表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツミネコ  作者: 黒鷹
15/18

第四章2部〜レンボの猫

町に着いた。

町の名は、キャル。

色宿や、酒場が羅列される、男のよりどころのようなところだ。

または、真っ当に生きられなくなった女の末路の町。

有名なのは、町の中とは対照的な、真っ白な教会。

セント・シャレンカ教会。

ガセルの残した子供達も、ここに引き取られているだろう。

「お兄さん、寄ってって〜。」

「いい思い、させてあげるわよ?」

町の中を歩くと、すぐに女が声をかけてくる。

ジャックスは、見向きもせず真っすぐ教会に向かっていった。

「あぁ!ジャックス兄ちゃんだ!」

「え?本当だ!!ジャックス兄ちゃーん!」

子供達がジャックスを囲む。

傍から見ると、子供をさらおうとしている男、にしか見えないが。

「え?え?な、何!?」

「ガセルと旅をしていた、子供達だ。」

「ああ!」

そういえば、子供達の声に、時おりガセルという名が聞こえてくる。

リンは、にこやかに子供達の頭を撫でていた。

「・・・ガキ・・・。」

「ジル?何か仰いましたか?」

「べっつに〜?」

「死んだ。」

リンとジルが会話をし、その会話を聞いていた子供達が笑っている中で、ジャックスのその言葉だけは、りんと響いていた。

「ふぇ・・・うえぇぇぇええん・・・・」

いっせいに子供達が泣き出す。

「な、何事ですかっ!?」

シスターらしき人が慌しく出てきて、子供達を連れて行った。

「汚れない御心を、汚すのはお止めなさい!賞金稼ぎのかたでしょう?」

賞金稼ぎは人殺し・・・・純粋な子供達に、いい影響を及ぼすとは考えられない。

「あなたも、その魂を清めてはいかがです?人殺しなど、悪魔の所業です。」

「神に・・・言われたといったら、どうします?」

ジャックスは自嘲するかのようにいう。

「何を仰っているんですか?神は、人をお救いになります。」

「神直々に、殺せといわれているんですよ。悪の首領を。」

「もういいですっ、帰ってください。」

シスターは、すぐに戻っていった。

「神なんて、存在しない。」

ジャックスが確かに呟いたその言葉を、リンもジルも聞き逃さなかった。

「さて、今夜の寝どころでも探すか?」

「そ、そうだね。できるだけ、安いところで。ね、ジャックス。」

「ああ。」


「2名様ですね。10000ギルーになります。」

「高い・・・・・」

ジャックスがため息をつきながら、お金を差し出した。

店員はニコニコしながら受け取り、部屋に案内した。

「ね、ね!ジャックス、なんか舞があるみたいだよ!」

「勝手に行ってこい・・・俺、興味ないし。」

「なんで?行こうよ!」

「リン、1人で行けばいいじゃねえか!」

「だってさ、僕可愛いから、変な人に目をつけられるかもしれないし・・・」

「ジル、ついて行け。」

「お、俺!?」

ジャックスは横になりながら、テレビを見ていた。

リンはまだジャックスと行くと息巻いているし、ジルは俺は行かない、といい続けている。

「うるさい・・・・。」

結局、リンとジルに引っ張られるようにして、ジャックスは舞を見に行くことになった。

会場に着くと、ジャックスはカウンターに座って、シャンパンを飲んでいた。

「ジャックス、ちゃんとみなよ。」

「嫌だ・・・くだらない。」

「ふん、もういいよ。ジル、行こっ。」

リンはいじけたように、前の方の席へと映っていった。

「・・・ったく・・・・。」

「お兄さん、1人?」

横から妙な女に放しかけられた。

化粧の匂いが鼻をつく。

「何か?」

「一緒に飲まない?」

「結構だ。」

「あら。グレイの薬、あげようかと思ったのに。」

「何!?」

ジャックスはがたっと椅子を蹴飛ばした。

女はふふっと微笑みながら、その姿を見つめている。

「聞きたくなぁい?私の話。」

「・・・・・話してもらおうか。」

ジャックスは、リンとジルを残したまま、店を出た。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