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精霊と遭遇した。(美少女要素!美少女要素!)

ドロップアイテムって変ですよね。と思ったので、「ドロップアイテム」→「魔物の死体」に変更。

 夜行性の魔物になるべく引っかからないように進む。ただ、どうしても、こんなあるかも分からないが、月すら出ていない、曇り空の下で、《火魔法》を行使している。気付かれるのは、必須だ。

 後は、魔物が火を怖がってくれると嬉しいんだが。


 そんな俺の祈り空しく、アクティヴな魔物が寄って集って、俺を襲う。もう、一匹一匹相手にしても切が無い。逃げる。纏まった所を仕留める。MPがキツいな。最大値が多いだけで、回復量はそんなでもない。まあ、回復するだけ助かるが。

 魔物の死体を回収して、同じ方向へ同じ方向へと歩を進める。



 朝になってしまった。クソ。いつでも朝ってのは忌々しいものだが、こんなに複雑な気分の朝は初めてかもな。夜の内に人里に踏み入れられなかった悔しさと、日が昇って警戒し易くなった安堵と。

 心の内がどうあろうと、一度提案したこの意見は、簡単に曲げられるものではない。人里を探すという行為自体は、昼夜に関らず続けなければならない。そこでだ。


「飯どうしようか。」


とりあえず、《一隻眼》で調べながらその辺の雑草を食うというのが無難だろう。魔物の死体は、《アイテムボックス》に入っているとは言え、食う気は起きない。雑草は良いのかと思われるかもしれないが、《水魔法》で、簡単に洗うぐらいはする。

 毒が無さそうなのは確認済みだったが、吐くほど不味いものが一部あった。良薬口に苦しとは言っても、食えなければ何の意味も無い。薬じゃねぇし。

 腹八分目にもならないが、後は水で十分だろう。水が美味い。美味い水を出そうと念じれば良いんだろうか。関係ないだろうか。



 少し開けた場所に出て、最初に目にしたのが戦闘であった。なんて言うんだろう。水と、火の竜?まだこっちの存在には気付いてないみたいだし、どっちも《一隻眼》してみるか。




レッド=コルソン=ドレークLv150

HP:1,000万/1,400万

危険度AA

コルソンLvMax(1)

魔王LvMax(1)

状態異常耐性Lv150

夜目Lv50

ファイアーブレスLv150

紅蓮纏Lv150

必殺の一撃Lv150

炎火礼讃Lv150

上限開放LvMax(1)




名前 :ネーレイース

種族 :高位精霊(水)

年齢 :777♀

称号 :水源の者(命中補正+5)

言語 :精霊語、レテル語、オルカ語、エンジ語、ホントル語

状態 :良好

レベル:180

特性 :不可視(特殊な人以外には視えない)

HP :300万

MP :5万

(スピリチュアル)(エナジー) :400万

力  :5,000

防御 :5,000

賢さ :9,000

業力 :300

素早さ:95

命中 :105


総合評価A-


SP自動振LvMax(0)

精霊結界術LvMax(0)

経験値上昇Lv60

上限開放LvMax(1)

人物鑑定Lv34

水波Lv100

水撃Lv180

浮遊Lv55

精霊波動Lv70

霊魔解Lv45

霊源陣Lv50




いやに高レベルな奴らだな。どちらかと言うと精霊の方が弱いようだ。どうでもいいな。どちらにしろ加勢するような力も無いのだ。迂回するしかないか。


 とか思っていたら、精霊がこっちに吹っ飛んできた。HPが6割切ってるな。


 いや、冷静に分析してる場合じゃないな。

 「レッド=コルソン=ドレーク」とやらがこちらに向かって、ファイアーブレスを放つ。ちっ、あの火の大きさ的に、避けるのは無理だな。ウォーターシールドを張り直す。相手のタメが長くて助かった。


「堪えてくれよ・・・」


そんな願いに応えてか、あっさりとファイアーブレスが鎮火された。割と強いんだな、ウォーターシールド。勿論、多重展開してだが。


 さて、状況を把握しよう。とりあえず、この全身水で出来てそうな精霊さんは起き上がる気配が無い。死ぬ事はないだろうが、放置したら殺されるのは間違いない。それから、どうも飛べない様子である「レッド=コルソン=ドレーク」は真っ直ぐ此方に標準を合わせている。こちらは放置したら、こっちが殺されそうである。


