宝くじあたったことある?自分はね、ない。ビンゴも1回しか当たったこと無いw
絶対3分で読み終わる
「………」
黒フードは話さなかった。
本来ならその瞬間はそよ風の音でも耳に入りそうだが、今は打って変わり惨劇の音が絶えず響いていた。
「沈黙は肯定ってことでいいのかな?そんな事しても先にあるのは破滅だってのによくやるよね」
「お前たち『天使』はいつもそうだよな…」
「あ…?」
黒フードは怒りの眼差しをこちらに向けて言い放つ。
握り締める拳からは血が滴り、痛々しさをより一層強調させた。
「昔はよく言われたさ。天に願いを捧げれば必ず救いの手は伸ばされると。なのに…なのになんだ!!
お前たちは一度でも俺たちの想いに応えたことがあるか!!
全てを擲って最後の願いを伝えた者もいたぞ!
この生き地獄から解放してくれと。
それでも応えてくれないのか…!人間は救う価値が無いとでも思っているのかよ…応えろよ!」
そう言う黒フードの顔が露わになった。
まだ成人もしていなそうな幼い少年だった。
涙が溢れながら心臓の近くを握り締める少年はまっすぐ怜夢を見ていた。
一方の怜夢はスマホを高速連打していた。
「は…?お前、なにしてんだよ」
「何って沢山叩いてお金もらうイベントやってるの」
「…え?は…?お前、俺がこんなに言ってるのに、呑気に遊んでたのかよ…」
「遊んではいないよ。聞くほどでもないと思ったからこうして暇つぶしをしていたんだよ」
怜夢は落胆しながら言った。
まるで、最後の一桁が合わなかった宝くじを見つけたみたいに。獲物を見つけた、と輝いていた瞳はそこにはなかった。
「なんでそんなこと思えるんだよ…人の命をなんだと思ってるんだ!!!!!」
少年が怒りの言葉をぶつけると、耳のすぐ横に銃弾が撃たれた。それは紛うことなく怜夢が撃ったものだった。
機嫌が悪そうに怜夢は少年に近づき、壁に足を思いっきり踏みしめ、足ドン状態で話し始める。
「なんであたしたちが何処の馬の骨かも知らないやつを助けないといけないんだよ。好いてもいないやつを助けて何の得になるってんだ。こっちは猫の手でも借りたい状態がずっと続いてるっつうのにそんな暇はないんだよ。」
美しい怜夢の顔は眉間にシワが寄り、鋭い瞳が強調されてしまった。いつも人を怖がらせまいと笑っている顔は父に似て、気を抜くとすぐに人を殺しそうになってしまう。
少年の涙は止まらなかった。
僅かに残っていた瞳の光も消え、頭に浮かんだのは『絶望』の一言だった。
「そうか…そうなのか。嗚呼、わかったよ。お前たちは俺たちの想像以上にクズでいてくれたんだな。
…なら心置き無くできるよ」
「は?お前なにする気…」
「『アームストロング卿』、お願いだ。
俺を含め、被災者50名の心臓をくれてやる。だからこいつを…いや『天使』とそれが寵愛を送っているものを…
全てを壊してくれ。」
「いいだろう、取引成立だ」




