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Emperor's banquet

【E】mperor's banquet : 皇帝たちの晩餐会

「いらっしゃいませ。今日もお疲れ様です。」


お互いに笑顔なのにも関わらず、この張り詰めた空気はなんなのだろう。

首筋に伝う冷や汗を黙認しつつ、席へ案内する。

カウンター席の右から4番目、いつもの席だ。

ただ、「いつもの席」と呼べてしまっていることに問題があるのだった。


六道琳(りくどうりん)

この御方、「()()()()()()()()()」という役職を持つ。

つまるところ、この国のトップと言っても差し支えない権力を有している。

さらに恐るべきはそのカリスマ性で、支持率は国内で9割を超える。


そして、そんな方がこんな場所にいるとどうなるか。

必然的に一般市民や一般兵は立ち入りづらくなる。

関係を築き上げた客が、日に日に少なくなっていくのは見るに堪えなかった。

しかも、この御方は仕事が終わり次第すぐ来て閉店間際までいやがるのだ。

ちくしょうめ。

そして、艶やかに光る金の長髪は存在感を如何なく発揮する。

外から見ても入る気を失うだろう。


といった感じで、今では軍の幹部クラスしか来店しないようになってしまった。

ここは高級レストランでもなんでもないのだが。


ぼやいていても仕方ないので、焼きたてのパイと紅茶を運ぶ。

天上人が口にするようなものではないかもしれないが、ご愛敬だ。


「甘味と酸味が程よいな。今日もマスターの手作りだろう?」


「左様でございます。お褒めに預かり光栄です。」


「そんなに畏まらなくても良い。何回もここには来ているだろう?」


それが困るんですけどね、と脳裏に浮かんだ言葉を押し留める。

それにしても、美味しそうに食べるものだなあと少しばかり感心する。

上品且つ素直に食事を楽しむ姿は、とても国のトップのイメージに似つかない。

やはり甘味の力は偉大である。


「そうだ、すっかり言うのが遅くなってしまった。」


「なんでございましょうか?」


「今日の定例会での議論に結論が出なくてな、続きをここで行わせて貰いたい。」


頭が一瞬理解に拒絶反応を起こす。

定例会、、つまり幹部全員での会議の場。

それをここで?

夢であることを望みたいものである。


「ちなみにあと5分ほどで皆来ると思うぞ。」


現実でした。


「5分、、!?」


「いや〜すまんな。本当に申し訳ないと思っている。うん。」


こういう時だけ屈託のない笑顔を見せてくる。

元々顔が良いのも相まって、これは勝てないな、と本能的に悟る。

兎にも角にも、急いで準備を進める他選択肢はなかった。

主人公が薄い!!!!

違うんです、この子一番濃いんです、情報の出が遅いだけなんです、、。

独裁者ではない圧倒的トップ。

どこかの国に居ると良いんですけどね。

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