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再降臨。(主人公がチキンです!何とかして下さい!)

主人公がチキンになる予定は無かった。


無かった!!!!


取り乱してる毎度のハカタです。

 千一卜、つまり俺は、図書館に居た。


「載ってないか。」


独り言を呟いても怒られないのは、周りに全く人が居ないからだ。この図書館、リンテル国の中でも、最も高い建造物であり、10階立てであり、真ん中が吹き抜けとなっているため、声の反響もしにくい。


 スキル、種族だけでなく、文化、風習、祭り等と言ったことも、ここでは調べる事ができる。文献資料によっては、時代錯誤的になる場合もあろうが。


 今、調べているのは、精霊について。


 その前に、俺がこの世界で仲間を増やすにはどうしたら良いかという問題が浮上したのだ。


 普通に仲間を作る。

 これは、結構辛い。チートについてバレたときの関係とかもややこしくなりそうだ。浅い関係ならまだしも、ずっと一緒にいて戦闘まで一緒にとなると、厳しい気がする。飽くまで主観だが。


 《テイム》のスキルで、魔物を仲間にする。

 これは良い案と言えば、良い案である。ただ、外見が気に入ってるような魔物がいないので、今のところ保留にしている。自分でいうのはアレだが、《テイム》を既に持っているのが、俺の抜かりないところだ。自画自賛はやめよう。


 奴隷を買う。

 これも、悪い案ではない。何より裏切りの心配が無い。問題は、こういう言い方は余りしたくないが、所謂不良品を掴まされる可能性があるということだ。何の反応も示さない奴隷や、1ヶ月で死ぬような病気に掛かっている奴隷までいるらしい。病気なら「状態」で分かるが、精神面まで《一隻眼》で分かるか不明なので、これも保留としている。


 それで、今現在、最後に出てきている案が、精霊と契約して貰うことだ。これにも、信頼関係が必要だから、保留と思ったんだが、天使フォークルから妙な言葉が出てきた。


「《精霊魔術》・・・?《精霊魔術》には、大別して2つある。」


「――もう一つの、精霊召喚及び契約の、精霊召喚にも2つある。」


「――純粋召喚(ピュア・サモン)は、単純に召喚できるだけ。」


「――強化召喚(リイン・サモン)は、精霊をある程度強化して召喚できる。」


強化召喚(リイン・サモン)は、精霊と同意の上が・・・好ましい。」


その後も、長ったらしい話が続いた。詳しい話を聞いて、一応《回想ログ》の『メモ帳』機能に記録しているが、良く分からない内容も多かった。


「精霊も、その契約者も、契約に反することはできない。」


奴隷と違うのは、2点。一点目は、完全に裏切りを防止することは不可能であろうこと。二点目は、確率的に言って、奴隷の不良品のような精霊に出会うことは滅多にないだろうということ。




 ・・・《テイマー》で良いかなって、ちょっと思ってきた今日この頃である。これだから人間は面倒くさいと言われるんだ。

 面倒臭いと言えば、フォークルが話してくれた話の中に、こんな物語があった。



 ハイエルフ、所謂エルフの神であったものがいた。名を、カルシィアと言った。彼女は戦を好まず、森に身を潜め、一族を繁栄させていった。

 精霊神メリアから、精霊と心を通わせる術、《精霊魔法》と《精霊魔術》を与えられ、より豊かな生活を営むようになる。


 それから数百年、森が暴かれ、エルフ達は、戦に巻き込まれることを余儀なくされた。カルシィアは、自身の魔力は宝の持ち腐れだと気付いたとき、絶望し、そして、苦肉の策として、《精霊魔術》を行使した。

 精霊神メリアの信頼を崩すような真似をしたくないという思いと、一族を守らねばならないという堅い意志がぶつかり合った結果であった。


 《精霊魔術》で、強化召喚(リイン・サモン)した精霊は、神精霊になっていた。その神精霊は、戦場を舞い、見事危機を退けた後、こう言ったそうだ。


「力あることに、感謝を。神たることに、嘆きを。」


力があり、契約者であるカルシィアの助力ができたことにとても嬉しく思う。ただ、同時に、メリア様と同じ立場に立ってしまった自分は、これからどうすればいいのだろうかと嘆いている。

