表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/27

そして、千一卜は全てを操る。(え?これってそういう話?)

毎度のハカタです。あんまり遅れなかったなあと思ってますが、読者的にはどうなのか知りません・・・。


前をチンタラ歩いている奴等を見ると、殺意が湧くハカタですが、執筆方面では亀さんなハカタです。


許してや。




 グステマの「商品が無くなれば、商人は死んだも同じ」という言葉は俺には最もに聞こえた。だからと言って、この人数で、あの量の魔物を相手にするのはとんでもなく無謀と言える。


「グステマ殿、考え直しましょう。」


「今から何処へ行こうと同じではないかね?かね?」


「だろうな。俺が此処から単独で逃げ出したとして、魔物の群れと遭遇しない確率は、雀の涙ほども無い。」


雀ってこっちにも居るのか・・・美味いかな?


 どうでも良いことは放っておいて、目の前の危機からどう脱するかだ。ソロだったらハチャメチャにしてやったのに。目立ちたくはないし。

 良し、《デバフマジック》と、《幻惑魔術》と、《死霊魔術》で行こう。


「では、作戦はこうだ。先ず、スルヴェー達に馬で街まで走ってもらう。それから、荷物は全て置いて、後退しながら迎撃。増援が来るのを待つ。あわよくば、殲滅だ。」


無理だろ。


でも、そうか。荷物は置いていくのか・・・。もったいねぇ。えーっと、確か《幻惑魔術》で・・・っと。よし。


 全員がそこらに荷物を放る中、俺もそれに倣う。



「しかし・・・魔物の進撃。しかも、統率が取れてる。そして、魔物の種類もバラバラ・・・。」


誰かは知らないが、その呟きに俺も少し考えさせられる。

 確かにそうだ。魔物は基本群れない。群れたとして、同じ種類が精々。違う種類の魔物が(こぞ)ってやってくる?可笑しいな。何かが可笑しい。


 大事なピースが欠けているような感覚と言うほどでも無いが、違和感は拭えない。


「よーし、全員乗れー。」


全ての荷物が放り出された状態だ。散乱なんて言葉では言い尽くせないだろう。グステマの顔が面白い具合に歪んでいる。運が無かったな。

 全員が一つの馬車に乗ると、御者が馬を走らせた。2頭の馬が併走している。いつもよりどことなく速く感じるのは、御者の焦りの表れだろう。そりゃそうだ。《探知》できる範囲内ってことは、大体2~5km圏内。ライフルでも届かない距離と言えばそうだが、こちらに向かってくる魔物の量を考えると・・・。しかも、統率が取れては居るが、俺の把握する限りでは、尖兵隊的なものがすぐそこに居る。


「来たぞ、距離300だ、すぐ来るぞ。」


《探知》の一人が言うと、全員が迎撃態勢を取る。馬車は止まらない。


「しっかり狙ってけよ。」


「俺、また火炎弾でも投げてようかな。」


「森が燃えるから止めろ。」


「うぃーす。」


軽口で返したが、別に不満は無かったらしい。冒険者なんて荒くれ者の溜まり場だからな。一歩間違えればスラムと変わらないと言われてるぐらいだ。言葉遣いなんか一々気にしてる奴の方が少ない。


「じゃー、氷結弾でも投げましょうかね。」


「あれ?お前、魔術師じゃなかったっけ?俺、お前が魔術使ってるとこ見たこと無」


「細かい事は気にすんなー、ホイッっと。」


シャキーン的な音と共に、今まさに飛びかかろうとしていた魔物、ハムウルフが少し動きを止める。その頃には、詠唱が終わっていた魔術師や、魔法士から色とりどりの攻撃がなされ、ハムウルフの群れは呆気なくその一部が壊滅する。

