表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/27

イースちゃんが大活躍?(純愛系など滅びれば良い)

毎度のことハカタです。


28/06/04誤字修正

 さて、血滴る運命の炎クルド・オゥデ・フレア(笑)基、ファイアーアレイで起きた爆風はなんとかシィルスとイースが防いだ。


「本当は、人族との接触など避けたかったのじゃが、こうなっては仕方あるまい。恩人に刃を向けては、兄者に怒られてしまうしのう。


 それに・・・。」


不思議に笑いながらシィルスの言葉は途切れた。

 俺の魔力はすっからかんだし、イースはシィルスに勝てるはずも無い。だから、有り難いと言えば、有り難かった。

 シィルスにしても、今の状態では本来の力の半分も出せないだろう。良く普通に喋れると感心するほどである。


「しかしのう。お主等だけが逃げたら助かったやも知れんのに、戦うというのは些か愚答じゃと、(わらわ)は思うのう。」


「理性のある奴と無い奴だったら、ある奴に生きてて欲しいだろ?」


シィルスは俺達を見て、雑魚と認識したのか、殺さなかった。イースではシィルスに勝てないだろうとは言え、戦闘中に背を向けて良いほどの力量差がある訳も無い。

 つまり、俺なりの礼も兼ねているという事だ。恩を仇で返されたら終わりだが。


「それに、舐められたままで終わるのも癪だったからな。」


意外と、「間抜け」と呼ばれたことを根に持っていた。俺も人間だから、いつも論理的に動くわけではない。いつも非合理的に動いているわけでもないが。

 もし、こじ付け的に、もう少し合理性を求めるなら、、あのときと同じで、逃げられるか、戦うかの選択を迫られて、逃げられないと感じただけだ。「テラー=ケエル=ドラゴンからは逃げられない」ってね。


「くくっ。そうか。まあよい。礼をしたいが、何か望みはあるかの?」


「危険人物には変わりないから、すぐに別れたいんだが?」


「そんなもんかの?」


「そんなもんだよ。」


そう返すと、シィルスは俺らの進行方向とは別の方向へ去っていった。


「つーか、魔王大量発生し過ぎ。」


バーゲンセールかってんだよ。買わねーよ。売るんじゃねーよ。


「助かった・・のですか?」


「ん?ああ、一応引いてくれたみたいだ。」


引くって言うより、あれで引かなかったら逆に引くわ。




 危険も排除されたし、また前進する。


「ちなみに、さっきのあれは《炎撃魔術》ですか?」


演劇魔術?いや、《火魔法》だが。そもそも、魔法と魔術の違いって何だよ。


「まあ、似たようなもんだが、企業秘密だ。」


「は?キギョウ秘密ですか?・・・まあ、なんでもいいですが。そう言えば、まだお礼を言ってませんでしたね。助けて下さってありがとうございます。」


「いや、それを言ったらこっちこそありがとう。」


今ここに俺が生きているのは、イースのお陰だからな。持ちつ持たれつどころか、大分持たれている。


「で、すまないんだが、今ので殆ど魔力使っちまって・・・。」


「問題ありませんよ。こちらはまだまだ余裕があります。」


実際に、イースのステータスのSEスピリチュアルエナジーは、あれだけ四六時中魔物を狩っても、すぐに回復している。

 そう言えば、あんまり気にしていなかったが、精霊には「SE」という特殊なステータスがある。一部の聖獣、神も持っているらしい。いや、待て、神ってなんだと思ったが、とりあえず置いておく。それで、その「SE」と言う奴は、イースが持つスキルでは、《水波》、《水撃》、《精霊波動》、《精霊結界術》、《霊源陣》などで消費する。逆に、《人物鑑定》や《浮遊》と言ったスキルは普通に魔力を使用する。まあ、代替エネルギーってところなんだが、実は《魔力感知》に引っかから無いという利点があるらしい。

 そんな訳で、イースのSEがたっぷり余っているのに甘んじて、魔物狩りはいつも通りイースに任せてしまおう。



 気付いたのは夕食前である。何気なくステータスを開いて、最初は目を疑った。


名前 :千一卜(セン=カズウラ)

