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序章〜ハジマリの猫
「・・・・どうしてっ・・・・どうしてなんだよぉ・・・・」
少年は、泣いていた。目の前に転がる冷たい物体と、
赤黒い刃物を持っている男の前で、泣いていた。
「お前のためだよ。」
男は冷えた声色で、ゆっくりといった。
「なんで・・・・しちゃったんだよ・・・・お父さん・・・お母さん・・・・。」
「俺は、お前だけいればいい。お前も、そうだろ?」
「許さない・・・兄ちゃん・・・・・・許さないっ・・・・」
少年は、銀色の髪に、白い耳、白い尻尾を、一夜にして黒く染めた。
黒は、罪の色。
少年は、自らを『ツミネコ』と称するようになった。