ジャーマンスープレックスって、後半をポテトに変えたら美味しそうになるね
体を覆っていた気持ち悪いのが取れて、外から流れる心地よい風が来夢の頬を撫でた。
「んー、気持ちいいね。」
「はい、絶好のお洗濯日和ですわ♪」
「あとでお布団洗ってもらっていい?」
「もちろんですわ♪ベルの腕の見せどころですの、真っ黒から真っ白にして差し上げますわ♪」
仕事を与えられて嬉しいのか、ベルはチャリンと景気のよい音を鳴らした。食堂までの道のりで普段とは違うものがあった。お姉ちゃんが愛銃を持っていた。
「おはよ、お姉ちゃん。」
「ん?おはよー、大分寝たねーこれからご飯?」
「うんそう、お姉ちゃんは?」
「アイツらの稽古だよ。予定が合ったから試運転も兼ねてね。」
アイツらと言うのは、黒澤、赤木、茶野の3人だろう。自分がいない話し合いがあったことに、少しモヤッとしたが、彼らのことを来夢は猛烈に知りたかった。
「お姉ちゃん。その稽古、見ていてもいい?」
若干あざといと思いながら、人差し指同士をくっつけながら懇願した。すると、怜夢は左手を来夢の頭に乗せ、髪がぐちゃぐちゃにならないよう、優しくゆっくり撫でてくれた。
「もちろんいいよ」
「やった!ベル、ご飯は稽古場に持ってきて!」
「えぇ~!…かしこまりましたぁ…♪」
お姉ちゃんは他愛のない話をしながら、稽古場まで僕の歩幅に合わせて歩いてくれた。足音と一緒に鳴る愛銃の音が酷く安心する。
「ほら、うるさくなるからちゃんと付けな。」
僕が首に掛けていたイヤーマフを指差す。本当にこの姉はいつまで経っても優しいと思う限りだ。言われた通りに装着すると、お姉ちゃんの話し声以外は聞こえなくなった。
入口の扉を開くと、弾丸のような速度で何が来夢に向かって放たれた。あと少しで直撃、というところでそれは怜夢の手によって阻まれた。
「これは、チェスの駒?」
そう飛ばされたのは、黒色のポーンだった。飛んできた方向をみると、『新星』を持った黒澤がジャーマンスープレックスを決めたような姿になっていた。
「黒澤さん大丈夫ですか?」
「反動があまりにもデカくてナ!また年甲斐も無く腰をやってしまうところだったゾ!」
「なーにやってんだよ、うちの妹に当たったらどうすんだ。次はないからっね!」
もう少しで起き上がりそうな黒澤に目掛けて、大きく振りかぶり、ポーンを投げ飛ばした。
「いった!」
「ストライク!バッターアウッツ!」
顔面直撃の黒澤。ノリノリで赤木はカウントを取るのであった。
【今日のグリストーリー】
怜夢は近くにいると、棺桶から出てきたような防腐剤の匂いがする。パートナーが葬式関係の人だから匂いが着くとよく言っている。




