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運命の始まりに
記憶の始まりはため息から始まった。
「はぁ……」
その少女は疲れたように力なく地面にへたり込んだ。
何かを示すメーターが数字を減らしていく音を時計代わりに、死へと近づく時を刻んでいく。
「最後の一時って、身構えすぎて長く感じるよ」
その顔に恐怖はない。ただ諦めている。
行き詰まった現実をただ受け入れた。
「……もうみんないなくなっちゃったんから、寂しさも感じないし」
独り言のように彼女は呟いた。
「でも、あなたは違う。あなたはこの世界に祝福を受けて生まれた存在。だから……私たちがどうしようもなく無価値でも生きてほしい」
その手が、ガラス越しに触れた。
「ごめん、一緒には居てあげられない……死に顔なんて見せたくない」
ガラスの向こうにいる彼女は固定を外そうともがいているが、少女はそれをそっと押して外へと見送った。
けれど、彼女は必死で訴えて、遠くへと離れていく少女に必死で手を伸ばした。
「世界は偽りで、真実は残酷だった」
宇宙は何処までも静寂に包まれて冷たい。
「でも、私の家族はきっとそんなことないって証明して」
──マス、ター……
全ては過去の記憶、二度と変えることのできない運命の物語。




