説明
「…っていうことなんですが…聞いてますか?」
「…理解は出来るんだけど、混乱してる」
ううん、とりあえず、言われた話をまとめると…
ここは天界。死んだらいける、ホンモノの天界らしい。
ここには神様とか、天使もちゃんといるらしく、死者の魂なんかもそこら中に
うじゃうじゃいるらしい。
で、なんで死んでもない(死んだような生活を送ってたけど)、健康そのものだった俺が天界に来たのかというと…
「…?」
じーっと見ると、きょとんとした様子でくびをかしげる女の子。
スカウトされたっぽい。この目の前にいる天使様に。
名前はセレンっていうらしい。
天使ってのは色々いるらしく、上級天使とか下級天使とか、はたまた子天使っていう子供の天使までいるらしく、
上下社会が結構厳しいみたいで、この子いわく、会社の上司みたいなものだという話だ。
しかし、天使自体はそんなにメルヘンチックな存在でもないらしい。
「えーっと、妖怪っていますよね?
いまは架空の存在になっちゃってあんまり見かけないけど、
あれも本当は存在していてるんです。
その正体と言うか、なんで妖怪が出来るかっていうと、
人間の悪意みたいなものが固まって、形になったのが妖怪なんです。
それだけじゃなくて、悪魔とか地獄、天国なんかも人の気持ちでできています。
ですから、ある意味私達にとって人は親みたいなものなんです。
・・・そして、それは私たちもおんなじです。
人の善意とか、うれしい気持ちが集まってできるのが天使です。
だから、ある意味私たちは妖怪とかと同じってことです。。
…あんまりこう言ったら、一部の天使はうるさいんですけど」
信じがたいが、そういうものらしい。
つまり、天使にとって人の善意は人間でいう飯らしい。
体を作るタンパク質の代わりが、人間の善意なんだとか。
しかし、最近天界は不況らしく、善意があんまり集まってこないらしい。
何でかというと、単純に外界、つまり地球の人間の善行がなぜか届かなくなってしまったのだ。
理由はまだわかっていないらしい。
その影響で、天界の一部が崩壊したり、なくなったりしてきているとか。
善意があんまり少なくなりすぎると、天使たちの命が危ないらしく、結構切羽詰まったかんじらしいのだ。
で、ここからが問題なんだが…
何を思ったのかその上級天使…社長みたいなもんか?
が、こんな企画を思いついてしまったらしい。
『人間を雇って、直接エネルギー送ってもらったらよくね!?』
そのかわりに、なにかその人間には願いを叶えさせてやろう、ということらしい。
そして、人間派遣会社『エンジェルクエスト』が設立された。
人間には天使が一人召使としてその人間をサポートしながら、善行を積ませていく。
そういう仕事に俺が選ばれて、ここに呼ばれたと。
それが、セレンのご主人様発言につながるってわけか。
「いやでも、ご主人様はやめてくれないかなー・・・」
「え? なんでですか?
課長にこういうと人間は喜ぶからやりなさい、っていわれたんですけど・・・」
いや、たしかに一部の人は超喜ぶとおもうけど。
課長さん、あんたこんな純粋な子になに吹き込んでんだよ!
「それで、エンジェルクエスト・・、あっ私たちはエンストって言ってるんですけど」
突然ストップしそうなネーミングだな!
思わずツッコミそうになったが、スルーする。
「お願いです! どうか、協力してもらえませんか・・?」