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冒険者ギルド!(登録しに来ました。素材はどこで買い取ってます?)

毎度~ハカタです。


17/09/17に改稿


 それから程なくして、街に辿り着く。身分証が無いことを伝えると溜息を吐かれ、「冒険者はこれだから・・・」などと言って仮身分証を発行してくれた。身分証の再発行による罰金は、冒険者ギルドが発行した身分証なら冒険者ギルドで発生するらしい。

 また、後で聞いた話だが、俺が来た方向には人里なんてものは無いに等しいらしい。だからこそ、首都の入り口にも(かかわ)らず検問がゆるく、金の持ち合わせがないと言っても、「いいよいいよ」とかテキトーな返しなんだろう。ある意味助かったと言えるのかな?


 何も分からないが、なんとかしよう。なんとかできるよな?


「そう言えば、街に着いてからのことは何も考えてなかったなあ。」


考えてなかったというより、情報が無さ過ぎて、考える事ができなかったんだが。


 仮にも、47年間過ごしていた身である。多少コミュニケーション能力に不足はあれど、この状況で話しかけるのを躊躇うほどのものでもない。

 そうして、気になった事やら何やらを聞いているうちに、大体ここのことが分かってきた。


 いかにもな城壁から、重要な場所かと思っていたが、此処は、リンテル王国の中でも中心に位置するらしいコルネヴァという街らしい。それにしても「王」国ね。


 さらに検問も言っていたように、ギルドというものも存在する。


 始めに、冒険者ギルド。依頼を受けて、達成できれば報酬が貰える。依頼内容は様々で、薬草採取から貴族のお戯れまで何でもござれ。一番加入者が多いギルドらしい。加入に関する制限は年齢ぐらいである。


 次に、魔術ギルド。加入条件に魔術を使えることがあるので、割と入り難い。主に、魔術や魔法のスクロールを描いたり、新しい魔術を研究したり、魔道具を作ったりと言ったことが多い。スキル研究関連もここのギルドで一部取り扱っているらしい。


 最後に説明されたのが、錬金術ギルド。これも冒険者ギルドと同じで、加入条件はない。金属関連の仕事を取り扱っており、錬金だけでなく、数年前に鍛冶ギルドとも合併して、かなり広範囲を占めている。ただ、下っ端では給料が少なく、上に行くと実力がものを言うので、単純にそういう研究とかに興味が向かない人たちからは敬遠されているらしい。


 他にも、商業ギルドや工業ギルド、石工ギルドなど色々なものがあるらしいが、興味のなさそうなものだったので割愛。


 他に、金になりそうな職を道すがら聞いていくと、大前提ですっ転ぶ。「とりあえず身分証」である。確かに当たり前のことなんだが、釈然としない。親切な中年女性が、「そりゃあ、アンタ、ギルドに入るしかないでしょう。ギルドは身分証も発行してくれるからね」と言わなければ、街に着いて早々、街を出る決意をしなければならないところだった。

 ちなみに、ギルドで発行できる身分証で行くことができる区画は限られており、それはギルドからの信頼度で決まるらしい。例えばランクとかで。


 他に選択肢が無く、否応無しに、ギルドに入ることは決まったわけだが、問題は何のギルドに入るかである。

 全部回ってから決めるのは当然のことなので、最初は「錬金術ギルド」に入る。


「さーて、入ったところでどうしろって話だが。」


苦笑する。そう言えば、ギルドハウスに入ったは良いが、そこからどうすれば良いのか全く考えていなかったなと思い至ったから。

 都合良く、手持ち無沙汰な受付に、「錬金術ギルド」の話を聞くが、細かい作業内容は、所謂「クラスタ」によって違うらしく、結局芳しい状況にはならない。

 ただ、現状では無理だろうことは良く分かった。一人でやるには工程が多すぎるだろうし、だからと言って、クラスタに入るような伝手も無い。

 あんまりチートスキルを使っても、妬まれる対象になるだけだ。


 次に言ったのは、魔術ギルドであったが、これは論外である。主に、魔法、魔術の研究か、魔道具の研究や量産をしているのだが、研究なんてガラじゃないし、さっきも言ったように伝手などない。その上、量産系ですら、技術の盗み合いによる暗い部分が見え隠れしているという。そもそも、量産なんてできるか分からん。


 一応、あったので行ってみた工業ギルドは、力仕事かこれまた研究と言われたので、当然却下。


 最後に、冒険者ギルドに行った。先ず、ギルドハウスに入り一番に思った事が、他のギルドハウスに比べて少々雰囲気が悪い。ヤンキーの溜まり場を想像するならそれも良し。

 まあ、どうとるかはともかく、あまり関り合いになりたくない様な風貌の者達が集っているらしい。ソロには大助かりだよ。


 例の如く、暇そうな受付に話し掛けて、情報収集を試みた。聞けば、依頼は一人でも出来そうだが、あまり目立ちたくも無い。そう考えると、冒険者ギルドにも否を唱えたいところではあるが、最悪の中の最善を選択せねばなるまい。

