情報共有は必要だが嫌なことからは逃げるが勝ち!
まあそんな感じで張り切ってババン!と音が出るくらいドヤ顔をした僕だけど、一つ問題が発生した
それは金銭的な問題でもなく、僕自身の意識的な問題…
僕は一瞬固まったあと、ガガガとくらいの音がなるくらいのスピードで体をお兄ちゃんのほうに向けて言葉を放った
「お兄ちゃん、助けることには勿論、協力するよ
だけどね…僕は他人と話すことなんてできないよ!?」
「え!?そこ!?」
「当たり前でしょ!?お兄ちゃんともずっと話せてなかったんだよ?しかもお兄ちゃんの友達ってすごく気まずいんだけど!」
めっちゃ喋れた☆うれしー!
ってな感じが半分とまじで知らない人に会うことに対する心配が半分だった
そんな僕を見てお兄ちゃんはポカンと口を開けて、行き場のない手を何も無い空間に向かって、握っては離して、握っては離してを繰り返していた
すると、お兄ちゃんは正気を保とうと頭を何度か振った
「大体そこよりも来るであろう敵のほうに意識がいかないか!?もしかしたらめちゃくちゃ強いやつがくるかもしれないだろ!?」
少し焦り気味のお兄ちゃんを見て、僕は少し冷静さを取り戻した
「そんなことはないよ。
ここに向かってきている『悪魔』の音が聞こえて来たけど、羽の音がうるさいんだよ。上級の『悪魔』なら動きが洗練されているからすごく静かになるはず。だから最高でも中級の『悪魔』だよ」
「お…おお…流石の地獄耳だな、じゃなくてとりあえずあいつらに会いに行くぞ
兄ちゃんが頼んどいてなんだけど、誰が守るべき相手なのか分からないと任務に支障が出る」
お兄ちゃんは僕の手をとってその人たちがいる、大広間に連れて行こうとした
が…そうやすやす言いなりになる来夢ちゃんではなぁぁぁい!!
握られた手をするりと解き、一瞬で距離をとった
「あ!ちょっと来夢!」
お兄ちゃんが追いかけてくるので逃げるしかないっしょ!僕、全力疾走しまーす
というわけで、僕とお兄ちゃんのまあまあハードな追いかけっこが始まった
廊下を裸足でペタペタと走り回る僕たち。すると大浴場が見えてきた。ようやく掃除を終えた使用人たちが、のれんが顔にかからないように少し屈みながら出てきた。いきなり走ってくる僕たちにびっくりして、のれんがかかっている引っ掛け棒に当たって廊下に放り出された。
それを見逃さなかった僕は走りながらのれんをキャッチして、勢いよくお兄ちゃんに投げた
思いっきり顔にのれんを被ってお兄ちゃんは壁にぶつかった
やった!とぶつかっているお兄ちゃんを走りながら確認していると僕は油断して、曲がり角から出てくる人に気づかなかった
どーーーーん!
「うわー!!」
「いたっ!!」
僕もぶつかったその人も尻もちをついてしまった
恐らく使用人にぶつかってしまったと思い、すぐに顔を上げ、謝罪の言葉を言おうとしたが、先ほどの相手の叫んだ声は今まで聞いたことのない声だったことに気がついた
あれ…????こ…これって…もしかしてぇ…????
困惑する頭は落ち着かず、そうこうしているうちに後ろにいたお兄ちゃんが追いついてしまった
「来夢!いい加減に…って、なんだよ青井じゃないか」
あーーーーお兄ちゃんのお友達第2号だーーー