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令嬢ラクーンと護衛フォックスの裏で奔走シリーズ

令嬢ラクーンは異国の地で結婚させられそうになってしまったので、護衛のフォックスと裏で奔走する

作者: トマトガフル

令嬢ラクーンと護衛フォックスの裏で奔走シリーズ 2


「フォックス! 私のフォックス!」

「どうかされましたか、お嬢様」

「どうかも何もないわよ! これを見てちょうだい! 誰かが聖女に助けを求めているわ!」

「はぁ……、そうですか」

「そうですか。じゃないの! 私が聖女の力を盗んでしまった以上、こういった助けを求める声には救いの手を差し伸べなくてはいけないじゃない!」

「お嬢様、盗んだわけじゃありませんよ。俺は最初から貴方にすべてを捧げようと思っていました。間違いなど何も起こっていません」

「それはっ……、まあ……そうね」


 私は、聖女様助けて的な内容が綴られた紙を両手で握り締めながら、護衛のフォックスに言いくるめられていた。


 それもそうで。国は、聖女様の力は王女が授かるべきと声高に掲げていたが、蓋を開けてみるとそんな必要はなくて。聖女様の力というのは精霊の加護の使用を意味し、目の前の護衛の男は私の精霊で、この精霊は最初から私に加護を授ける気満々だったのだから。

 国が伝える王女が聖女様の力を授かるべき、そもそもこれが精霊の気持ちを反映していない人間の権威への欲求そのものである。

 ……まあ、今の王女はそれはそれは優しかったけれどね。まさに聖女様の鑑。


 されど結果として、精霊の加護は在るべき場所に在るだけ。盗んでなどいない。……のに、どうしても気持ち的には横取りした気分になるわ!


「……国も、俺たちの前に不要な決まりを作ったものです」


 私の何ともすっきりしない微妙な表情を汲んだのか、護衛の言葉に柔軟さが生じていた。


「そうね……。それはそれとして、この方たちは聖女を待ち望んでいるのでしょう? つまり、精霊の加護が必要なのかもしれないわ! 私が行ってさしあげなくては!」


 声高に宣言する。結局のところ、私のもとに精霊の加護がある事実は覆らない。

 そして、あちらこちらに貼られた紙にはこう書かれていた。


『聖女様、どうかお力添えをください。貴方が居なければ我が島は滅びます。貴方が居なければ、予言を果たすことができません。どうか救いの手を。』


 何度だって切ない字列に目を通す。ああ、胸が痛むわ。辛いわ。きっと国に魔の者を甦らせてしまう邪が溜まりつつあるのかもしれないわね。精霊の加護はそれらを退けることができるのだもの。

 因みにフォックスは横目に一度内容を確認して「胡散臭いですね」と言ったきりだ。


「こんなにも悲痛な願い、私は無視をすることは出来ないわ! 早く行って祈るわよ!」

「実直なのは貴方の良いところですが、この内容を信じるんですか?」

「ええ! いかにも切羽詰まっていそうじゃない!」

「そうですか……?」

「……え、そうじゃない……?」

「断定は出来ませんが、いかにも怪しいでしょう」

「お金でもせびられるのかしら? それなら逃げればいいだけよ。単純な話! 先ずは、話を聞くだけだから」

「……お嬢様がそれを望むなら」





 私たちは張り紙に記載されていた島へと向かった。

 どうやら温暖な島国のようで、海底まで透き通った海を渡り、何度も船を乗り継いだ。最終的には小型のボートに乗せられて到着した島は、私の故郷と比べてもとても小ぢんまりとした国だった。

