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ロマンスシリーズ

2日も遅れてしまい申し訳ございませんでした。

今回は1014文字です

「植え付けるってどういうことだ…それで金が助かるのか…?」


「助かるかは五分五分。まずやったことがありませんし、感覚に縋ってやりますから、助かったとしてもその後がどうなるか全く分かりません。」



 それは最悪の選択だった。何も出来ずただ親友の命の火が消えることを待つか、生きても死ぬような思いをするかもしれないか。

 血を止めようと黒澤が『茶野』の脚を押さえつけ続ける。だがその行いも虚しく血は流れ、『茶野』の顔はさらに蒼くなっている。刻々と時間は無くなっていた。



「わかった。やってくれ…」


「かしこまりました」



 涙を一滴流しながら言った。来夢は『茶野』のすぐ横に座り込むと、心臓の近くに耳を当てた。トク…トク…と弱々しくも脈立っている。


 あの時の、僕の子供たちを生み出した時を思い出せ…どんな些細なことでもいい。再現しろ、感じ取れ…

 来夢は吐き気と恐怖に冒されながら、脳みそをフル回転させる。『火のない年』で受けた屈辱を思い出し、そのときの感覚を身体の隅から隅まで理解した。



「あぁ、分かった気がする。ここから産まれたんだね。」



 そう言うと、下っ腹に両手を突っ込み始めた。血は出なかった。奥へ奥へと手を進ませると、コツン…と何かが指にあたる。


ずるり…


 音と一緒に光を放つ卵が現れる。それはあまりにも絶望とは程遠く思え、その場にいた全員は涙を流し、操られたようだったアームストロングは目に光を宿して動きを再開した。



「私はいったい…ん?あのゴミ、何をしようとしている?…!おい廃棄物グリスト!!貴様はまた望まれない子を作るつもりか!!!」 



 アームストロングが大きく踏み込んで飛び、来夢の頭を握り潰そうとその大きな手を向けた。



「昔掴んだあの時の感覚。命の鼓動、魂の形。貴方に私の卵を捧げます。どうか交わり貴方の力となりますように。

そしてこの行いに名をつけましょう。

言霊は時には真に、時には偽りに。」



托卵たくらん



 茶野に卵が埋められると同時に、来夢はアームストロングに首を掴まれた。少しでも息を吸い込もうと、掴んでいる手と首に手をかけ、気道を確保しようとした。



ドクン…ドクン…!!!!



 瞬きをすると辺りは太陽光によって、所々が青く見える黒で充満していた。それは波打ち、アームストロングを飲み込んだ。解放された来夢は首を擦り、掠れた呼吸を再開する。

 ゆらゆら揺れるそれは一カ所に集まり始める。その先には失った左足がまるでアンティークの万年筆のような茶野が立っていた。



「浪漫だわ…♡」

《本日のグリストーリー》

 怜夢は地毛の黒髪に飽きていて、よく派手髪になる。今は結婚相手の瞳と同じピンク色に染めている。相手からはブリーチのしすぎでそろそろハゲないか心配されている。

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