 壁に散らばる様に張られている依頼を見る限り、討伐系の依頼もあるようだ。討伐ならば、したこともあるし。


「そう言えば、魔物の死体とかは活用できたりしないのか?」


「魔物の素材なら、魔物の種類と、強さ、大きさに合わせて買取をしてます。まるごと持ってこられてしまうと、解体料金が発生しますが。」


「それは、ギルドに加入してないと買い取ってもらえないよな?」


「いえ、身分証さえ提示していただければ誰からでも買い取らせていただいています。」


やっぱり身分証かよと心の中で叫びながらも、受付に礼を言い、一旦外に出る。ちなみに、身分証を確認することで、誰かになりすまして料金を受け取るなどの行為を防いでいるらしい。

 仮身分証ではダメらしいです。そりゃそうか、名前しか書いてないし。


 問題なのは収支だ。「冒険者ギルド」で、目立たずにやっていくときに稼げる金と、この町で過ごすのに必要な金の差分。

 例えば、先ほど見る限りでは「黒ウルフ40体の討伐。証明部位は皮のみ」という依頼で出る報酬は、8,000G。期限は1週間。どの程度の難易度の依頼か分からないが、一つ、これを指標に、色々と探っていこう。

 他のギルドだと、月給ってところは、比べ辛いなあと思う。




「安いよ安いよー、トマトは一パック321G、チンゲンサイなら2株で213G。さらにごぼうなら特価で一本50Gだよ。」


「焼き鳥一本どれでも120G。さらに5本で500Gだよ!」


「バラ肉350G、モモ切り落とし300G、ロース88G。損しないから買ってって、買ってって。ほら、そこのお兄さんもっ!」




「今から市場に行くところなんですよ、オホホ」という婦人の言葉を聞き、これだと思った俺は、尾行というほどではない感じで、婦人の後を追った。

 物価としては、そう円との違いが見受けられない。しかし、想像の埒外のところで、ボッタクリとも思えるような価格を耳にする。


「石鹸が・・・一つ700G?!」


素材が高いらしいが、これはカルチャーギャップ的な何かを感じる。

 これは、以外なところで足元を掬われかねないぞと、改めて自分の無知を確認し、気を引き締める。よし、《回想ログ》の『メモ帳』に大体の相場も書き連ねたし・・・何か、やってることだけ見ると、貧乏主婦の切り詰め生活みたいな・・・。いや、主婦を否定したい訳じゃない。

 『メモ帳』に書かれている、商品名と値段の表を見て、苦笑いする。しかも、商品名ひとつに関して、複数の値段を書いている。これでは本当に・・・。


 さて、どうでもいい思考は脳の片隅でやるとして、宿の宿泊費なども、評価と共に大体調べ上げた。さすれば――


「どうするか。」


物価というのは、どうしても調べなければならない問題ではあったし、それが解決したのは重畳だ。しかし、「冒険者ギルド」に入るかと言われると、悩みどころである。

 デスクに比べれば柔らかい大地と、ファストフードにすら劣る黒ウルフにも慣れてしまったし、別に金がないといって生き死にに関るという事でもない。ゆっくり考えても、さしたる問題にはならないはずだ。いや、魔物よりも人間の方が怖いと言えばそれはそうなのだが。

 それでも、なんとなく焦燥するのが人というものの愚かさであり。それでも悩むのも同じ事である。


「あーあ、金でも落ちてこねーかな。」


「うわ、何か物騒な事言ってる人がいますよっ、レイさん。」


「見ちゃいけないよ。あーゆーゴミは放って置くのが世のため人のため。そして、それが未来の安寧へと繋がるんだ。」


何故俺を放置すると、未来が安寧になるのか良く分からんが、発言が際どかったのは認めよう。

 あちらもそれ以上の事は言ってこないようだったし、関るのも面倒事の元だと思い、そのまま立ち去る。不慣れな町の中で、足は自然と「冒険者ギルド」へと向かった。



 再びあの、風紀の悪い空気が漂うハウスに入ると、さっき俺に毒を吐いた二人が居た。冒険者だったのか。


「わわっ、レイさん、さっきの人です。ストーカーさんですよ!」


「こらこら止め給え。ストーカーに失礼だろう?こんなみすぼらしい格好でいるんだから、きっとストーカーにすらなれない放浪者だよ、ぷくっ。」


そこ、笑うな。


 さらりと無視して、受付に登録したいと伝える。


「では、こちらに必要事項を記入して下さい。必要であれば、こちらの『鑑定石』をご利用下さい。」


「『鑑定石』?」


「『鑑定石』は、手を翳して『我らが日に在りし能力をここに開眼し、我が元に表せ、人物鑑定』と唱える事で、自分のステータスを確認することができます。『クローズ』と唱えるとステータスが閉じることになっていますので。」


