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死にたい僕ら  作者: うわの空
第3章 相葉理奈
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 男二人でラブホテルに入ると、かなり勘違いされる気がする。という心配は必要なかった。レキが探していたのは、ラブホテルではなくてビジネスホテルだった。リナが歩いていった方向にはラブホテルが立ち並んでいたが、レキはそこをさっさと通過すると、ビジネスホテルを探せと言ってきた。

「…なんでビジネスホテルなんだ?」

 思わず問いかける。ラブホテルだと決めつけていたのもどうかと思うが、男女で行くホテルと言えばやっぱりあちらだろう。

「1対3のあの組み合わせじゃ、ラブホには入りづらい。入店を断られる可能性も高い」

「そうなのか」

「知らなかったのか?」

 春彦は黙り込む。知らなかった。

「だとすれば多分、ビジネスホテルの4人部屋だ。それならまだ不自然じゃない」

 正直、それも希望的観測だ。何もホテルに入ったとは限らない。男の家に連れ込まれた可能性だってある。春彦はそう思ったが、声には出さなかった。

 ホテル街を抜けてしばらくすると、少しさびれたビジネスホテルを見つけた。レキは迷わずそこに入ると、フロント係に笑顔で尋ねた。

「ついさっきここに、男女4人組が入りませんでしたか。多分、予約名は相葉」

 フロント係が名簿を確認する。

「さっきチェックインされたところですが…」

 ビンゴ。春彦は感心した。

「部屋番号、教えてもらえませんか」

 さすがにフロントが不審に思ったらしく、「どういう御用件でしょうか」と訊いてきた。

「忘れ物をね、届けに来たんです」

 レキはにやりと笑って言った。


 上昇するエレベータの中で、レキは回数表示をにらみつけていた。しばらく無言だったが、

「…これがな、初めてじゃないんだ」

「え?」

「リナがホテルに入るのを、何回か見たことがる。だから分かった」

 レキの顔は笑っていなかった。むしろその顔には、怒りの感情が浮かび上がっていた。

「出来るだけ穏便にするつもりだけど、万が一の時はお前がリナを連れて逃げろ。リナの家は、ここからそんなに遠くなかったはずだ」

「お前は?」

 レキはふっと笑った。

「リナの代わりに、あいつらのお相手をしてさしあげるだけだ」

 目的の階につき、ドアが開いた。

「行くぞ」



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