あらまーそうねーどうしましょー
「「「「「「「「「よろしくお願いします!姉貴!!」」」」」」」」」
ここで何故か長年の仲の良さが出たようで、9人全員が同じ言葉を言いながら、腰を90度に曲げて深々と挨拶をした
ちょっとした応援団かヤンキー集団みたいな扱いを受けた来夢は兄と話して落ち着いたのに、彼らのよくわからん対応に内心ちょっとビビってた
「か…顔をあげて…ください…
こ…こ…こ…こちらこそ…よ…よろしくお願いします」
自分が人見知りであったことを思い出すように来夢はか細い声を出した
そしてその言葉は驚いている9人にはこう聞こえていた
「顔あげんかいごらぁ…
殺…殺…殺…こちらこそぉ…夜露死苦お願いしますぅ…」
正直全員もう頭いっぱいいっぱいで正常な人はいなかった
というような脳内戦が行われていると優雅に歩きながら手に持った紙をひらひらと揺らしている女性が現れた
「はぁ~い♡希夢さまぁ、リトルマザァ〜、ご報告ですよ♡」
「お!」「あ、マダムレンズありがとー」
ふわふわとした髪に白い肌と深紅の口紅、昭和レトロを思い出させる服を着ている彼女は世間一般的に綺麗で素敵な女性であった
9人は彼女の釘付けになり、一番早く動いたのは女バカの青井だった
「素敵なお嬢さん、お会い出来て光栄です。よろしければ貴方とお近づきに…」
しかしそんな彼女を見た青井は違和感を覚えた
服が布だけではなく、新聞をあしらって作られたようであったのだ
しかもそれは服だけでなかった
手袋も新聞、腰に巻いているベルトも新聞、そして灰色なだけだと思っていた瞳はまじまじと見ると文字っぽいものがあり、瞳も新聞で出来ているようだった
「失礼ですがお嬢さん、随分と素敵な姿をしていますね。特にその瞳、吸われてしまいそうです♡
一体どこで手に入れたのか気になってしまいまして…」
「あらぁ、嬉しいことを言ってくださるのね♡
でも今はそんなことより大切なことがありますの♡」
「…それはそれは失礼しました」
青井の努力も虚しく砕け散り、彼女の心を射止めることもなく、その姿のことも聞き出せずうまくはぐらかされてしまった
「でぇ♡リトルマザー!♡♡♡
アタクシの新聞を見てくださいよぉ♡♡♡
ほらこれこれぇ、我が家に侵入した『悪魔』の殲滅が完了したんですよぉ♡♡♡」
平均よりも高い身長をしているマダムレンズは来夢を抱き締めると、顔を胸に埋め込ませるようになってしまった
だがそれに慣れているように来夢はマダムレンズが指さした文章をじっくり指でなぞりながら読んだ
そこには「伯爵1体」、「大総裁5体」、「総裁25体」、「騎士125体」これらの殲滅を完了したと1面を飾っていた