種族 :純人族

年齢 :17♂

称号 :レベリンガー

言語 :ホントル語

状態 :良好

レベル:91

特性 :なし

HP :約20万

MP :∞

力  :2,000

防御 :3,000

賢さ :3,000

業力 :4,000

素早さ:120

命中 :66


SPスキルポイント:0

  ・

  ・

  ・



いや、可笑しいな。俺にはMPの値が良く分からないんだが。なんだろう。8かな?いや、00かな。いやあ、俺も最近老眼が入り始めてきたのかなあ。


「んな訳あるかあっ!!」


「ど、どうしたんですか突然・・・。」

流石のイースも、俺の突然の発狂に驚いているらしいが、俺はそれどころではない。ステータス画面の下を見ていく。スキル枠のところだ。


スキル枠 13/50


第一言語:ホントル語

SP自動振LvMax(0)

無詠唱化LvMax(0)

回想ログLvMax(0)

ステータス展開LvMax(1)

スキルチェンジLvMax(1)

無限創造LvMax(1)

一隻眼Lv8

天機掩蔽Lv8

スキルコピーLv11

経験値上昇Lv10

アイテムボックスLv50

火魔法Lv50

水魔法Lv80



控えスキル

第二言語、第三言語、第四言語・・・第十言語



いやー、見慣れないスキルが入ってるな。これか。



無限創造インフィニットスペルLvMax(0)

MPは無限となり、業力は2倍になる。

創造系スキルの限界を突破する。




いや、最早チートってレベルじゃねぇ。いますぐ世界壊せるぞ。やらないが。

 つーか、これの存在を知ってれば、シィルスも倒せたんじゃ?倒す意味が無いから、単純に可能か不可能の話になるが。

 そして、そこで初めて心配そうなイースの顔が視界に入った。いや、視界には入っていたから、意識に入ったか?


「大丈夫ですか?主に頭が。」


「突然毒舌だな、オイ。」


「突然叫ぶ人に言われたくありませんが?」


「ぬぐ。」


それを言われると痛いな。


「それで、本当に大丈夫ですか?」


「ん、ああ。大丈夫だ。」


未だにイースが心配そうなところ悪いが、至って正常である。精神は。肉体は魔力的な意味でヤバいかもしれない。これはもう一度スキルやら《回想ログ》やら見直したほうが良さそうだな。




 夕食である。相変わらず美味くない飯を食いながら、《回想ログ》を眺める。

 それにしても、何とも不味い夕食だ。たまにはカップ麺が食いたい。そもそも、後半月経ったとして、美味い飯にありつけるとも限らないのだ。なんだか一気にやる気を失くすな。


「はあ・・・帰りたい。」


それがイースには珍しかったらしい。


「さっきの叫んだのもそれが原因ですか?」


「ん?ああ、別に。」


そう言えば、イースにしてみれば、帰りたいと言う言葉は、「村に」と付け加えられるのか。そりゃあ、なんというか、失言だったな。


「飯が美味くないのだけが、今の課題だよ。」


「ああ、なるほど。人族は不便ですね。」


精霊は食べる必要がないだけで、食べられない訳ではないそうだが。まあ、好き好んで嫌いだったり不味かったりするものを食べる必要は、全く無いのだ。

 





 「テラー=ケエル=ドラゴン」に、ファイアーアレイで攻撃。(21,213,341ダメ)

 「テラー=ケエル=ドラゴン」を討伐しました。

 「スーパーゲル」にファイアアレイで攻撃。(70,000ダメ)

 「スーパーゲル」を討伐しました。

    ・

    ・

    ・

 「グレートディア」を討伐しました。

 レベルが上昇しました。Lv61(SP61取得)

 レベルが上昇しました。Lv62(SP62取得)

 レベルが上昇しました。Lv63(SP63取得)

    ・

    ・

    ・

 レベルが上昇しました。Lv77(SP77取得)

 スキル《無限創造インフィニットスペル》を取得しました。

 レベルが上昇しました。Lv78(SP78取得)

    ・

    ・

    ・

 レベルが上昇しました。Lv89(SP89取得)

