だーんだーん進んでーく♪
なかなかなかなかにグロいシーンを見た一同は若干顔を引きつつも、この家で起こることに少し慣れてきたようだった
トゥントゥン♪トゥトゥトゥン…♪
来夢の体から微かな光と音量調整を間違えた効果音が爆音で鳴り、まるでどこかのセンターで傷を治してもらったようだった
「よしよし、美味しかったか?」
「うん、なんか若干獣感があるんだけど、コッテリしてて口に味が残って、一週間後にまた食べたくなるような味かな」
「いや感想家系ラーメンかよ」
食満兄妹にツッコむ青井は完全に雰囲気に慣れていたのでした
そうやって話ながら来夢は、作り出した影の口から舌を出して、食べたときに溢れたガンオイルをぺろりと舐めた
グダグダしていると時間が進み、時計が12時を指すと鐘の音が屋敷全体を包み込んだ
ボーン…ボーン…ボーン…
「もう12時を回ってしまいましたか…」
「そりゃいろいろとあったからナ!飯は食えていないがそろそろ休むとするカ!」
その言葉を聞くと、一同は仕事終わりの疲労と先程の非常事態による緊張を思い出し、どっと疲れがのしかかってきた
「晴侶ちゃんの言う通りだけど、オレらも仕事終わりにこれだから結構疲れたよねー
なあ一郎…じゃなくて希夢〜今日泊まっていいんだったら、風呂くらい入れてくれよ」
「確かにそうだな、大浴場に案内するわ」
顎の下に手を当て、少し考えた希夢は手招きをしながら廊下に向かって歩き出した
一同がついていき、希夢が襖を開けると先程追い出されたマダムレンズとミスベルが俯きながら姿勢良く立っていた
「レンズにベル、まだいたのか」
希夢の後ろから2人を見ようと、希夢フレンズが俺も私もと顔を覗かせた
そんな一同に新聞の柄と蛸の目の柄のような2人の瞳が向けられると口を揃えて言った
「「リトルマザーとお話をさせて下さい」」
2人の目は真剣でその意思に偽りはないようだった
「…お前らな!」
「…いいよ、2人ともおいで」
水原がまた追い出そうとしそうな勢いで話すが、来夢はそれを遮り、2人を部屋の中へ誘った
「僕は後で入るから皆さんはお先にゆっくりしてきて下さい」
そう言うと、来夢の影がまた伸びてマダムレンズとミスベルを持ち上げて部屋に入れたと思うと、希夢フレンズたちの背中を押して、廊下へ追い出した
彼らが振り返るときにはその影が襖を半分ほど閉めてしまい、中の様子をあまり確認できなかった
だがそれでもわかったのは、来夢は青井がするような人を騙すような笑顔をしていたのだった