うっわ。そんな恥ずかしい詠唱良く人前で言えるな。おっと、そうじゃないそうじゃない。


「一応貸してくれ。」


「1,000Gになります~。」


「「「なに?!」」」


「冗談ですよ。」



お前、受付嬢がジョーク挟んでくるとか聞いた事無いわ。後ろで控えていた奴らもびっくりしてるじゃねぇかよ。


 受付嬢のブラックなのか良く分からないジョークは置いておいて、ギルドハウス内の脇にある椅子に腰掛け、用紙を見る。名前に年齢に、性別に、称号に、レベルに、主要スキルに・・・なるほどね。結構色々あるみたいだ。どれ、鑑定石の力でも試してみよう。


「我らが日に在りし能力をここに開眼し、我が元に表せ、人物鑑定」



名前 :???

種族 :???

年齢 :???

称号 :???

言語 :???

状態 :???

レベル:???

特性 :???

HP :???

MP :???

力  :???

防御 :???

賢さ :???

業力 ;???

素早さ:???

命中 :???


SPスキルポイント:???


スキル枠 ???

???



「は?」


何も見えないんですが。不良品かな?


「よし、一回落ち着こう。クローズ。」


すると、鑑定石は光を失い、ステータスは表示されなくなった。


「いいか、今見たのは幻覚だ。幻覚なんだ。」


自分に言い聞かせながら、自信のステータス画面を開く。原因は見当がついている。


天機掩蔽Lv2

ありとあらゆるもの全てを隠し通す絶対のヴェール。


こいつのせいだろう。どうせ隠し通すんだったら、隠していることも隠して欲しかったぜ。あ、そう言うのってできないかな?やってみよう。

 これでどうだ。


「我らが日に在りし能力をここに開眼し、我が元に表せ、人物鑑定」





名前 :千一卜(セン=カズウラ)

種族 :純人族

年齢 :17♂

称号 :レベリンガー

言語 :ホントル語

状態 :良好

レベル:27

特性 :なし

HP :約20万

MP :約50万

力  :2,000

防御 :3,000

賢さ :3,000

業力 ;2,000

素早さ:120

命中 :66


SPスキルポイント:0


スキル枠 25/50


SP自動振LvMax(0)

経験値上昇Lv5

アイテムボックスLv50

水撃魔術Lv20

火魔法Lv10

水魔法Lv20

地魔法Lv10

風魔法Lv10

回復魔法Lv10

夜目Lv5




「おお。・・・さっきのはやっぱり不具合だな、うん。」


白々しく言う。それにしても凄いな。見えないようにするだけじゃなく、持ってない《水撃魔術》まで足せたぞ。レベルも改変可能だし。名前も変えられるなら、変えてみるのも面白いかもしれない。呼ばれても気付かないとかいう間抜けな事態になりそうだからやらないが。

 ちなみに、《水撃魔術》は魔術ギルドに行った時に偶々居た人に、《一隻眼》をしたところで見つけたスキルだ。


水撃魔術Lv34

水を操る魔術。あらゆる現象をいとも容易く起こす。


なんか凄い説明だなと思ったが、実は《水撃魔術》は大したことがないらしい。真意は知らないが。


 結構時間が掛かってしまったが、無事全てを記入し終える。


「お預かりします。セン=カズウラ様ですね。」



 無事登録を済ませ、身分証ギルドカードの発行は明日になるということだった。ちなみに、さっきの『鑑定石』が1,000Gというのは冗談だが、登録料はいくらかかかる。そこで。


「出来れば、素材の買取をお願いしたいのだが、今できるかな?」


「そうですね・・・上の方に確認をしてきますね。」


時計も無いので感覚的なものになるが、1分もしないで帰ってきた受付が、問題無いとのことですので、これを持って行って下さいと言う。どうやら、上の人の許可証みたいなもののようだ。


 さて、「素材を置いて下さい。」と言われたので、イースが倒した魔物を並べていると。


「あ、あの、処理しきれないので勘弁して下さい。」


マジで嫌そうな顔しながら、受付がそんな泣き言を言い始めたので、出すのをやめる。普通、こんなに大量に持ってくる場合は、素材として売れるところだけ持ってくるらしく、そんなに大仕事にはならないらしいのだ。


「ええーと。では、1時間後以降にまたいらして下さい。これ、整理番号ですので失くさないように。」


目が、「失くしてしまえ」と言っていた。訴えたろか。


 整理番号とは別に、特例の紙も受け取った。両方無いと、料金を受け取れないらしい。《アイテムボックス》に入れ、冒険者ギルドの出口に向かうことにした。








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