プロローグ
この小説は作者の満足のために書かれている小説です。それでもよければお読みください。もれなく作者が喜びます。
また、この作品はフィクションなので、世間の製品などの登場した時間軸などには現実との間に若干のズレがありますし、登場する施設なども現実の配置とは異なります。話を好きなように展開できるように作中背景は変えているのであしからず。
パソコンを触るのが好きで情報系の大学に入った。周りは男の子ばかりだけど恋愛とかには縁がなくて部活やバイト、それに講義を取れるだけとって過ごした。部活に顔を出す度に合コンに誘われたりはしたけれど誰かを好きになったことがない私にとっては何の魅力も感じないものだった。
大学生活を過ごすうちに情報ネットワークに興味が出てその道の研究室に入った。でも研究に打ち込むほど日本という狭い学会のレベルの低さに嫌気がさしてくる。あまりにも酷い。確かにブラウン管テレビを平らに近い画面にした機械的な技術は凄いけどソフトウェア的な面がないがしろにされすぎている。確かにハードウェアによる管理システムの方が正確性も高くて設計もしやすい。でもあと10年もすれば殆どソフトウェアにとって変わるだろう。それが日本学会の老害達には分からない、理解できないらしい。それに伴って情報ネットワークも一般化するはずだ。今みたいに少ない回線使用量なら回線交換方式での通信がいいのだろうけれど、言っているうちに回線の太さは増してネットワークも充実してきたらパケット交換方式にうつっていくはず。そうすれば情報戦がどれだけ大事になってくることか。そう考えて私はアメリカの某大学院に進学した。
それから1年、好きなように研究に打ち込み博士号をとった。そして就職したのはまだまだ弱小だけど私の考えと似かよっている方針を立てている某検索エンジンの管理会社だった。そこで好きなように研究を進めていった。会社は急成長を遂げる。それと同時に私はハッキングにのめり込んで行った。情報の世界を支配している感覚に喜びと感動を覚えた。その感覚に依存していった。
それから数年、私はネットワークに繋がるもの全てを手に入れた。世間の誰も知らない。全ての情報端末に証拠どころかハッキングされたことを気づかせないハッカーがいることを。
でも。
それでも、幸せではなかった。心がどこか空白だった。
・・
・・・・
・・・・・・
目を開ける。激しく燃える機体。灼熱の地獄。瓦礫の山。
ああ、死ぬのか。1年ぶりに日本に帰るために乗った飛行機は数瞬の無重力を乗客に感じさせた後、瓦解した。
途方もない痛みがだんだん遠くになっていく。
ああ。
空はこんなにも広い。
でも私は1人だ。
生まれ変わったら、どんなに不自由でもいい、ただ、心を満たされてみたい。1人じゃなく誰かと生きていきたい。
ああ、幸せになりたい。
満たされたい。
アイ、ワナ、ビィ、ハピー。