 そんな意味の言葉らしい。



 面倒臭い。本当にそう思う。人ではなく、精霊までこうも面倒な生き物かと。もっと単純に生きられたら楽だというのに。俺も例に漏れる事がないあたり、人なんだけどな。



 その辺の神話的な何かも合わせて、事実確認をこの図書館でしているわけだ。

 また一冊、元の場所に本を戻し、次にタイトルがそれっぽい本を手に取る。


「精霊に関する資料そのものが少ないな。」


読みながら思う。精霊に関しては、推察なんかが異常に多い。

 ん?この記述は――


「そろそろ閉館の時間となっておりますので。」


唐突に声を掛けられ、流石に驚いた俺だが、本を落とすようなことも、椅子から落ちるようなことも無かった。


「申し訳無い。すぐに出ます。」


「はい。お願いします。」



 良いところで切り上げられてしまったが、良いところでも問題ない。裏は取れた。


「一つ、やってみるか。」


天使フォークルが言うには、召喚したら必ず契約する訳ではないらしいし、試しにやってみますかね。



 翌日、リンテル国、コルネヴァ近辺の森にて、俺が《精霊魔術》を行使していた。


「ていっ。」


適当に念じてみた。込める魔力量により、呼べる精霊の上限が変わるらしく、大体は魔道具や魔石などを利用した大規模なものになるという。ちなみに、精霊の上限が変わるというのは、そのままの意味で、下限は変わらないのである。後は、精霊との相性だ。


 1回目、不発。召喚できないときもあるのかよ。

 2回目、成功。なんか、メンヘラっぽかったんで帰ってもらった。

 3回目、不発。

 4回目、不発。

 5回目、不発。え、精霊と相性悪過ぎる?


