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けーたい

 「稟~、お風呂入ろう」


 昨日に続いて悪魔の誘いが。


 「今日はええわ。あんますぐ入りたいわけやないし先に入って」

 「そんなこと言わんと一緒に入ろうや」

 「なんでそんな一緒に入りたがっ・・・」


 急に足から力が抜ける。


 それに頭も一瞬真っ白にる。


 やば、最近調子よかったし気抜いてもてた。


 「稟!」




 覚悟した衝撃がいつまで待っても来ない。


 「稟!大丈夫?」


 どうやら倒れる前に紅羽に抱きかかえられたようだ。


 「もう大丈夫。ありがとうな」

 

 いつもの一瞬意識が飛ぶアレなので多分もう大丈夫。


 「ほんまか?嘘ついたら嫌やで?」


 紅羽が心配顔のまま離してくれない。


 「ほんまに大丈夫やから。ちょっと休んどったら元通りになるし先にお風呂に入ってきて」

 「なに言うてん。ほっとけるわけないやん。それによけい稟1人でお風呂に入れさせられへんわ」


 呆れ顔の紅羽。ちょ、そんな目で見やんでもええやん。


 「お風呂くらい1人で大丈夫やから」

 「今倒れたばっかでどの口が言うてん。絶対一緒に入るで」

 「ほんまにだいじょ・・・わかりました」

 「よろしい。ほなちょっと休んでから入ろか」


 目力に負けた。あんな目で見られたら無理やって。





 その後のお風呂は昨日同様いいように弄ばれました(稟視点)。









 目覚ましの音で目覚める。


 顔がほのかに熱い。夢で昨日のお風呂の出来事をもう一回経験してしまった。もう、自重しろ私。


 少し高鳴っている胸を落ち着けるために二度寝することにする。今日は学校がないため弁当も作らなくていい。ボーッとしているとだんだん眠気が高まっていく。瞼も重くなっていきいつの間にか意識は沈んでいった。






 「稟~いつまで寝てんの。早よ起き、紅羽ちゃんもとっくに起きとるよ」


 母さんの声に意識が浮上する。


 「今何時?」

 「もう10時過ぎやで。11時には出かけるからさっさと起きて支度し」


 そういや今日はケータイ買いに出かけるんやったな。しゃあない、起きよか。


 起きて服を着替えてから1階におりる。顔を洗って歯磨きをすませ、リビングに入った。


 「おはよう。よう寝れたみたいやね」

 「うん」


 人一人分紅羽がよってくれたのでそこに腰を下ろす。


 「稟はケータイの機種何か決めてんの?」


 首を振る。


 「何も。ケータイのことは全然わからへんからな」

 「ほな店で見て決める感じかぁ」

 「そうなるな」

 「なんか好みとかはないん?色とか形とか機能とか」

 「機能は電話とメールできたら十分かも。形とかはあんまり大きない方がええかな」

 「稟らしい選び方やね」

 「うちらしいてなんやねん」


 ジト目。


 「稟、紅羽ちゃん、そろそろ行こか?お昼はどっか外で食べればいいし」


 「うん」

 「わかりました」


 荷物を取りに一度自室に戻ってから玄関にまで戻ってきた。母さんはもちろんだけど紅羽ももう靴を履き終わっている。


 ん?


 さっきからあった違和感の原因に外出しようとする紅羽を見て気づいた。あ、そうか、紅羽今日はノーメイクなんや。いつもより少し幼く見える顔立ち。でも普通ならスッピンとは思わないくらいの可愛さ。うん、やっぱり反則やわこの娘。


 「何ボーッとしてんねん。早よ行くで」


 母さんに急かされてあわてて靴を履いた。






 家から一番近いdoc○moショップの駐車場に車を止める。ここには珍しくまともな駐車場があるため母さんの車で来たのだ。


 ショップに入るとすごい数のケータイが展示されていた。


 「すごい数やな」

 「あぁ、たしかにケータイに興味なかったんやったら種類多感じるかも」


 私の呟きに紅羽が律儀に反応してくれる。


 「私は椅子に座って待ってるから機種決めたら呼んで」


 母さんが椅子のある方へ歩いていく。


 「こんな種類あったら決めんの大変そうやな」

 「たしかにかなり悩んでまうね」

 「なんか選ぶアドバイスはないん?」

 「う〜ん。私はピンときたのをいつも選んでるなぁ」

 「なんやそれ、全然参考にならんやん」


 ふと1つのケータイに目が止まった。


 「ごめん紅羽」

 「なにが?」


 紅羽が怪訝そうな表情を浮かべる。


 「ほんまにピンときたわ」

 「ホンマ!?どれ?」

 「それ」


 薄いフォルムの薄いピンクのケータイを指差す。


 「わぁ、かわいいな」


 紅羽がため息をもらす。


 「見たことないけど新機種かな?」

 「私が知ってるわけないやん」

 「それもそうか。稟、あれにするん?」

 「そうやなぁ、あんま悩んでも逆に決めれんくなりそうやしそうしよかな」

 「そっか〜。ほな私もあれに変えようかな」

 「え、なんで?」

 「もう結構今のケータイ持ってるし、それに今変えたら稟とお揃いのになるしな」

 「なんやそれ。うちと一緒でもなんもないやん」

 「そんなことあらへんよ。いっつも持っとくもんやしお揃って嬉しいやん」


 いや、私が言うてるんは私と同じのを持ってってことなんやけど。


 「まあ紅羽がいいんやったらええんちゃう?」

 「うん、そうするわ」




 その後母さんを呼んで私は新規で契約して紅羽は機種編を済ませた。



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