 どう考えても、俺より「レッド=コルソン=ドレーク」の方が格上である。俺だけなら防御しながら逃げ切る事は出来そう・・・いや、それも難しい。


 問題は、逃げられるか、殺せるか。その片方でも達成できるかということだ。


 逃げるのは、相手の足の速さから現実的ではない。

 だからと言って、殺すという選択肢が現実的かと言われればそうでもないが。

 どっちが良いかと聞かれれば、やはり殺すほうだろう。ハイリスクハイリターンだ。逃げるというのはハイリスクローリターンだ。どっちにしろ厄介だな。

 慎重なのか臆病なのか自分でも判断が付かないが、とりあえず一発で全ての魔力を込めるのは、感心に値しない。



 昨日からの戦闘を思い出す。例えば、一発ずつボールを放つ場合、一回一回の攻撃は相手の防御値によって減算されてHPに影響を与える。つまり、攻撃力10の魔法を撃って、防御力5の相手に当たれば、HPは5減る事になる。しかし、重複してボールを放つ場、その重複した魔法は一つのボールと見なされる。つまり、攻撃力10の魔法を5個重複して撃つと、防御5の相手のHPは45減る事になる。勿論実際には、攻撃の属性や部位によって値が左右されることも多いが、この推論は間違っていないだろう。

 多重展開の欠点は二つ。一つはかなりの精神力を使うこと。そしてもう一つは、莫大なMPを一瞬で使用することだ。

 ボール、アレイ、シールドは、一律たったのMP5しか消費しない。攻撃力については、まあ、気持ちの問題もある。手加減もできるらしいし、水を飲もうとするときは、攻撃力0のを作り出すことも出来わけだし。



 「レッド=コルソン=ドレーク」は、火の竜である。だから、《水魔法》の方が有効であろう。

「当ってくれると助かるんだがな。」

相手の動きは竜のあの図体の割に速く、しかも思ったよりも体全体が小さい。精々高さは5m程度しかないし、翼もないので横の広がりも無い。そして、当たり前だがかなり距離がある。近かったら、あいつの纏ってる炎に熱でやられるだろう。

 要するに、命中率が心配なのだ。当らないと強さも分からないし、焦りも出始めるからな。


「あんまり言ってても仕方ないな。」


ぼやいてもどうにも成らない。やるなら早い方が良い。

 さて、先ずは1万個ぐらいで行ってみよう。ファイアーブレスを防げたから、攻撃も割かし効くのではと睨んでいるのだが、どうだろうか。


 ――ピューー


「効き過ぎた?」

少し起動が上に逸れてしまったウォーターボールが、「レッド=コルソン=ドレーク」の頭ごと吹っ飛ばしてしまったのだ。いや、もうなんていうかね、グロいよ。ファイアーボールと違って、ウォーターボールは所詮水だから、攻撃対象が完全に燃えたりするわけじゃない。血と肉片が飛び散って良い感じに。


「いや、これは予想外だわ。」


ゲームでも偶に部位破壊とか、そういうのあるけど、頭切っちゃったらどうしようもないよな。・・・急所に当たったってこういうことを言うんだろうか。違うよな。

 ゆらりと「レッド=コルソン=ドレーク」の胴体が揺れ、傾く。良かった。生きてた訳ではないらしい。


「素材は回収しておくか・・・って熱っ?!さっきまで燃えてたから当然か。」


阿呆なことをしつつ、ウォーターボールで冷やし、素材は回収しておいた。



 さて、どうしようか。勿論、この精霊の処遇についてだ。残念ながら俺は《回復魔法》みたいなものが使えるわけではないので、HPを回復してやることはできない。加えて言うならば、「レッド=コルソン=ドレーク」のせいか、ここ一帯には魔物の気配が全く無く、危険も少ない。俺ができることがあんまりにもない。


