表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/19

冒険者

ダンジョンに足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。

 湿っていて、冷たく、わずかに金属臭が混じっている。


「……本当に、来ちまったな」


 45歳。独身。貯金は心許なく、将来の保証もない。

 だが、白い魔石一個が数十万――その一文が、彼の背中をここまで押してきた。


 講習で叩き込まれた通り、足元を確認しながら進む。

 照明代わりのランタンが、岩壁をぼんやりと照らした、その時だった。


 ぬるり、と音がした。


 床の陰から、半透明の塊が現れる。

 拳ほどの大きさ。水袋のように揺れ、内部で何かが脈打っている。


「……スライム、か」


 講習では“最弱クラス”と説明された魔物。

 だが、実物を前にすると、背中に嫌な汗がにじむ。


 剣を構える手が、わずかに震えた。

 相手は生き物だ。ゲームじゃない。


 スライムがこちらに近づく。

 遅い。だが、確実に距離を詰めてくる。


「……落ち着け」


 一歩踏み込み、剣を振る。

 刃は確かに命中した――はずだった。


 ぶにゅ、と嫌な感触。

 刃が沈み、絡め取られる。


「え……?」


 次の瞬間、強い引力。

 足を取られ、体勢が崩れた。


 ――しまった。


 講習で聞いた言葉が、遅れて脳裏をよぎる。

 スライムの内部は消化液。防具越しでも危険。


 彼は必死に剣を引き抜こうとした。


 その時だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