私は彼らと共に在れるものと妄想は膨らむ
「混血か…どちらにも属すことができない存在とは、なんとも言えないゾ。」
「天使族は私と私の妹、怜夢、希夢、来夢の5人しかいないので、混血だろうが純血だろうが受け入れてはいる。悪魔族はよく思っていないようだがな。」
顎に手を添えた黒澤は、笑顔を取り払って神妙な顔つきに変わる。しかし、疑問に思った。
「上官殿。」「怜夢さん。」「はい、怜夢殿」
「怜夢殿、貴方は駐屯地を襲った悪魔と親しげな様子でした。お会いしたことがあったのでしょうカ?」
「頭回るねぇ、そだよ。ママが出ていく前までは悪魔族とはいい関係が築けていたんだ。よく正月とかうちに集まってたからお年玉もらってたよ。」
ナポリタンを頬張りながら怜夢は答える。お上品に口元を手で押さえていたので、左手の薬指にはまっている指輪がよく目立った。
「そのころの食満家は和平の証とも言えた。天使族が極端に少ないため、悪魔族が戦力に加わったのがとても有り難かったんだ。だが…調子乗って一気に信用の証に、この空間への許可証を渡してしまったのが間違いだった…」
ダリパパの顔は、何処ぞの世界を救ったツインテエルフのように変わった。そして一同派思った。
あんたなかなかヤってるなーと。そのせいでこの前襲撃されたんだよな???でもダリパパってば、結構反省してるみたいで、2mくらいある体がどんどん小さくなっているように見えた。
「じゃあ今やるべき最優先事項は、この空間が襲われない為に許可証を取り返すことやな。パパさん、許可書はどんだけ配ったんですか?」
「悪魔族のリーダーたちに配ったから、妻も入れて全部で7つ。」
3人は考えた。勝…てるかな??と。駐屯地で人間たちが扱う武器は効かないと分かった今、最も有効打となりそうなのは、茶野の義足だけだった。一体どうするべきか、と頭を抱えていると来夢が、人差し指でちょいちょいと突いてきた。
「あの…作りませんか?皆さんの専用武器?僕が最高に強いやつを作ってみたいんです。」
「…願ってもないことだ。是非ともお願いしたいゾ、職人殿。」
黒澤は来夢の前に手を差し伸べた。それに来夢も差し出し、2人は強く握手をした。まるで会談が成功したように。
では行こうかと、来夢は空になった皿を背に部屋を出ていった。残されたダリと怜夢は心底驚いていた。娘が、妹がまたモノを作りたいと思えるようになるとは。いい大人が2人して涙を流したが、口角は全く下がらなかった。