 何回目か数えてなかったけど、木の精霊が出てきて、結構良い感じの奴っぽい。


「生まれてすぐだから、あまり役には立たないッスよ?」


ああ、そう言えば、忘れてるかも知れないが、精霊を仲間に入れるメリットはもう一つある。


「夜に警戒してくれるだけでも随分違うけどな。欲を言えば、倒してくれれば一番いいが。」


「それは無理ッスねー。」


それから数分話して、気は合うが、契約とか色々な部分で支障がでそうなことが多かったので、帰ってもらった。


「いい暇つぶしになったッスよー。」


そして、その次の純粋召喚(ピュア・サモン)にて。


「お、イースじゃん。」


「え・・・貴方は・・・。」


「なー。純粋召喚(ピュア・サモン)何回も試したんだが、不発が多かったんだが、どういうことだ?」


「え、えっと、飽くまで《転移魔術》などとやってることが同じですから、範囲内に精霊がいないと、可能性も減りますよ?・・・ってそうじゃなくて、何故貴方が――」


「その範囲ってどれぐらい?」


「・・・。・・・魔力量に比例しますよ?というか、私の話も少し聞いてください。」


「ふむ。そうなると、最後にかなりの魔力を込めたのが成功の要因か・・・?」


「・・・無視ですか、そうですか。」


「そもそも、なんで魔力量に応じて出てくる精霊の強さが変わるんだ・・・?」


うんうん唸っていると、超至近距離にイースの顔が現れる。


「うおいっ。何してんだ?」


「拗ねてるんです。」


可愛らしく拗ねてみせる。だが、777歳である。もう一度言おう。777歳である。


「何か?」


若干威圧感のある視線を投げかけてくるのは、気のせいではないだろう。女の勘とは恐ろしいのである。裁判になったら勝てるけどな。そこんところよろしく。

 一旦、その辺のところはおいておいて、今回の本題に移ろう。


「精霊契約したくて、相性の良い精霊を探してるんだが・・・。」


「なるほど。それで私に行き着いたと。・・・というか、《精霊魔術》持ってたんですか?」


「ん?いや、持ってはいたんだが、スキルレベルが全く上がってなかったんで、最近まで忘れてたんだ。」


「なるほど。」


よくもまあ、これだけ嘘が吐けるな、俺。イースに対する遠慮が無くなってきたとも言える。悪い意味なのか、良い意味なのかは分からないがな。


「私としては、契約しても構わない・・・というか、むしろ契約してほしいぐらいですが・・・。」


「ふぅむ。まあ、俺もイース相手なら気兼ねしないだろうし、契約内容を決めようか?」


やはり、一ヶ月一緒に居たお陰か、話もスムーズだ。断るにしても、すぐに断ってくるだろうし。イースの性格からして。


「契約内容は、互いを裏切らないことでどうだ?」


隠し事はあるが、イース相手なら良いかななんて思うし。


「別に、言いたくないことは、言わなくても構いませんよ?」


何故思考がバレたし。




 色々あって、出来る限りで、援助し合って、裏切る事の無いようにという契約内容になった。なんか、スローガンやら、政治家のマニフェストレベルに信憑性が無いんだが、大丈夫だろうか。


「それで?イースを視る事ができるのは、どういう人達なんだ?」


「そうですね・・・。まず、『特性』に『魔眼』、『炬眼』、『天眼』がある者、それからスキル、《心眼》か《精霊魔術》を持つ者ですかね。後、種族的には神と精霊族は皆精霊が見えます。」


「結構多いかと思いきや、結構少ないな。」


「そうですね。ただ、スキルの《心眼》持ちならば、多いと言われてます。」


「ほう・・・。『魔眼』とか『天眼』っていうのは、魔王や天使が?」


「その多くであって、全てではありませんが。」


やはり、イースがいると情報もすぐに聞けて楽だな。


「じゃあ、宿代は?」


「いちいち払うという話は聞きませんね。」


苦笑しながら言った。確かに、誰も視えない状況で、精霊も一緒だとか言われても、説得力は無いんだろうな。どっちかっていうと、その人の傍らに、黄色い救急車を幻視する人の方が多いだろう。


「そもそも、《魔力感知》にも引っかかりませんしね。」


「そう言えば、そうだっけ?」


「そもそも、精霊はSE(霊素)だけで生きていけますし、魔力を霊素で覆っている状態では、全く魔力が漏れませんから。」


SEとは、霊素のことで、スピリチュアル・エナジーとも言う。ステータスの一つで、ええっと・・・精霊と、聖獣と、神?が持ってるんだっけか。

 未だに理解が追いつかない事だらけだな・・・。いや、俺がここにいるということから、理解の範疇を越しているといえば越しているが、それはおいておくとしてだ。




 問題なく検問所を通り過ぎた俺達は、ギルドハウスに寄り依頼完了手続きをしてから、宿に戻った。


「本当に宿は一人部屋で良かったのか?」


「寝ませんからね。」


そうは言うがなあとは思うが、無理強いもできない。


「しかし・・・。」


「どうしたんです?」


「いや、仲間を数人作らないとこれから生き残れないと、思っていたんだが、イースが居れば問題無いような気がするし、それだと逆に目立ち過ぎる気もするし。」


「ああ、そこは問題ですよね。」


俺はただでさえステータスを隠している訳で、イースが居るとチート加減に拍車を掛けるようなものだ。


「やっぱ、奴隷でも買うか?」


「奴隷ですか・・・。」


イースの心証的には良くないらしい。


「俺に買われるんだったら、奴隷もさぞ嬉しかろう。」


「一体何様ですか。」


「苦しゅうない。」


「全く・・・。」


「で、奴隷には反対か?」


「奴隷というより、仲間を増やす事に、でしょうか。」


ふむ?何か問題でもあるのだろうかと、質問を反芻するが、イースが何を思っているのかも、問題点が何たるかも、答が出なかった。


「その心は?」


「浮気はダメです。」


「あー・・・。」


そこか。


「男の奴隷なら良いのか?」


「それはそれで嫌です。」


「我侭なっ。」


「・・・。」


プイっと顔を逸らして、不貞腐れてしまった。奴隷はやはり保留だな。良く考えれば、奴隷を買ったら、金も掛かる上に、イースのことも話さなければならないし、色々と面倒そうだな。うん、やっぱ保留で正解だな。




 そのまま何事も無かったように就寝、と思うじゃん?


