プロローグ 〜死んだ顔の男〜
タカシは大学生である。紙幣はもうない。
「頼む…当たってくれ…」
空調が完備され快適な室温のパチンコ店で、座って遊戯しているだけだが、タカシの顔にはまるで登山をしているかのような汗が流れている。
いや、そんな爽やかな汗ではない。
既に財布は空であり、好調の時に購入したダウンジャケットやスニーカー、財布などは既にインターネットオークションで売っており、家にも資産と呼べるものはない。
家族や友人、さらには消費者金融からも借入をしているが、先月から家賃や電話代も払えていないという体たらく。昨日までは取り立ての電話が鳴り止まなかったが遂にその電話も停まった。
まさに負けたら終わりの最終決戦である。
「最後の1000円…500円…」
もちろんパチンコ台にとっては打ち手の都合など関係ない。金に困ってる奴が勝てるのならパチンコ店は商売あがったりだろう。
「最後の一玉…」
全ての金、玉がなくなった。
タカシは天を仰いだ。やけに眩しい天井の照明が目に飛び込み思わず目を閉じる。
しばらくして目を開けると目の前に死んだ顔の男が現れた。距離にして1メートルもないほど近い。
「これは…俺?」
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