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あまつせんせい2

 「ぇと・・・母さんが紅羽に一緒に住むように言うた理由ですか?」


 そう聞くと楓先生だけじゃなく紅羽、姫に晴も興味津々といった面持ちでこちらを見る。


 「それは多分うちが紅羽を気にしてたからやと思いますけど・・・」

 「どういうことや?」


 先生と皆が首を傾げる。


 ぅぅ・・・あんま話したないのに。


 「うちと紅羽は一度制服の採寸の時に会ってるんですけど・・・その日に母さんに誰かと会ったか聞かれて紅羽のこと話したんです」

 「ほうほう・・・で?」

 「そのときにうちが紅羽のこと気にしてるのが分かったみたいで・・・あんまりうちが同級生のこと気にすることないんもあって、それで母さんも紅羽のこと気に入ってたみたいやって。それで入学式の日に紅羽がもう1人暮らししてるって聞いて、それやったらって思ったんやと思います。ちょうどうちも一部屋あいとったんで」

 「なるほどなぁ」


 楓先生が納得というふに頷く。姫と晴もへ~といった面持ち。


 ただ紅羽はどこか恥ずかしそうに照れている。


 「でもあれやな、それやと急に言われた神宮もよう一緒に住む気になったな?」

 「あぁ、それは」


 紅羽が一旦言葉を切ってこちらをチラッと見る。


 「うちも稟のこと気になっとったんで」

 「採寸の時からか?」

 「そうですね。いや、初めて稟を見た時からですね。この娘と友達になりたいって、無性に感じたんです」

 「ほ~、で誘われてOKしてそのまま住んでんのんか?」

 「はい」

 「漫画みたいなこともあんねんなぁ」


 楓先生もやっぱり晴や姫と同じ反応なんやな。


 「あと楓ちゃん、こんな2人だから多分なかなか男の子も告白なんかできないと思うよ?」

 「ちゃんはよせと言っとろうが。で、なんで出来ないと思うんや?」

 「え?だってね?姫」

 「そうやね。2人のラブラブっぷりは誰も間に入られへんといいますか」

 「ほぅ、同居しとるだけあってやっぱり2人は仲ええんか」


 ちょっと姫!?ラブラブってなに!?私ら女の子同士やで!?


 同士を得ようと横を見ると紅羽が何故かそこはかとなく嬉しそうにしていた。少し恥ずかしそうでもあるけど。


 なんで!?


 「だって楓ちゃん、毎日紅羽って稟に愛妻弁当作ってもらってるんやで?」

 「そんなん一緒に住んでんのやから普通弁当作るんやったら二人分作るやろ?」

 「いや、まぁそうかもしんないけどさ、でもお弁当渡すときの紅羽の表情と受け取る稟の表情がね、もうあれですよ」


 え?私そんな変な顔してた!?まぁ紅羽はいつも妙に嬉しそうな顔しとるけど。


 「晴ちゃん、さすがにそれ以上は勘弁して」


 頬を少し赤くした紅羽が白旗を上げる。


 まぁ多分私の顔も赤いと思いますけどね。


 「ならあれか、まず告白ラッシュを浴びるのは柊か姫路なわけだ?」


 今度は姫と晴に矛先を向ける楓先生。先生って感じと違ってとこの手の話好きなんかな、ほんま意外や。


 「いやぁあたしは無いかな。多分姫はモテモテになると思うけど」

 「晴?私を裏切るとはいい度胸ね?」

 「ぁ・・・と・・・いやいや裏切るとかじゃ・・・ごめんなさい」

 「ははは、うん、だいたいお前達の感じが分かってきたわ」

 「ちょっと楓ちゃん笑わないでよ~」

 「先生を付けてから文句を言え!」

 「え~、いいじゃ~ん」

 「うん、お前達と話して安心したわ。こんだけぶっちぎりの4人が集まってクラスがどうなるかとも思ったがいいクラスになりそうや」

 「どういうことですか?」


 姫が首を捻る。


 「いや、総じて高校生くらいの子はクラスの中心グループなら変なことをしだすもんでな、特にその子らが特殊ならなおさらや。そんなわけで一応心配してはいたんやけどお前達ならそんな心配いらなそうやと安心したわけや」

 「そういうことですか。確かに私たちの中で妙なことしだすとしたら晴くらいですからね」

 「ちょっと姫それはおかしいでしょ!?」

 「え?どこが?」


 姫が心底分からないといった顔で返す。


 「くそ~いつか泣かす」


 晴が悔しそうに矛を収める。うん、晴もちょっとは自覚あんねんな。


 「あ、そうだ、楓先生メアド教えておいてくれませんか?何かあった時に便利だと思うので」


 紅羽がケータイを取り出しながら先生に言った。


 「ん?あぁそうやな。部活も無理になった時連絡できるしな」


 先生もケータイを取り出した。それに合わせて姫と晴もケータイを取り出す。


 そして4人がケータイのアドレスを交換する。


 「あとは、夏目、ケータイ貸してくれ」


 言われたとおりケータイを先生に渡す。


 「あ~!そういえばあたしまだ稟とアド交換してなかったよね?交換しよ?」

 「私とも」


 そういえばそうやったな。まぁ使う機会なかったから忘れてたわ。


 「ウチあんまりケータイ触ったことないから勝手に交換して?」

 「了~解」


 晴が先生から私のケータイを受け取って少しいじって姫に渡す。そして姫も少しいじってから私の元へ帰ってきた。


 「稟と柊らは交換してなかったんやな?」

 「うちこの前の土曜までケータイ持ってなかったんで」

 「ほ~、それで神宮とお揃いなんやな」


 先生がなるほどと頷く。いや、そんな気づかんでいいとこで鋭くならんでも。


 「さて、かなり時間たってもたけど部活どうする?」

 「あたし今日はもう満足かも、明日ショッピングもあるし」


 先生の質問に晴が答える。


 「稟はどう?」


 姫が私に聞いてくる。


 まぁ今日はええかな。時間もけっこうたってるし。


 「うちももうええかな」

 「稟がええんやったらうちもええかな」


 「よし、ほな今日は解散ってことで、電源だけは忘れんと落としてけよ〜」




 そんな感じで今日の部活は楓先生と話すだけで終わった。



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