 他国とも接点が無いそうで、ぱっと見ただけでも衣服や食事など文化が異なる。


「この島で合っているのかしら?」


 島国故に漁が盛んなのだろう、港にはたくさんの人がいる。たくさん、と言っても見渡せる範囲に広がっている程度として。

 しかしとても活気があって、そして、とても……うん、排他的な雰囲気ね……。


「私たち、島を攻めに来ていると思われている……?」

「お嬢様。念の為、俺から離れないで」

「流石に旅人相手に襲い掛かったりしないでしょ……」


 それは願望にも近い。だって働く最中にも住人があちらこちらから鋭い眼差しを送り付けてくる。ひそひそと交わされる密談が歓迎とは程遠いことを示している。

 一歩踏み出すことさえ警戒されているわ。国を管理している方に直接会うのは難しいかしら。近くの住人に声を掛けようか迷っていると、ご老人が支えられながら歩み寄ってきた。


「旅人よ。わしらの国に何か御用か?」

「あ……。あの、これを見て来ました。私、精霊の加護を受けているので、もし邪を払いたいのであれば力になれると」

「聖女様か!?」


 私がすべてを話すよりも先に結論に辿り着いたご老人はわっと声を張り上げる。その音量に思わず目を丸くして身を引いた。ら、後ろにいるフォックスが背中に寄り添ってきた。


「まあ、その、聖女の力はあるのかもしれません」


 私の言葉を機に、近くで耳を澄ませていたであろう住人が途端弾かれたかのように歓声をあげる。びりびりと大きく空気が震えているみたい。「聖女様だ! 国が救われるぞ!」「予言の通りになるんだ!」「早く王子を連れて来い! 急げ! 走れ!」「聖女様! 万歳!」先刻までの用心深さは打って変わって、手厚く迎え入れる体勢に立ち替わる。

 近くの者は深々とお辞儀をし、遠くの者は激しく拍手を打つ。口々に聖女を讃える言葉が響いた。


「す、すごいわねフォックス」

「すごいのはお嬢様です」

「あら。そうなるなら、すごいのは聖女という称号と精霊の加護じゃない?」


 後ろの護衛に耳打ちで話し込むも、先のご老人が緩やかに私の手を取る。まるで恭しく、丁寧に。


「先程の皆の無礼な態度をお許しくださいませ。では、聖女よ。こちらへ。ご案内いたしましょうぞ」


 震える指先で、緩徐な足取りで、されど堅実な物言いで。島の奥へと促される。私は小さく首肯するとその歩みに合わせた。


「先ずは、着替えていただきましょう。この島は太陽に恵まれております故、その様相では半日も持たないでしょう。聖女様に体調を崩されては王子に顔向け出来ませぬ」

「それは、わざわざ……ありがとうございます。でも急がなくてもよろしいのですか?」

「ええ、ええ! 聖女様が来てくれました。もうこの島は安泰です」

「またまた。まだ何もしてませんよ!」


 大層気の早い様子ではあるが国はまだ無事のようだから、安堵に私はあははとからっと笑った。馴染んでしまえば、国の雰囲気は朗らかで明るく居心地が良い。


 とある建物の一室に案内されると、煌びやかな装飾が幾重にもある服が並べられた。きらきらぴかぴかと澄んだ石が煌めいている。

 私でも分かるわ。これがとても良いものだって。


「こちらは、尊き者に許された衣装です。お着替えは手伝います故。……ほら! 女人以外は退室せよ! 婚礼前の女性であるぞ!」


 両手をぱんぱんと打ち鳴らす女性陣に、慌てた男性が追い払われていく。護衛のフォックスも例外ではない。フォックスは分かりやすく不服そうな顔をしているけれど、私が大丈夫大丈夫と片目をパチパチ瞬かせていたら諦めたように退出した。


