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配信者
スライムを見つけた。
この辺りは発生率も安定してるし、動きも緩い。正直、今さら緊張する相手じゃない。
「コメントでも来てるけど、今日は一体ずつ丁寧に〜とかはやらない」
配信画面にちらっと視線をやりながら、短剣を構える。
「干物とか燻製ってさ、手間は数で変わらないんだよ。だったら最初からまとめていく」
核を一撃。
スライムは形を崩さず、そのまま沈黙する。
「はい、一体目。こんな感じで、これを――」
同じ作業を淡々と繰り返す。
無駄な動きは省く。慣れたダンジョン、慣れた獲物。
気づけば袋の中には、ぷるんとした塊が十体分。
「よし、十分。今日はこれで終わり」
コメント欄が少しざわつくのを横目に、思わず笑う。
「いや、十分だろ。これ以上は干す場所が足りない」
帰還準備をしながら、頭の中はもう次の工程に移っていた。
水抜き、下味、燻煙。
あとは火と時間に任せるだけ。
「というわけで、次は燻製作業。ここからが本番な」
そう言って配信を切る。
ルンルン気分、というのは多分こういう状態だ。