「だからっつって放置ってのもなんかなあ。」


問題は俺の睡魔も結構なレベルに達しているという事だな。コーヒーでもあれば別なんだがなあ。

 とりあえず、何回か呼びかけてみたが一向に起きる気配が無かった。

 どうしようかと割と本気で悩んでいたところ。


「んぅ?」


どうやら起きてくれそうな気配がしたので、大きい声で呼びかけてやる。


「おーい。大丈夫かー?」


いや、何か山の向こうに居る奴にでも問いかけるような感じになってしまったが、お陰で精霊が飛び起きてくれた。しかし、やはりまだ本調子ではないらしく、すぐによろける。


「大丈夫か?」


「えっと、多分・・・って。・・・誰ですか?」


「一応、名は千一卜というんだが。」


「セン、カズウラ・・・ですか?生憎と聞いたことはありませんね。」


そうだろうな。むしろ知っていたらそれはそれで驚きだ。


「そう言えば、レッドドレークが居ませんね。」


かなり冷静に言ってるが、その戦闘中に意識失ったことも気付いているんだろうか。


「もしかして、助けて下さったんですか?」


「あー、まあな。一応レッドドレークは倒しておいたけど、そこからは何もしてねーぞ。」


「いえ、有難う御座います。・・・って、倒した?」


「ん?倒したが?もしかして問題だったか?」


「いえ・・・そんなことはありませんが・・・。本当に倒したのですか?」


何故そんなにしつこく聞くのか知らないが、信じられないなら素材でも見せてやろうと思い、《アイテムボックス》から取り出して見せた。


「・・・嘘じゃないみたいですね。」


取り出した死体を見た精霊が呟いた。そして、こちらをじっと見つめる。

 そういう雰囲気ではないのだが、やっぱり何か恥ずかしい様な気がする。


「そう言えば、人族の街の場所とか知ってるか?迷子なんだが。」


「一応知ってますが、ここから遠いですよ?」


「因みに、歩いてどのくらい?後、村とかは無いの?」


「歩いてだと、かなりかかるでしょうね。一ヶ月以上でしょうか。村は知りませんね。」


絶望した。まさかここまで開拓が進んでいないとは。いや、ここが偶々秘境染みた場所だったのかもしれない。詮無きことではあるが。


「あの、良ければお供しましょうか?」


そんな俺を見かねてか、それとも何か魂胆でもあるのか。

 しかし。


「あ、じゃあ頼んだ。」


「そんなあっさりと・・・。」


呆れたように言われるが、こちらとしては余裕が無いのだから、藁にも縋りたい気分なのだ。一ヶ月以上掛かるというところから、この精霊の嘘が始まってるとは流石に考え難いからな。そうでなくとも、睡魔に抗いながら街に辿り着くのはキツいはずだ。まあ、最初から分かってたけどね。


「あ、とりあえず名前聞いて良い?」


「ネーレイースですよ。好きなように呼んで下さい。」


「じゃあ・・・イースさん?」


「さん付けは不要ですが?」


「イースちゃん?」


「馬鹿にしてますか?」


「じゃあ、普通にイースで。」


「はい。・・・そう言えば、さっきレッドドレークの死体・・・何処から出したんです?スクロールを使ったようには見えなかったのですが・・・。」


ここで俺の重大なミスが発覚した。油断というか、心の隅にすらなかった懸念である。

 俺のスキルの特殊性についてだ。例えば、《回想ログ》。こんなの他の奴は絶対持って無さそうである。《一隻眼》や《天機掩蔽》も、かなり珍しい部類に入りそうなことは分かる。

 では、《無詠唱化》はどうだろうか。多分、持っている奴は俺以外に殆ど居ないだろう。MPさえあれば殆ど負けないことになってしまう。

 つまり、《無詠唱化》は俺の見せてはいけない一面だったという事だろう。


「・・・」


答えに窮する。地球でも、言い訳が上手かったり、スピーチが得意だったりした訳ではない。


「こう、空間からホイッと・・・。」



「・・・」



あ、もうダメだ、これ。完全にアウト。何がどうなるのか分からんけど完全にアウトだ。


「・・・まあ、あまり詮索はしないでおきましょう。」


「ここまでやっておいてそれか?!」


寧ろビックリだよ。ビックリオブザイヤーだよ。


「聞いて欲しいんですか?」


「いや・・・」


「我侭ですね。」


いや、もうなんて言うか、いいや。放っておこう。


「行くか・・・。」


歩き出す前に、大分疲れているなと苦笑しながら、俺は大地に踏み出した。




 イースの話では、精霊には睡眠が不要らしい。なので、今日の夕方までは、頑張って起きていて、進めるとこまで進んで、夜番はイースに任せるという事になった。何度も言うが、形振り構ってる様では命が幾らあっても足りない。


「それにしても、魔物が多いですね・・・。」


等と言いながら、《霊源陣》で陣を描き、《水撃》を魔物に見舞う。《霊源陣》は、魔方陣の様なものを描けるもので、詠唱とは別の媒介の様だ。つーか、詠唱よりかなりスムーズで早い。