 しかし、魔物の群れ。若干舐めていた感が拭えない。


「これは酷い。」


「わわっ・・・なんですかコレ。」


「落ち着きたまえ。」


見渡す限り、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ、群れ。そして、それが一つの群れと為す。


「性質が悪い。」


ハムウルフの上には、スーパーゲルが乗っかっていた。それだけならまだマシだった。ハムウルフは、黒ウルフの一つ上ぐらいの強さ。大きさもそこまでではない。その上のウルフまで来ると、流石にそうは言ってられない。


 ドレーク・ウルフ。


 一説には、レッドドレークと、ハムウルフの間に生まれた魔物だとか。進化論ですかそうですか。


 ドレークウルフの上には、ゴブリンは勿論、オーガまで乗れるらしく、更にそんなものを乗せても、ハムウルフと速さがさして変わらない。


「化け物どもめ。」


「幻想や、化物共が、(うつつ)成り。」


「は?何言ってやがる?」


「いや、すまん。ちょっと気が動転していた。」


自分でも何を言ってるんだか。さて、初披露だな。《デバフマジック》。《スキルチェンジ》してっと。


 金縛り~。しかも無詠唱で、しかもしかも範囲系。もうね。なんていうかね。チートだよね。効かなかった奴も居るけど、ここからは地力で倒しましょう・・・え?今のも地力だろって?知るか。

 ついでに、ここに奴ら全員には、最初から《幻惑魔術》を使っているから、本当は、彼らが見たと思い込んでいる光景より、更に悲惨なことになっていた。まさに真っ黒黒と言う奴だった。


 別に、大して疲れても居なかったので、《探知》を使い、敵を探る。リーダーが居るはずなんだ。イワシじゃあるまいし、何も言わずに統率など取れるはずも無い。

 距離が開き過ぎているのか、見つからない。


「イース、リーダー格の討伐を頼めるか?」


「良いでしょう。しかし、勝てないと判断したときはどうすれば?」


「・・・そうか。じゃあ、鼻から勝負しなくて良い。相手が見えなそうであれば、暗殺。相手が見えていそうだったら、ここまで誘き寄せてくれ。俺の位置は分かるか?」


イースは精霊である。精霊が見える奴は少ない筈だ。


「契約者の位置ですよ?分からないはずがありません。赤い糸で結ばれてるんです。」


「嘘だ・・・絶対嘘だ。」


軽口を叩きながらも、俺は魔術の手を休めない。金縛りの次は、毒。そして、死んだ奴には《死霊魔術》を掛けておく。馬車の速度が速いからそんなにできることも多くないが、確実に数を減らしていく。


「9時に34、500、3時に29、200・・・クソッ多すぎる。」


言っておくが、34匹が500の距離という意味で、3万匹ではない。しかし、それを言ったら、俺の《幻惑魔術》解いた瞬間に、皆卒倒しちまうぜ?

 む。馬車の前に回り込もうとしてる奴らが居るな。させねぇよ?


