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Elaborate getaway: Prologue

Elaborate getaway: Prologue : 手の込んだ逃走劇:序章


【Past】

霧の深い、雷雨の降り頻る夜だった。

廊下は蒸し暑いが、自室は空調がしっかり働いているので快適だ。

時計の針の音と、雨と雷の音に耳を傾けつつ、仕事の片付けに差し掛かる。

最近は激務続きだった。

コーヒーが手放せなくなるくらいには。


静かな部屋に、ドアがノックされる音が響いた。


浅葱(アサギ)です、資料をお届けに参りました。」


もう十分深夜帯だと言うのに、ここに来るなんて珍しいものだ。

扉を開けると、分厚めの冊子を持って、焦茶の髪の人物が立っている。


「こんな夜遅くにどうした?急ぎの書類なんてあったか?」


「自分は上から受け渡しを任されただけですので詳しいことは存じ上げておりません。

ただ、重要なものであることは察せられるかと。」


冊子を受け取り、表紙と裏表紙を確認するが、何も書かれていない。


「、、承知した。上の奴らも人使いが荒いものだよな。」


「何かできることがあれば手伝いますが。」


「お前、ココア飲みたいだけだろ。勝手に淹れろ。」


「正解〜。キッチン借りまーす。」


言い終わる前に棚を物色し始めている。

どこまでも自由な奴だ。

2人きりの時だけなので気にすることも無くなってきた。


椅子に座り直し、冊子を捲るが、すべて白紙である。

その事実に心の中でため息を吐きつつも、一旦閉じていたPCを立ち上げる。

冊子を留めているクリップのようなものと専用のコードをドッキングし、数分キーボードを打ち続ける。

12段階の認証をクリアする頃には、ココアの湯気も見えなくなっていた。


(流石に厳重すぎないか、、?今まででも見た事ないぞこんなの。)


ファイルを開き、PDFに目を通していく。

1枚目、2枚目、、3枚目、、、。


(あぁ、なるほど。)


全てにくまなく目を通した瞬間、身体が倦怠感に襲われる。

そこに書かれていた内容は、この施設に関わるものならば驚くようなことでは無かった。

いつかこうなるのではないかと考えられる範疇であった。

しかし、一言で言うとすれば「常軌を逸している」のだ。


(遂に、、か。)


幸か不幸か、何も食べていなかったので込み上げてくるのは胃酸だけだった。

深呼吸をして、少しでも動悸を抑えられないかと試みる。

背中を伝う冷や汗に不快感は増していくばかりだ。


「どうしました?ココア飲みません?」


ふとモニターから顔を上げると、コップを差し出してくる浅葱(アサギ)

こいつが気遣ってくる時は、何かに勘づいている時だ。


「今はいい。落ち着ける場所で飲みたいんだ。」


「、、そうですか。」


浅葱はまだ暑いであろうそれを飲み干し、口元を拭った。


もうほぼ自白したようなものだが、それでいい。

時計の針は動き続ける。

雷雨はより一層激しさを増していた。



「これから倉庫に行く。着いてくるか?」


仲間に偽の笑顔を見せたのは、この時が初めてだった。



◼︎


暗転。

第一回過去編です。

出せる情報が少なすぎてどうしようか超悩みました。

暗⭐︎転

一度使ってみたかっただけです。

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