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ちかてつ

 「稟〜、そろそろ行こ」


 声とともにドアがノックされる。


 「入って」


 返事をしながらいつも持っている手持ち鞄に財布と鍵を入れる。そしてケータイをポケットへ。


 「ちょうど稟も用意できたみたいやね」

 「うん。目的地までどれくらいかかるか分からんから」

 「あぁ、そうやね。今からやろちょっと早いくらいの時間で行けるよ。駅まで歩いてからたしか電車で15分くらいかな」


 紅羽の格好を見るとやっぱりオシャレだった。


 うん、やっぱり母さんに買ってもらってる私なんかとはちゃうな。


 「どうしたん?じろじろ見て」

 「やっぱり紅羽はオシャレやなぁと思て」

 「そうかな?うちもあんまりファッション雑誌とか読む方やないんやけどなぁ」

 「いや、自分で考えて買ってるだけオシャレやん?」

 「ぇ?じゃあ稟はどうやって服買ってんの?」

 「?普通に母さんに買ってきてもらったり一緒に行ったとき買ってもらったりやけど?」

 「いや・・・まぁ全然おかしな格好やないけど高校生になってまで親に服選んでもろてるのってどうなん?」

 「?皆普通は選んでもろてるんやないん?」

 「いやいや、女の子は皆自分で選んでるって。そら一緒に見に行って買ってもらったりもするけど選ぶんは自分やって」


 え?そうなん?


 もしかして私っておかしい?・・・いや、でも昔の私も服自分で買い始めたの大学生なってからやったし。


 ということは昔の私もおかしかったんかな?


 「ちょっと部屋戻ってお金とってくるわ」

 「え?なんで?」

 「今日は晴ちゃんにつきあうだけのつもりやったけど稟の服も見た方がええみたいやからな」

 「いやいや、自分の分は自分で払うって」

 「いや、今日はうちにプレゼントさせて。その代わりうちが選んだ服ちゃんと着てな」


 あかん、紅羽がなにか決心した顔しとる。


 諦めて首を縦に振ってしまった。






 「駅ってどこやったっけ?」


 家の鍵を閉めながら紅羽に聞く。


 「学校方向やけどちょっと北方向に行ったほうが近いかな」


 学校方向か。て、晴と燈ちゃんと学校で毎日分かれてたんやからそらそうやな。



 

 しばらく歩くと地下鉄への入り口についた。


 「エスカレーター登りしかないねんな」

 「そうやね。大丈夫?荷物持とか?」

 「軽いし大丈夫」


 階段を降りて券売機へ。


 「いくらやっけ?」

 「どうやろ?」


 紅羽が料金表を見て確認する。


 「210円やね。2枚買うから稟は待っとって」


 紅羽が券売機の前に立ち券を買う。


 う〜ん。ありがたいんやけど紅羽過保護すぎや。私1人では何もできひんようになってまそうやわ。


 「はい」


 紅羽から切符を受け取って改札を抜ける。そのまま階段で降りるとちょうど電車が来た。


 「これやし乗ろ」


 紅羽に続いて電車に乗る。車内は結構空席があったので2人並んで座れた。


 「ちょうど電車来たしグッドタイミングやったな」

 「あんまり電車の数無いん?」

 「この時間やとたしか10分たらずに一本やったかな」

 「じゃあそこまで少ないわけでもないんやね」

 「まぁそうやね」


 車内を軽く見回すとなんだか地元民ばかりが乗っているみたいだ。


 「あんまりこの電車って観光の人とかって乗ったりせんの?」

 「そうやね〜・・・こっちの方ってあんまり観光名所無いしなぁ。それに来るにしてもこの辺にはバスかタクシーで来る人が多いんやないかな?地下鉄って結構歩かなあかんしな。」

 

 なるほどな。京都の電車って今日とか土曜やし観光客だらけやと思っとったわ。


 まぁ、言われてみれば京都ってバスめちゃ通ってるしな。


 「まぁでも人思ったより少なそうでなによりや」

 「あ〜・・・先言うとくけど四条付いたら人ほんま多いで?もともと昼は人集まるところやし阪急とも乗り換えの駅やしな」

 「ぅ」


 てことはあれかな?梅田くらいの人の多さなんかな?


 はぁ・・・ちょっと憂鬱になってきた。


 「まぁまぁ、駅から出ればそこまでゴミゴミしてないと思うし」

 「それを期待しとく」


 




 アナウンスが次が四条なのを伝えてくれる。


 「次やで」

 「うん」


 膝に乗せていた荷物を持ち立つ。


 ドアの前までやってくるとちょうど電車の速度が落ち停車すると扉が開いた。


 「待ち合わせの改札はたしかこっちかな」


 下車してからの案内は紅羽に任せてついて行くとエスカレーターの列に並んだ。


 うわ、人多っ。なんやもう疲れてきたかも。


 列に従ってゆっくり進んでからエスカレーターに乗り上に上がる。


 「気分悪そうやけど大丈夫?」

 「なんとか」


 心配して此方を向いている紅羽にぎこちない笑顔を返しておく。まぁちょっとしんどいくらいやし大丈夫やろ。


 

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