 レベルが上昇しました。Lv90(SP90取得)

 レベルが上昇しました。Lv91(SP91取得)





改めて見ると、俺は何と言う無謀な挑戦をしたんだろうか。結果的に勝ったから良いものを。しかし、この《回想ログ》のお陰で、原因が分かった。犯人はラッキーセブンだ。

 そして、次にスキル一覧を見て、見て・・・見て・・・。


「あ・・・。」


その声は、本当に漏れたと言っても過言ではないくらいで、イースには聞こえなかったようだ。



スキルコピーLv11

相手のステータスが完全に見える場合、一日に1度だけ55%の確率でスキルをコピーできる(相手のスキルは消失しない)。回数と確率はSLスキルレベルによって変化する。一回消費MP1億。



チートだ。チートがいる。《スキルチェンジ》でポイントを振り直し、《スキルコピー》

のレベルを20まで上げたらもう、



スキルコピーLv20

相手のステータスが完全に見える場合、一日に1度だけ100%の確率でスキルをコピーできる(相手のスキルは消失しない)。回数と確率はSLスキルレベルによって変化する。一回消費MP1億。



多分、Lv1毎に5%ずつ確率がアップがするのだろう。Lv21になったら二回目か。

最高Lv100だとしても、一日5回?どんなチート製造スキルだよこれは。

 《スキルコピー》について、確かめたい事がいくつかある。最重要なのが、エフェクトの有無だ。これがあるのと無いのでは使い勝手に大きな差を生む。もう一つは、どのような状態でコピーされるのかだ。これもかなりの差異が生まれる。他にもあるが、まあとりあえずおいておく。

 試してみるか。イース相手なら何をやっても、もう何か大丈夫な気がするし。


 《スキルコピー》を発動しました。

 《スキルコピー》が成功しました。

 スキル《浮遊》Lv55を取得。


チートだな!何がチートって、俺もうこれレベル上げなくても、際限なくSPスキルポイントを入手できるぞ?しかも、《浮遊》を選んだつもりだったから、自分でコピーしたいスキルも選べるらしい。エフェクトも無いようだし。イースも全く気付いてないようだし。

「とりあえず、そろそろ寝るか。」

「はい、お休みなさい。」

差し当たってすることも無い。動けないならさっさと動ける朝を待てば良い。





 朝だ。《回想ログ》の手動記録、即ち『メモ帳』に刻んである数字によれば、異世界30日目。後今日含めて2日程で付く予定だ。ちなみに、『メモ帳』を使い始めたのは異世界16日目からだ。丁度、スキルを漁り直して一夜明けた朝からだ。この『メモ帳』機能が結構便利で、日数以外にも、魔法やスキルに関して分かった事などをちょくちょく書いている。

「順調ですから、今日着いても可笑しくありませんね。そろそろお別れですか。」

なんとかなく、寂寥感滲ませる顔でそう言ってきた。そう言えば、そうだよな。一緒に居る意味も無いし。精霊の扱いも俺には良く分からんし。


「思えば短いようで長い道のりでした。」


「え、何この突然の語り。なあ、それ長くなるか?歩きながらで良いか?」


「む、せっかく纏めてみようかと思ったのですが。」


「俺相手にそれをする意味がないだろ。」


「それもそうでしたね。」


何だか妙なテンションのイースをおいて、旅は続く。早く終わって欲しいけどな。

 本当にただ歩くだけなのだ。魔物が現れてもイースが瞬殺してしまうから。つまり暇なのだ。この30日だけで何回暇と言ったか忘れた。135回までは数えてた。要するに、それぐらい暇だったのだ。

 やることと言えば、飯を食い、道無き道を歩き、魔物を見つけて《スキルコピー》を使用し、飯を食い、寝て、飯を食い・・・あれ?すんげえダメ人間っぽいな俺。不思議だ。

 ちなみに、今のスキルはこんな感じである。



スキル枠 25/100


第一言語:ホントル語

SP自動振LvMax(0)

無詠唱化LvMax(0)

回想ログLvMax(0)

ステータス展開LvMax(1)

