舌炎の原因は重曹でした。
なんとこのお話、3分で読み終わるんだっピー
アームストロングは口の横に付いた米粒を長い舌でペロリと舐める。あと気付かなかったが、口には火の付いた葉巻が咥えられていた。彼は帽子をクルッと回して被る。
「御仁、貴方は素晴らしい知識をお持ちなようだ。だが申し訳ない。大砲も悪魔も一度決めたものを歪めることはできないのだ。」
『赤木』の肩にはアームストロングの手が添えられている。葉巻に付いている火が口元に近づき、火がその葉巻の存在をこの世から消した。それは誰もがわかる合図だった。
「高い高いはお好きかな?」
ボシュ…
再び弾がシルクハットから発射された。それは上へ上へと登ると、空中でワンテンポ取り、『赤木』に向かって甲高い悲鳴のような音を上げて落ちてくる。
チッ…
来夢はそれを思いっきりぶっ叩いて軌道を逸らした。大鎌はその衝撃に耐えきれず大破した。破片が散らばり、それは『赤木』にも向かう。来夢は腕を黒い触手のように変え、優しく『赤木』を包み込んで破片の嵐を凌いだ。
「融通が利かない奴って嫌い。」
「誰にでも公平で平等だと言え、ゴミが。」
距離を取り合う一瞬に耳元で言葉を放つ2人。赤木を抱え、一飛びで距離をとった。その間にも葉巻を咥えて火を付けるアームストロング。今度は1本ではなく5本咥えていた。『吐き戻し』には時間がかかる。でも全員を守るには…
頭をフル回転させる来夢。こういうときはどうすればいい…似たような状況を探せ…フラッシュバックされる記憶を辿る。仕方ない、今使おう。
「西組!」
来夢が叫ぶと西組が『5.56mm機関銃MINIMI』を撃ちながら現れた。銃弾は葉巻に命中し、5本中3本の火種を消し去った。
「タイミングは?」
「さいっこう。」
「ありがとうございます。」
簡潔な会話をすると、西組は腰回りから『SFP9』を取り出して『茶野』に渡した。『茶野』はすぐに弾が入っているかを確認して『SFP9』を向けた。グリップ、トリガー、リコイルが丁寧に造られた銃は『茶野』の手によく馴染んだ。
「あのバケモノとサシで勝てるんですか?」
「本当のこと聞きたい?正直きつい。」
西組が聞くと来夢は額に汗を垂らしながら返す。こうなれば頼みの綱は怜夢だが、一向に彼女がこちらにくる気配がなかった。
「おい!来夢、屋敷の時みたいに丸呑みはできないのか!?」
「無理!あれ弱ってたり自分より格下じゃないと出来ないんです。ポケ●ンのモン●ター●ールのシステムとほぼ同じなんですよ!」
黒澤は後ろに隠れながら進言するが、それも儚く散った。人間VS悪魔の修羅場。5-1でもアームストロングの圧倒的な実力と経験、そして年齢という差で5人に勝利の女神をチラつかせなかった。
《本日のグリストーリー》
来夢はお風呂にスマホを持っていく派。好きなYouTuberグループのLIVE配信を聴くのが趣味になっている。あまりグッズが出回らない人たちを推しているからか、常に供給不足になっている。




