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ごーるでんうぃーく

 4月最終日であるゴールデンウィーク3日目、月曜日なのに学校が休みなのを満喫しようと起きた後もベッドでゴロゴロと過ごしていた。


 その平穏な世界(自室)に穏やかな空気を脅かす人物がノックの後侵入してきた。


 「やっぱり寝てた。なぁ稟〜、折角のゴールデンウィークなんやしどっか出かけようよ〜」


 紅羽、まだまだわかってないなぁ。休みやからこそ引きこもるのがええんやん。


 「一昨日晴ん家に行ったやん」

 「それとは別にどっか外に遊びに行こうよ」

 「例えば?」

 「う〜ん。せっかく京都に引っ越してきたんやし京都観光とか?」

 「パスで」

 「即答!?」

 「え〜、だって興味ないし、紅羽なんかずっと京都住まいやしわざわざ行くこともないやろ?」

 「そう言われると辛いところやけど・・・」


 よし、これは珍しく私が押し切る形になるんちゃうか?そんな残念そうな顔されたら気ぃ引かれるけど・・・ベッドの魅力の方がまだ勝ってるわ。


 「・・・稟はうちと出かけるん嫌なん?」


 ・・・・・・クリティカルヒット。


 いや、それは反則やで紅羽さん。悲しそうな表情プラス伏せ目の破壊力。それも明らかに作ったものじゃなくて素なんがズルイ。


 「そういうわけやないけど」

 「ほなどっか行こうや」

 「行くにしても明日か明後日に姫と晴も誘ってにせぇへん?」

 「それプラス今日もどっか行こうよ」

 

 どんだけアクティブなんや、紅羽さん・・・。


 「・・・行くとしたらたとえば?」

 「う〜ん。ショッピングとか?」

 「先週行ったやん」

 「いや、毎週でも別にええやん?」


 毎週って・・・。そんな阿呆な。


 「そんな買い物してたらお金もたへんやん」

 「毎回先週みたいにお金使わへんよ。何も買わんでも見て回るだけでも楽しいやん?」


 ・・・・・・・・・見て回るだけ?


 「いや、稟。そんな阿呆なみたいな顔せんとってよ。皆そんなんやって」


 ・・・そうなん?買い物って何か物買うだけのものやないの?私の15年プラス前世分の経験からして買い物って面倒なもんやってんけど。私がおかしかったん?


 「え〜。そうやったとしても服見るんはまだええわ」

 

 どうせ見てもようわからんし。


 「それやったら化粧品見に行こうよ。稟に合いそうなんあっら買いたいし、稟にもお化粧覚えてほしいし」


 いや、なんで私のを紅羽が買うねん。


 ただまあ、たしかにお化粧も覚えた方がええかなとも思うし・・・。


 「・・・わかった」

 「やた。ほなはよ行こ」

 「いやいや、せめてご飯食べてからにしよ」

 「え〜。向こうで食べればええやん」

 「うちら高校生なんやから節約できるとこは節約せな。今から作るから何かしとって」

 「稟が作ってくれるん!?わかった、いくらでも待ってる」

 「はいはい。じゃあそういう方向で」


 


 着替えてから料理開始。


 何にするか迷ったけどカレーにすることにした。晩に何かまた作らなくて良い分楽できるしな。


 2食続くのはちょっと嫌やけどしゃあない。


 稟を待たせているので、余り凝らずにシンプルに作ることにした。


 タマネギ、人参、ジャガイモを適当な大きさに切り水にさらしておく。次に冷蔵庫に牛肉がなかったため豚肉を取り出し、此方も適当な大きさに切り塩こしょうで下味を付ける。


 下準備が出来たのでフライパンを取り出し火にかける。そこにバターを広げタマネギを投入。ニンニクはこの後出かけるので入れるのを止める。


 タマネギが黄色がかってきたので人参とジャガイモ、豚肉も入れ強火で一気に炒める。


 加減を見て火を止めてから中身を少し熱した鍋の中に投入。そこに水を入れて沸騰させる。煮立っているところで何回かアクを取ってからローリエの葉を一枚入れる。


 弱火で暫くコトコト煮込み、具合を見て良い感じになってきたので、出来るだけ火を小さくしてルーを溶かす。


 少しとろみがかったところで完成。最後に一口味見をする。


 うん、手抜きやったらこんなもんやろ。









 食べ終わるとすぐ出かける運びとなった。


 「夕食もまた食べられると思うと幸せやわ」

 「いや、手抜きやったしそんなでもないやろ?それに2食続けてはきつない?」

 「全然!うちカレー好きやし。そもそも稟の料理に飽きることなんてないって」


 オムライス好きでカレー好きって子供みたいやな。


 あと何時も褒めすぎやから。


 




 電車を使って、四条まで行きデパートの化粧品売り場までやってきた。


 凄い量の化粧品が並んでいるが全く違いがわからない。


 それを見ながら色々紅羽が教えてくれるが全く分からない。まぁ紅羽が楽しそうやしええんやけど。


 「あ〜迷うなぁ。さすがに幾つも買うのはきついからなぁ。どれがええかなぁ。やっぱりファンデーションは稟に合ったの買いたいし・・・チーク載せても可愛いやろうしなぁ。睫毛は素で十分やけどシャドウは入れたらイメージ変わりそうやし、それはそれで見てみたいし・・・。リップ系は今日は諦めなあかんかなぁ・・・」


 途中から私には意味の分からない言葉を喋りながら紅羽が自分の世界にはいり色々物色していく。


 「高いけどヘレナのファンデーションかなぁ・・・。そうなると他はしんどいかな?チークくらいは買える・・・かな?すみませーん」


 紅羽が店員さんを呼ぶ。


 「稟もこっちきて」


 私も呼んでから(おそらく)私の肌に合う色を店員さんと話し合う紅羽。


 チラッと値段を確認する。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?


 え?ちょっと待って。一桁おかしない?5桁?・・・へ?


 私の混乱が溶ける前に購入を決める紅羽。しかも他にもまだ買う気があるみたいで店員さんと話し合っている。


 ・・・・・・どうやらここは私の知っている世界やないみたいやな・・・






 現実逃避から戻ってきたときには買った化粧品の袋を持って満足気な表情の紅羽に手を引かれて店舗から出たところだった。


 「紅羽」

 「何?」

 「いや・・・何っていうか。それ・・・」

 「うん、ええ買い物できたわ」

 「いやいやいや。さすがにそんな高いもん買ってもらうんは悪いって。それにうちら高校生やで?ありえへんって」

 「そんなん気にせんでええって。それに稟の思ってる以上にお化粧にお金かけてる女の子って多いと思うで?」

 「そうかもしれんけど・・・。いや、さすがにその値段はないって」

 「も〜、うちがええって言ってるんやからええやん。それよりも稟、またお化粧させてな?」

 「それはええけど」


 いや、そんな値段見てもたら断れるわけないやん。


 「ならうちは満足やし問題ないって」


 そんな問題やないと思うけど・・・。









 家に帰ってからは紅羽からの化粧されたり抱きつかれたり頬ずりされたりを甘んじて受けた。


 その時の紅羽の表情を見て、紅羽が良いなら良いかって開き直ることにした。 



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