 この辺の魔物は高くても、Cランクが精々で、イースの敵ではないらしい。《無詠唱化》もチートだったが、陣を一瞬で描き出せる《霊源陣》もかなりチートな気がする。描けるならば同時に何個も出せるようだし。多重展開染みた事は出来ないようだが。


「俺の出番が全く無いな。」


これである。唯一役に立っているといえば、最早完全に自暴自棄になって《無詠唱化》で発動している《アイテムボックス》だけだろう。イースに《アイテムボックス》は無いので、そういう意味では有能だと言える。寄生?そうとも言うな。


「自分から言い出したことですから。」


俺が一体ずつ相手にしていくのもなんだか面倒なものもあるし、ありがたいんだが、ヒモみたいに成っている様な気がしなくも無い。



 なんだかんだで進んでいると、時間が経つのも早いもので、そろそろ身動きが取り辛くなる時間帯である。


「この先に森があるのですが、夜はこっちの高原の方が安全ですので、この辺で今日は休みましょう。」


「おう、何から何まで悪いな。」


「いえ、好きでやってることですので。」


そう言われては、返す言葉が無い。さて、この辺で休むのは良いんだが、テントや夜営に必要なものなどは何も持っていない。


「それは良いとして、問題は飯だな・・・。」


「ご飯ですか?」


「イースは料理とかできるか?」


「できませんね。精霊はご飯無しでも生きていけるので。」


何そのチート。寝る必要なし、飯必要無し・・・なんやねん。


「人族が食えそうなものとかは?それも知らないか?」


「あー、魔獣なら何でも食べられるとか、誰かが言ってましたけど?」


魔獣というのは、まあ、獣っぽい魔物だ。ゴブリンとかが魔獣に分類されるのは違和感があるが、そうらしい。


「黒ウルフですか。」


俺が取り出したのは、黒ウルフ。なんか、回収した死体の中で、一番食えそうな奴だ。ただ、今気付いたが、ナイフも包丁も無い。勿体無いことをするが、実験的な意味でもやるか。


「メネスの調べに依りて穿つ、其の根源たるは水、ウォーターアレイ。」


前から思っていたのだが、《水魔法》には、ボールとアレイとシールド以外に発動できないが、そのボール一つとっても、かなり変化させる事ができる。大きさの上限は決まってるみたいだが、ラグビーボールみたいにしたりもできる。

 同じように、ウォーターアレイをウォーターカッターみたいなのをイメージしてやると、願い通り、黒ウルフが綺麗に切断された。

 勿体無い事をするというのは、ナイフで剥ぎ取るのと違い、皮だけではなく肉までかなり切り取ってしまう事に対してだ。そもそも、剥ぎ取りなんかした事ない上に、ウォーターカッターでそれをやる難しさは中々のものだろう。


「い、今のは・・・本当に、アレイなのですか?」


「ん?ああ。少し特殊な使い方かも知れないがな。」


と言いながら、《火魔法》を使い、黒ウルフの肉を良い感じに焼く。


「・・・不味いな!」


「ご愁傷様です。」


食えないほどじゃないと思いつつ、空腹を満たすために貪る。


「そう言えば、なんでレッドドレークと戦ってたんだ?」


「成り行きですよ。そもそも、精霊が見える生物自体少ないので油断していたのもありますが、逃げるに難く、戦うに辛い相手でしたね。結局倒せなかったですし。」


逃げるのも、戦うのも同じという点では、俺の評価と変わらないな。あのレッドドレークから逃げ切れたかと言うと、まあ、精霊を囮にすれば行けたのかもしれない。レッドドレークを倒せてしまった今となっては無意味なことだが。


「そう言えば、貴方は何故私が見えるのでしょう?」


「いや、何か要らんものまで見える体質らしいぞ。」


「体質なら仕方ありませんね。」


何が仕方無いのか全く意味が分からなかったが、とりあえず頷いておいた。《一隻眼》のことを不用意に言うわけにもいくまい。


「あ、そうだ。怪我とかは大丈夫なのか?」


全く外面上の傷が無いため忘れていたが、「レッド=コルソン=ドレイク」との戦闘で、HPが削られていたのを思い出した。


「本調子とは行きませんが、問題ありませんよ。」


まあ、良く考えたらさっきまで魔物を散々屠っていたのだ。大丈夫でない訳がないか。

 そして、丁度黒ウルフを食い終わるのだった。


次は遅くなる・・・多分。


イースちゃんには頑張ってもらいたいです(←)

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