捨てられた場所
永遠の日常、退屈な日々。
具体的にどこが退屈かというと、強いていうならサプライズがないこと。予定調和、尽きることのない仕事、絶望もなければ希望もないこと。
そんな日常にも、いつかは終わりが来る。
或いは、ずっと待っていたのかもしれない。
「人が、一人、二人……」
目の前にいる少女たちの顔を見るために仰向けにすると、微かに息の音が聞こえた。
「困ったね。台車とかないし、どうやって運ぼう?」
暫くすると、片方が目を覚ました。
「良かった。起きられる?」
「……うーん、ここは?」
頭が判然としていないのか、寝ぼけたような声だ。
「ここは古骸の遺跡って呼ばれる……なんていえばいいのかな、廃棄されたデータ空間ってやつだよ」
データ空間? と少女は小首を傾げて呟いた。
「ふむ……知らないんだ。なら、後で教えてあげるよ」
僕の言葉を聞いて、彼女は隣で倒れているもう一人の少女の方を揺すった。しかし、そちらは全く起きる様子を見せない。彼女は振り返って、僕を見た。
「……えっと、寝かせられる場所に案内させてもらっても大丈夫かしら? 私はミュリア、ただの旅人よ」
「うん、僕のことはアーシャって呼んでよ。それにしても、旅人……凄いね。憧れるよ」
「それほどでもないわ。今は、旅の途中で迷ってしまったようなものだし……あっ、でもいろんな出会いをしてきたわ。……大事な仲間とも出会えた。今は離ればなれになってるけど、あなたにもきっと紹介するわ」
「それは嬉しいね。うーん、でも難しいかもしれない。なにせ、ここから抜け出せた人を聞いたことがないし」
時計を見ると、既に帰る時間になっていた。
あまりここに留まっていても仕方ないだろう。
「それはどういう──」
「おっと、話は後にしよう。こういう話を一日で済ますのは勿体ないからね」
帰還用のポータルを彼女の前で開いてみせた。
「僕は貧弱だから、この子を一緒に持って入ろうか」