「いや、待て待て待て。イース、落ち着け。まだ早い。」


「何が早いんです?もしかして早いんです?」


「おい。」


「冗談です。しかし、その初心な反応を見るに、まさか童て――」


「よし、イース、表へ出ろ。」


「気にする事ありませんよ。私も初めてですから。」


「い――」


いや、それは可笑しいだろうと言おうとして、言葉を切る。俺が、イースの歳を知ってる事を、イースは知らないはずだ。


「そうなのか?」


俺が言いなおした台詞に、少し頬を赤らめて、イースが返す。


 イースの容姿は、はっきり言ってしまえば美少女の部類に入るのだろう。777歳とは言え、精霊だからなのかなんなのか、身長は170は無いだろうところで、細い腕、無造作に伸ばされた髪も、少女臭い印象を思わせる。

 胸は、あるとだけ言えば十分なほどしか無いが、横から見て、全体的にスラリとていて、曲線美というものを思わせる。

 水色の眼は透き通っており、全てを見透かしてくるようでありながら、今は「どうして応えてくれないの?」と涙目であり、そこもチャームポイントだ。


 もし、ここで応えられるような男であったなら、とっくの昔に卒業していて、今ここで魔法使いなんてやってねーよとつくづく思う。

 

「・・・意気地無し。」


何処かで聞いたような台詞が、俺の耳に届く。しかしこの台詞、久しぶりに聞いたかもしれない。最後に聞いたのは何時だったか。


 人間が一番無防備になる瞬間は?と聞かれれば、大体の人は睡眠中と答えるだろう。


「イース・・・。」


「・・・。」


まさか、夜這いまでしてくるとは。


 相手は只の水。相手は只の水。俺は水と戯れるだけ。そうだよ、こんなの・・・それはそれでイースに失礼な気が。いやでも襲ってきたのはあっちで・・・あーもう。


「明日から本気出す。」


「結局ダメなんですか・・・。」


つくづくチキンな俺だった。




 朝起きたら何事も無かったので、多分、アレ以上は何も無かったのであろう。


「やっぱり・・・怒ってらっしゃる?」


「貴方は、『据え膳食わぬは男の恥』という言葉を知らないのですか?」


「イース、『知識は行動と直結しない』んだよ。」


「あー言えばこー言いますね。」


「よーし飯食って冒険者ギルドでも行くか!」


え?ご機嫌取り?諦めた。


「ブラック定食一つ!」


「はあ・・・。ままなりません。」


イースの独り言は聞かなかったことにした。



 渋々な様子のイースと共に、戦闘での連携を試そうとしたのだが。


「そもそも、この辺の魔物で苦戦するわけないじゃないですか。」


「ですよねー。」


トゲはあるものの、一応戦闘に参加してくれたイースが放った言葉である。良く考えれば当たり前の事だな。


 イースが無双していたので、俺も同じようなことをしたら、イースにこう言われた。


「やっぱり、人間じゃないです。」


黒ウルフの群れを一瞬にして、大漁の肉塊に変えたのだから、仕方ないといえば仕方ないのだが。


 正直、バランスブレーカーなのは元々だったが、拍車が掛かったな。俺だけでもチートだが、問題は行動範囲で、俺は3日間徹夜ぐらいならできるが、流石にそれ以上となるとキツい。

 しかし、ここにイースが加われば話は別。何処へでも行けるようになった。

 今日は、戦闘だけにするが、明日以降はどこか遠い場所の依頼を受けてみても良いかもしれない。

 そう考えると、年甲斐も無くわくわくしてくるな。17歳だけども。



ん?あんまり俺TUEEEしてない?

当初の予定では国の一つや二つ相手取る覚悟だったんだけどなあ?


プロットすらも外れていくチート能力が主人公にはあるようです(錯乱)

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