願い
「仕事をしてもらう前に、なにか一つ願い事を叶えてあげられるの
だから、なんでもっていうわけじゃないけど、なにか叶えて欲しい願いがあったら言って」
「やれないことって?」
「願いを増やしてとかはダメ
あとは・・・人に迷惑をかける願いもだめかな」
まあ、それはそうだよな。
そうなったら本末転倒だ。
「・・・・昔に戻してくれ、っていうのはダメかな?」
「んー、できなくはないとおもう」
「本当か!?」
「でも、さすがに江戸時代とかになると、歴史を変えちゃうかもしれないからそれはだめだよ」
「いや、それは大丈夫」
そんなに昔に戻ったら大変そうだ。
俺の願い・・・それはもう決まっている。
俺の人生が狂い始めたとき。
オンラインゲームにはまりすぎた俺が、おかしくなったとき。
「俺を・・・・高校の入学式の日に戻してくれ!!」
「本当に、それでいいんですね?」
「ああ、申し訳ないけど、よろしく頼む」
「・・・わかりました」
セレンは目を閉じて、何かを唱えだした。
すると、彼女からまばゆい光が立ちのぼり始めた。
その姿は神々しく、生きていたら絶対に見られなかっただろう光景だった。
徐々に、体が透明になっていくのが分かる。
あ、やばい、見とれてて、お礼をいうの忘れてた!
必死に声にだそうとするが、何故か声が出なかった。
体が透明になりすぎていて、声がだせない!
(ホントに! ホントに! ありがとなー!)
口には出せないが、伝わるようにと思いを込めて笑ってみた。
消えていく瞬間、彼女が驚いた顔をしていたのはなんでだろう。
「・・・・いくの?」
「・・・はい」
「あの男を選んだのは私だけど、
本当にあの男でよかったの?
あの男は何年も家族や友人たちを裏切り続けたのよ」
「・・・・あの人から感じたんです。
最後に言葉には出せなかったけど、感じたことのないくらい暖かい気持ちが。
あんな笑顔をできる人が、こんなにひどい人生を送るなんて、到底思えないんです。」
「・・・・わかったわ、いってらっしゃい
ちゃんと、彼の力になってあげるのよ?」
「はい!」