スキルチェンジLvMax(1)

無限創造LvMax(1)

上限開放LvMax(1)

一隻眼Lv8

天機掩蔽Lv8

スキルコピーLv20

経験値上昇Lv5

アイテムボックスLv50

火魔法Lv30

水魔法Lv80

地魔法Lv10

風魔法Lv10

空魔法Lv10

浮遊Lv0

状態異常耐性Lv50

夜目Lv50

シールドLv10

鎧通しLv0

アイシングフィールドLv0

毒の牙Lv0

紅蓮纏Lv0

炎火礼讃Lv10



絶対に使わないであろうスキルもとってしまった。《紅蓮纏》なんかは、体に火を纏うスキルなので、おいそれと使えない。勿論、常時発動スキルパッシブスキルなのだが、レベル0にしている現状では発動しない。

 《空魔法》は、無属性魔法みたいなもので、スーパーゲルが偶々持っていたものだが、これをコピーする前にも後にも見つけた事はない。かなり希少なのだろう。不可視の攻撃だからかもしれない。

 《状態異常耐性》、《夜目》、《紅蓮纏》、《炎火礼讃》はレッドドレークのものだ。もちろん、レッドドレークと言っても、イースと初めて会ったときに居た奴ほどの強さではない。イースが瞬殺出来る程度だ。《夜目》は結局寝るから使わなかったな。

 《シールド》、《鎧通し》、《毒の牙》は夜叉又という蛇風の魔獣が持っていたものだ。この魔獣、夜行性なので俺とはあんまり縁が無かったりする。朝早くか夕方遅くにしか見かけなかった。

 《アイシングフィールド》は、アイスモアという駝鳥を拡大したような魔獣から得たスキルだ。何を隠そう、異世界最初に遭遇した奴もコイツだ。《アイシングフィールド》は、自分の周りを凍らせるもので、Lv10では3m範囲を凍らせる事ができる。これ、レベル上げたら酷いことに成りそうだな。


「まあ、もうちょっとあるが、本当に付き合ってくれてありがとな。」


「どうしたんですか急に、気持ち悪い。」


「いや、思ってても気持ち悪いとか言うなよ。傷つくんだが。」


「それは嬉しい誤算ですね。」


「嬉しいのかよっ。」


本当に、今日のイースはちょっとテンションが可笑しい。


 それから、何事も無く一日が過ぎ、暗くなったときには、視界にも城壁が捉えられるほどのところまで来ていた。


「もう、もうあと少しだ・・・。」


肉体的には疲れていないが、気苦労というか、慣れない生活へのなんとも言えない感情のせいか、精神的に疲れていた。

 さて、今日で終わりだと思うがと付け加えて、イースにいつも通り感謝して、夕食の準備を始め、そして、すぐに寝ても良い準備ができた。




 益体も無いことを考えているうちに、城壁まで後百数十メートルのところまで来ていた。


「千一卜。もう、これで会うことも無いかもしれませんね。」


ふと、思い出したかのようにイースが呟いた言葉は、当然といえば当然のことだった。というか、何故突然フルネームで呼ばれたのだろうか。


「そりゃあなあ。棲家も違えば、文化も違う。会えたのが奇跡ってもんだろ。」


「それを言ってしまうと、私が生きているのが奇跡みたいですね。」


苦笑をしながらイースが言う。確かに、そうだな。逆に、俺が生きているのも奇跡だと言えるだろう。

 あの時、イースが逃げられていれば。

 あの時、俺が違う方向を選択していれば。

 あの時、俺が逃げていたらば。


 たらればに意味は無いが、どうしてもそんなことを考えたくなる。


「もしかしたら――。」


途中で言葉を切ったイースに、俺は視線を向けた。瞬間。


 ――唇に冷たくて、それでいてどこか温かいものが触れた気がした。


「また、会えるかもしれません。」


そう言って、掻き消えた。まるでそこに始めから誰も居なかったかのように。


「え、いや・・・マジですか?!」


また叫んでしまったが、もう咎める視線もからかう声も聞こえはしなかった。

 未来系のたらればは、変化球だったぜ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