 それから数時間、かなりの苦戦を強いられていた。こう何時間も緊張感ある状態では、参ってしまうが、現実と余りにも齟齬がある幻惑を見せるわけにも行かない。

 馬も怪我をして、スピードが遅くなったのがきっかけで、相手をする魔物の種類も強さも段違いだ。幻惑使いながら、竜なんかは、見つけた瞬間に殺してるが。


「倒してきましたが、どうやら司令塔ではあれど、死んだからと言って、命令が完全に消えるわけではないようです。」


「成る程・・・」


「・・・?」


イースが可愛らしく首を傾げるが、今は気にしている場合ではない。さっき空を飛んでいた、一際デカくて危なそうな竜を思い起こす。


「竜っ?!」


「なんですか、あのデカさ。」


「この前のテラードラゴンより小さいですよ、あはは~。」


いや、そんなことどうでも良いだろ。竜ですよ、竜。ホラ、もっとこうなんかあるんじゃないの?ないの?あ、そう。


「魔術師2人はドラゴンに専念しろ。魔法士は一層頑張ってもらうぞ。」


さて、俺と、後・・・名前が分からんがソイツで竜を倒すらしい。とりあえず、《アイテムボックス》の詠唱をして、氷結弾や火炎弾を出す。


「お前らも援護してくれ。・・・高邁なるこの――アクア・ランスっ!」


火炎弾と氷結弾を仲間に放り投げてから、詠唱するフリをする。こう、完全に詠唱し終わったときに、無詠唱使うって結構面倒だし、タイミングが合わないんだよね。

 ちなみに、全部幻惑な?俺、撃ってないから。そもそも、《アイテムボックス》の詠唱すらしてないから。イースすら騙せるこの俺の魔術。


 とくと見よ。



 何とかして、竜が倒れる。そして、その瞬間からが、俺の本領発揮。え?今までも十分だって?こっからは一味違うぜ。現実でも、幻惑でも、似たような事をやってやろう。



 《デバフマジック》、其の三、『狂乱』付与っ!



 さて、久しぶりに、《回想ログ》でも見てみるかい?



 《デバフマジック》で『rhgcd$’#’’(』を発動しました。

 『ゴブリン』が『狂乱』状態になりました。

 『スーパーゲル』が『狂乱』状態になりました。

 『オーガ』が『狂乱』状態になりました。

 『オーガ』が『狂乱』状態になりました。

 『ハムウルフ』が『狂乱』状態になりました。

   ・

   ・

   ・

 『スタータートル』が『狂乱』状態になりました。

 『レインボーフロッグ』が『狂乱』状態になりました。

 『ポイズンビー』が『狂乱』状態になりました。

 『レッドドレーク』が『狂乱』状態になりました。



残念ながら、誠に残念ながら、『狂乱』状態にしてやった奴は、他の魔物を襲い、殺す。何が残念って、経験値入らないじゃん。

 魔物が互いに殺し合い、また、こちらを襲うものもある。しかし、戦術的なものが一切見られなくなり、こちらにかなり余裕が出てきた。幻惑でも現実でも。

 まさに、計画通りだ。


「まさか、あの竜が司令塔だったのか?」


「いえ・・・そんなはずは・・・指令を発するところを別にした・・・?計画を練っただけ?」


冒険者の一人の言葉を受けて発言したイースの言葉に答えるものは、居ない。ちなみに、イース、君は間違ってないとだけ言っておこう。殆どの魔物がそっぽを向き、追ってこなくなる。さて、最後の仕上げだ。精々踊ってくれよ?『レッドドレーク』よぉ?


 レッドドレークのファイアーブレスが、森に燃え移る。《死霊魔術》によって操られたレッドドレークは、炎を撒き散らす。もう良いかと、死者への冒涜を止める。


 大体、証拠の隠滅も完了した。後はどうにでもなる。

 さあ、終わりだ。幻惑を解こう。


 幻惑を解いても、パーティーの雰囲気は変わらなかった。そりゃそうだ。むしろ、バレたら困る。

 俺も、勝利の祝福に加わる。


「もう、大丈夫?!」


「わわっ、凄いです。」


「竜を倒してくれた魔術師達に感謝だな。」


「いやいや、氷結弾や火炎弾を投げてくれて助かったよ。良い牽制になってた。タイミングもばっちりだったしな。」


「そう言って貰えると助かるよ。」


「ふんっ・・・。」


一人不機嫌なのは、商人グステマのみ。商品も持っていけたじゃないかと言わない辺りは、評価に値するが。



 一番近い町へ辿り着くことなく、夜営の準備を始める。どんなに馬車が早くても、町と町の間の距離を縮め無い限り、一日で町から町には行けないだろうな。

 司令塔が居なくなっただけで、未だに魔物はかなり居るし、炎も今だに燃え広がっている。ただ、指揮系統の居ない魔物は共食いもするので、そこまで危険視は必要ない。炎もこちらに燃え広がるのにまだかなり掛かるだろう。


「念のため、今日は夜番を5人で組む。」


5人で組むと、3チームと余り3人。商人は使えないから黙って寝てろ。


「だったら、6人で良いんじゃないか?」


一人が提案すると、皆が同意して、その方針になる。俺も適当なところに収まった。ただ、これから3、4時間ずっと起きてると思うと、気が滅入る。憂鬱だ。

 


