確かに関所の建設場所が指定できるようになっていた。
「じゃあ、道を確認しながら関所の建設地も探しに行こう」
地図の上だけではわからない事もあるからね。そもそも、そんな詳細な地図でもないし。オレ、ジンちゃん、カッちゃんで道を確認することにした。
「おお!道だ!」
外に出ると、確かに門から細い道が出来ていた。人一人がやっと通れるようなもので、道っていうよりは踏み跡っていう方が近い感じではあったけどね。フミエさんと篤弘は留守番だ。軽いハイキングみたいなものだけど、一応の支度をした。まあ、弁当と水筒、トランシーバーぐらいだ。カッちゃんはスコップを持って行くんだって。
「まあ、万が一のた為だ。なんか出てきたら、これでブン殴ってやるよ」
自動車を持ち上げられるカッちゃんにブン殴られたらただでは済まないだろうなぁ。
オレも攻撃魔法の練習をするべきかなぁ。今のところ、小石が飛ぶストーンバレットって魔法と、ジョロジョロと水が出てくるウォーターぐらいか。どっちも牽制にしかならないけどね。
留守番の二人は、門の前まで見送りに来てくれたよ。
「じゃあ、行ってくるね!」
「行ってらっしゃい!」
フミエさんと篤弘に見送られて、出発する俺たち。篠目谷までは一時間もあれば歩いて行ける。のんびりハイキング気分だな!




