挨拶しましょう、そうしよう
「もう仕事が終わったのね、我が家の使用人たちはとても優秀だわ。ありがとうマダムレンズ」
「いいえぇ♡♡リトルマザーのためならいくらでも働くわよぉ♡♡♡」
そう言いながら、マダムレンズは来夢の顔をより一層深く胸に沈め、高いヒールを履きながら、心躍るようにピョンピョン跳ねた
そして置いてけぼりにされている友人ズ9人は、百合に挟まるなというように2人の空間のガヤになっていた
でもその状態に耐えられなくなった男がいた
友人ズ一番の常識人な『黄本』だった
「なあなあ、オネエチャン。その新聞オレにも見してや」
『黄本』はマダムレンズの肩にそっと手を置いて話しかけた
その勇気ある行動に動かされ、他の友人たちもマダムレンズに声をかけた
「あらぁモチロンよ♡沢山刷ってあるから何部でもあげるわ♡」
そう言いながらマダムレンズは懐から新聞を取り出して、1人1部ずつ渡した
「おうありがとうな、オネエチャン」
「んん~もう、アタクシはオネエチャンじゃありませんわ♡リトルマザー?ちょっと失礼しますわぁ♡♡♡」
すると彼女は来夢を離し、自分の服を見てシワになっている部分をはたいて伸ばした
そして帽子を取ると右足を引き、右手を体に添え、 左手を横方向へ水平に差し出して頭を下げた
「お初にお目にかかりますぅ、ご友人の皆さま方♡
アタクシは食満家広報担当『レンズ・スノー・ホワイト』と申しますわ♡
皆さまからは『マダムレンズ』の愛称で通っておりますので、どうぞそうお呼びくださいませ♡」
流れるような美しい挨拶に9人は息を呑んだ
そしてこちらもというようにグダグダと挨拶をした
「よし、挨拶も済んで問題も解決したことだ。一回家に入ってゆっくりしようか」
大きな拍手の音で希夢は、全員の意識の切り替えさせた
「そうだな。この新聞もゆっくり見ようぜ」
『黄本』は元気そう言った
「てか腹減ったなー、おい!緑谷なんかないか?」
『水原』はアホそうに言った
「人んち来てるんですから、もうちょい遠慮しましょうよ」
青井は焦りながら言った
「まあアイツはまともじゃないから仕方ないでしょ」
『赤木』は呆れながら言った
「そうっすよ、あのアホが他所の家に来たくらいでどうこうなる人じゃありませんって」
『紫村』は嘲笑い言った
「みんなそう言ってますけど、オレは『水原』さんの味方っすよ」
『橙山』はゴマをすりながら言った
「お前ホンマええ性格してるよな…」
『桃田』は引きながら言った
「そんなことよりも!銃を見せろ!また私をあの射撃場に連れて行ってくれ!」
黒澤は興奮しながら言った
「人に迷惑かけないでください!」
『茶野』は怒りながら言った
なんだかんだでいつもの雰囲気を取り戻した9人は、屋敷へと足を運ぶのであった