理由は空虚に溶けて
徐々に頭が混濁してきて、目の前の光景も嘘か本当か判別がつかない。
ただ、冷たく暗い闇の中へと体は沈んでいく。
一つの声がその暗闇から響き渡る。
それは私の声で語りかける。
──どうして彼女を守ったの?
「仲間……だから……」
言葉すらも徐々に紐解けてゆくように記憶から消えていく。そうなりたいと思った願いも、思い出も全てが溶け出してゆく。
──どうして彼女を仲間と思ったの?
夢のような心地で、それでも心に潜む熱が光を示してくれる。
「きっと、隣にいてくれたから、よ」
辿々しくても、その気持ちだけは手放したくない。
──なぜ君は彼女たちの仲間でありたいと思うの?
沈みゆくのは生まれた深淵。けれど、ここには何の温かみもない。冷たさだけしか残らない。
「人として、歩むために」
胸に手を当てて、大切なものを最後まで留めようとも、不意に消え去ろうとする。
「いずれ、失っていくかもしれない痛みを、知っているから……」
──どうして人を愛するの?
空になってしまった心を、器が埋めようとしても空虚ばかり。
何を大事にしていたのかという理由すら忘れて、ただ鏡の破片のようなものが映し出す景色を見つめる。
瞳の中に映るのは、既に遠い場所から振り返る彼らの姿だった。




