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こんぴゅーたぶ

 「明日から普通の授業が始まるから時間割の通り教科書を持ってくるように。で、今日はこれで解散。後は好きな部活でも見に行って。それじゃ、さいなら」


 部活紹介が終わって教室に戻ると今までと同じくサラッとホームルームを済ませて先生は出て行った。


 「稟、どこか興味ある部あった?」

 「うん」


 問いかけに頷くと紅羽が驚いた顔をした。


 「え?どこ?」

 「コンピュータ部」

 「コンピュータ部っていうと・・・あぁ、あの最後に先生が紹介しとったやつ?」

 「うん」

 「まあ確かに部員おたへんらしいからなぁ」


 紅羽がどこか納得の表情を浮かべる。どうやら私の性格がだんだんわかってきたらしい。


 「そう言う紅羽はどこか行きたい部あったん?」

 「実はあんまりなかってん」


 苦笑いを浮かべる紅羽。


 「人に部に入った方がどうの言うてたのに」

 「めんぼくない。でも稟と一緒の部にしようとは思てたから稟が興味ある部あったんならオーケーやん?」

 「なにそれ。それにコンピュータ部なんかでええの?うちが言うのもなんやけどあんま女の子が入るような部やなくない?」

 「あぁ、それは大丈夫。別にパソコン触るん嫌いやないし、稟と活動できるんやったら十分や」

 「自主性なさすぎへん?」

 「ある意味自主性やん?」


 もう。なんで私なんかにこんなに絡んでくんの?嫌やないからええけど。てか嬉しいかもしれんけど。


 「稟と紅羽はコンピュータ部で決まり?」


 どうやら私たちの話が一区切りするまで待っていたらしい姫にたずねられる。


 「一応この後見に行こうかなって。紅羽は・・・も来るみたい」

 「そっかぁ。ほな私らもコンピュータ部にする?」

 「でいいんやない?」

 

 え?


 「なんで!?どっか行きたい部なかったん?」

 「ん〜、ちょっとはやってみたい部はあったけど正直忙しそうやしやめとこかって晴と話しててん」

 「そうそう。コンピュータ部やったらそんなこともなさそうやし、2人も入るみたいやしね」


 姫の言葉に晴が頷く。


 なんでか皆でコンピュータ部に入る感じになってしまっている。私はただどれくらいパソコンとかネットワークが進んでるかちょっと興味があって決めたけど皆はそんな簡単に決めていいんやろか?


 あ、そうそう。パソコンの進歩が気になった大きな理由は私の死後からあまり時間がたってなかったから。つまり何でかわからんけど昔の私が生きてたときもこの私は小さな子供ではあったがもう居たことになる。だから今触れてもそんなに何もかも分からないってわけじゃ無いと思ったからパソコンなんかにもまた触れてみようかと思った。


 「ほな稟、情報教室行こ。燈と晴ちゃんも」

 





 情報教室まで4人で連れて来ると早速中に入った。


 中には1クラスの人数分くらいのパソコンが並べられていた。そしてその前には向かい合うように1台のパソコンとその後ろにプロジェクターがあり、そこの椅子に・・・・・先生!?


 「なんで先生?」


 そう、クラスの担任がいた。


 「何でって部活紹介のとき言っとったやん」


 紅羽に指摘されるが知らないものは知らない。先生って天連って名前やってんな。


 ああ、そうか。入学式の時に自己紹介しとったんか。てことは私だけ知らんかったんやな。


 「お!誰も来んと思っとったけど4人もよう来たな」


 私達を見て先生が先に口を開けた。


 「天連先生ってここの顧問やったんですね」


 紅羽がたずねた。


 「いんやぁ。今年からだよ。部員が入らなければ顧問の仕事がなくなるからな。ここに変更してもらった」


 そんなことハッキリ言うてええん!?


 「それにしても学年の綺麗どころ4人が来るとは予想外やな」


 確かに紅羽がコンピュータ部て想像できひんもんな。


 「稟が興味持ったみたいなんで。それに天連先生が顧問みたいやったんで」


 それにしても紅羽はすごいな。何でそんなに先生とスラスラ会話できんのやろ。


 「ほう、夏芽がねぇ。それで姫路と柊も一緒にってわけか」


 姫と晴の顔に驚きの表情が浮かんだ。多分私にも。


 「どうして名前・・・」


 姫が呆然といったふうに呟いた。


 「ん?そうりゃあクラスの生徒の名前は全員覚えているさ。まあ学年と言われれば全然だがな」


 見かけによらなすぎやん。


 「っと、まあせっかく来たんだし今後の活動について話すか。4人とも入るつもりなんだろ?」


 先生の問いかけに頷く。


 「活動といっても部員はお前達だけなんだし好きにすればいい。ちなみに昨年の活動では文化祭でかんたんなソフトを発表した意外は放課後パソコンを触っていたくらいのようだ。で、お前達はどうしたい」


 「稟?」


 紅羽に促される。どうやら私が決めないといけないらしい。


 「放課後適当にパソコン触ってネットで何か話題でも持って来て楽しく話でもしたらええと思うけど」


 だって何かがやりたい訳ではないし、紅羽と話すだけの部活で正直いいとも思う。


 「それただ遊んでるだけやん」

 「え〜、遊んでるだけでいいじゃん。好きにネット見れるおまけ付きだし」


 紅羽の突っ込みに晴が反対する。


 「はっは、どうどうと遊ぶ宣言とはな。まあいいんじゃないか?私は楽できるし。それにお前達4人がパソコンに齧り付いているところなんて誰も想像できないだろうさ」


 どうやら活動はそれでいいみたいだ。この先生やっぱり私の好きなタイプみたいやな。


 「あとは・・・あぁ、部長を決めないとな」

 「それやと稟やな」


 当然というふうに紅羽が私の名前を上げた。


 「うちは無理やよ」

 「そんなことないよ。むしろ稟しかないやん」

 「ぇ、いや・・・部長ら無理やって」


 コミショウの私に部長なんて勤まるはずないやん。多分部活代表の集まりとかもありそうやし。ストレスすごそうやし。なんや今の段階で涙まで出てくるし。


 「ぁ・・・り、稟。やっぱりウチが部長やるわ」


 なぜか急に紅羽が代わりに部長をやる気になったらしい。


 「ええの?」

 「大丈夫。でもいろいろ助けてな」


 紅羽が眩しい。天使に見える。なんで私なんかをかまってくれるんかますます分からんようになる。


 「稟って意外と女泣かせかもね」

 「だね」


 って、姫も晴も何をボソボソ呟き合ってるの?


 「じゃあ神宮が部長でいいんだな?それじゃあ今日やらないといけないことは・・・入部届け書くだけやな。今渡すからさっと書いてもて」


 渡された紙に学年クラス名前、部名を書いて先生に渡す。


 「じゃあ、今日の活動は終了。明日までに授業で使わないパソコン4台選出しとくから今日はもう解散で」


 「はい」


 紅羽が先生の言葉に返事をする。


 やっぱり紅羽が部長で合ってると思う。





 

 解散したあとは昨日のように正門で姫と晴と別れて帰路についた。


 

天連先生はコテコテの京都人設定です。ただ仕事なので少し標準語を意識してるのでこんなしゃべり方になってしまっています。

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