18. 二人の道-1
俺はゆっくりと目を覚ました。
正面の窓には相変わらず水平線しか見えない。
どうやら寝ていたみたいだ。
となるとさっきのは夢だろうか。
蓮と紬……なんでそんな夢を見たのかははっきりしない。
「目覚めましたか。」
隣から声がする。
隣のお姉さんの肩に頭を預けて寝ていたようだ。
驚いて顔を向けると、綺麗なお姉さんがいた。
見た目的には大学生か、大人か……とりあえず若かった。
長い髪に赤いリボン。
白い着物を見るに、巫女さんの服のようだった。
「いかがですか? お気分は。」
お姉さんが優しく声をかけてくる。
「はい、大丈夫です。ところでお姉さんは……?」
「私? うーん、まだ思い出せないか……。」
お姉さんが少し寂しそうに肩を落とす。
「旅の途中だし仕方ないのかな。」
その言葉の意味は、今の俺にはよくわからなかった。
「もう少し君の旅は続くよ。旅の最後には私のこと分かるかもね。」
そう言うと彼女はゆっくりと立ち上がる。
ちょうどその瞬間、電車は静かに駅に停まった。
コツコツと足音を立てながら彼女はドアに向かう。
「またね、○○○○。」
手を振ってホームに消えていく彼女。
その背中を見送ると、なぜか胸の奥がぎゅっと締め付けられた。
何か知っていそうだったのに、何も聞けなかった。
この電車のことも、夢のことも。
結局は何もわからずじまいだった。
でも、確かに「最後」があることは知れた。
どこまで乗ればいいかわからないけれど、ただ乗り続けていればいいのだと、自然に理解していた。
か細いアナウンスが流れた。
「ドアが閉まります。」
ゆっくりとドアが閉まる。
そのとき、急に駆け込む音が響いた。
三つ編みに赤いリボンを結んだ女性――間一髪でドアに滑り込んできた。
「はぁ……はぁ……ぎりぎり間に合いました。」
息を切らしながら女性はそう言い、そのまま自然と俺の隣に腰を下ろした。
見た瞬間、今まで乗ってきた3人――巫女姿の女性や、夢に出てきた少女たち――とどこか面影が重なることに気づいた。
この子も、“紬”だったりするのだろうか。
「思った以上に混んでてね。走ったから喉乾いたよ~」
彼女は馴れ馴れしく、自然に話しかけてくる。
「そっか。間に合って良かったね。」
そう返すと、女性はきょとんとした。
まるでそんな返しが来ると思っていなかったかのように。
「ねぇ、そろそろ思い出してきたんじゃないの? 自分のこと。」
突然の質問に、俺は少し戸惑った。
「わからない。でも……もう少しでわかりそうなんだ。」
「そっか。じゃあ、思い出せるようにこの私がお話をしよう。」
彼女は胸を張って言った。
「うん、頼むよ。」
深呼吸をして、彼女は語り始めた。
最初は静かに、ゆっくりと。
だが、次第に声に熱を帯びていく。
「蓮と紬の話ね……」
彼女は遠くを見るように目を細め、ゆっくりと話しだす。