 最悪だったのは、真ん中の時間帯だったことだ。夜10時から、2時ぐらいの間。2回に分けて寝るなんて良くあることだが、眠いものは眠い。最近は快眠だったからなあ。


イース様様である。


「眠い・・・。」


「頑張って下さい」


イースがゆっさゆっさ揺らしてくれる。おい、こら。どさくさに紛れて何処触ってやがる。


「おっと、間違えました。」


わざとだよな?


「奴隷買おう。」


「もうしません。」


何でそんな嫌がるんだよ。


「奴隷かい?」


おっと、少し声が大き過ぎたか?いや、周りが静か過ぎるのか。


「良いんじゃねぇの?パーティーも無しで一人じゃ辛いだろう。色んな意味でな。ガッハッハ!」


「あの、静かにした方が良いですよ?」


「おお、すまん。」


豪快に笑ったグードスという男が、《探知》使いに睨まれていた。つーか、下ネタかよ。


「普通に話すぐらいなら、構わない。魔物も居ないみたいだしな。嵐の前後の静けさだな。」


「ありがとう。・・・それで、話戻すけど、奴隷は高いよ?お金持ってるの?」


「そうか・・・金か。」


「何でそこ忘れるんですか。」


おい、そこ鼻で嗤うな。全く。フラルーテアとかいう短剣使いはこれだから。


「どれくらいするんだ?」


「んーっと、金貨10枚ぐらいかな?あ、最低ラインだよ?」


「微妙なラインだな。買えるとも買えないとも言えない。」


「でしょうね。それが商売ってものでしょ。」


はい、イースさん、目を輝かせるのは止めましょう。でもそうだったよな。金の問題を失念していた。仲間作りということから入ったからだろうか。


「最高は?」


「うーん、そうだね。奴隷オークションとか、最初は金貨2枚なんだけど、いつの間にか白金貨が出てきたりしてるよ。」


ああ、因みに、金貨1枚で10万G、金貨100枚で白金貨1枚だ。

 ついでに、石貨、銅貨、軽銀貨、銀貨、魔貨がそれぞれ1G、10G、100G、1,000G、10,000Gだ。魔貨というのは、聞かない名だろうが、魔石に近いもので、結構綺麗だ。

 何で金貨だけ100枚集めないと白金貨にならないかは、俺の知るところではない。


 調べていて分かった事だが、若干日本より物価が安いから、金貨10枚とはまあまあな価値だ。そうすると、奴隷にそこまで掛ける奴が居なそうだが。

 ちなみに、物価は少し安いとして、ライフラインなど無いから、水道、電気、ガス代は勿論掛からない。更に、税金はギルドの方が一括で払っているために、こちらも勘定に入れる必要が無く、年間で見たときの全体の支出は、日本と比べてかなり低いと言えるだろう。


「まあ、大体持ってるのは、偶々拾ったか、金持ちさんだよね。高ランク冒険者とか貴族とか。」


「偶々拾った?」


「奴隷商人が襲われて殺された場合、所有者が一時的に居なくなって自由になるからね。見つかったら捕まるけど、衛兵より冒険者が見つけて自分のものにしちゃうことの方が圧倒的に多いよ。あ、一番多いのは、勿論、襲った人たちが手篭めにすることだよ。」


「つまり、奴隷商人を見つけたら、盗賊のところに誘導すれば良いんだな?」


「「「「おい」」」」


「冗談だ。」


「お前の冗談は冗談に聞こえないんだが?」


冷静沈着《探知》使いにそこまで言わしめる男とは。我ながら恐ろしい。


「っと、そろそろ時間だな。次の奴らを起こしに行ってきてくれ。」


おお、もうそんな時間か。


「やっと寝れるぜ。」


イースにも、あんまり気を張らずになとだけ言って、深い眠りに落ちた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