私たちの物語を
「さあ、神よ。よく目に焼き付けなさい」
私は目の前で展開された境界、偽神と英雄が対する先へと足を踏み入れる。
歩む道はじりじりと熱く、シグルドがどれほど力を尽くしたのかを肌で感じる。
「私たちは数多の苦難、痛み、涙を流してここにやってきた」
無情な神、だけど私は知っている。
本当に何も感じないなら、物語になんて目を向けない。世界は存在せず、私という断片が生まれることもなかった。
「人々の輝きはちゃんと確かに存在して、あなたの心に、貴方の落とした影に響いている──」
それはあなたの真の願い、他者と歩みたいという意思は年月をかけてここに来た。
「私は人の世で生き、人の世に身を埋めましょう」
私は選択をする。
それは多くの人からすれば大したものじゃない。
それで何かを変えられるわけでもない。
けれど、私は彼らと共に歩みたい。
「“衆生”の刻印を心に刻んで、前へと進みましょう」
神との繋がりを断ち切り、ここに存在するのは神にはなれない未熟な花。けれど、それがいつか芽吹き、また散ってゆくことを受け入れよう。
身をすり減らしても立とうとするシグルドへと手を伸ばす。
「運命を決めるのは神じゃない。私たちが選択し、積み上げてきた未来。一人の人間として、私と貴方で物語を綴りましょう♪」