「では、お手伝いさせていただきますね」

「あの、私、一人で着替えましょうか?」


 この衣装を一人で着られるかは置いておいて、子どもでもないのだからと提案をすると、島の女性の方々にまあまあと笑われる。


「今日くらいは手伝わせてくださいませ」


 皆が皆、ご機嫌を隠しもせずにとても楽しそうに準備を進めているから、私もじゃあとお願いすることにした。装飾品が多くて、一人だと時間が掛かりそうだもの。




「お待たせ。フォックス」

「お嬢さ……、……」


 着替えを終えた私が部屋からひょこりと顔を覗かせると、扉の真横を陣取っていた護衛は珍しくも驚きを瞳に宿した。

 まじまじと見られるから恥ずかしい。結構、お腹とか腕とか露出があるし。髪型も変えられて、化粧まで再度施されてしまった。この島に映えるくらいにとても華やかにして貰ったと思う。

 ただ、フォックスの反応はない。私は胸の前で指と指を合わせて手持ち無沙汰にしたままちらと覗き込んでみた。ぱちりと目が合うと、双眸の奥に狼狽が見えた気がする。……狼狽? 分からない、いつもと少し違う目。

 直ぐに笑みを形作ってくれるけれど。


「……綺麗です。お嬢様。とても。ただ俺としてはもう少し、貴方自身を隠してしまいたいのですが」

「……だめ? この格好」

「いえ、美しいです」

「嬉しい。でも、真っ直ぐに見過ぎよ。貴方に見られると照れるわ……」

「お嬢様。独り占め出来ないなら、せめて他の男に見せに行かないで」

「そ、そんな甘え……!」

「貴方のフォックスの甘えですよ」

「しゃあしゃあとそんなとこ! もーっ! からかわないで!」


 私は護衛の呈する賛辞だけを抱き締めて、朱色に染まる頬を掌で隠しつつ部屋へと戻った。

 聖女様って至れり尽くせりね。こんなにして貰っちゃって。





「準備が整いましたね。では、あちらの予言の間で儀式を行なっていただきます」


 身支度を整え外に出てきた私たちに対して、ご老人は説明する。指の向いた方向には小さな洞穴があった。その入り口は見たことのない紋様などが飾られている。……この国の紋章とかかしら。兎にも角にも、格式の高そうな場所だ。


「この中で、祈りを捧げればいいのですね?」

「私どもはここで待っております。聖女様には中に入っていただいて、儀式を行なっていただければ、我らは、この島は救われます。どうかご慈悲を」


 住人が再度深々と頭を下げた。祈るだけなのに、改まってそうされると申し訳無さすら込み上げてくるわね。


「分かりました。それでは行ってきます。フォックス」


 私はいつもの調子で護衛を呼んだ。護衛も直ぐに私の横へと駆け付け……ようとはしたが、島の若者に道を塞がれる。


「申し訳ありませぬ。この予言の間は尊き者しか入ることを許されておりません。暫し、こちらで共にお待ちください」


 要はフォックスは入室禁止だとご老人は説いている。フォックスは心底不愉快そうに眉を顰めてから、私を窺ってきた。首を横に振っている。得体の知れない場所に行くなと言いたいのでしょうね。


「お嬢様」

「聖女の力は私にしか使えないの。行かなくちゃ」


 この先にどんな困難が待っていたとしても、世界に一人だけ私が使える力があるのなら、私が行かなくちゃ。フォックスがお嬢様と私を呼んでいる。後ろ髪を引かれる思いで踵を返すと、耳元でしゃらりと飾りが揺れた。





 渡されたランプの灯りを頼りに、洞穴の奥へ奥へと進んでいく。

 ……随分と深いわね。ただの真っ直ぐの道だけれど。護衛の居ない頼りなさと、人気の無い薄気味悪さに心臓が鼓動を早くする。

 早く祈って戻りましょ。足取りを早くした頃、遠くに朧げな光が見えた。その明かりに誘われる。近付いてみると、それは洞穴の突き当たりに用意されていた幾つかの蝋燭の灯火。照らされる祭壇。目の前に置かれた布団。しかも二つがぴたりとくっついている。


「……なに? これ」


 なにこれ? なんなの? 何でお布団?

 私の頭上に疑問符がたくさん生えてくる。ここで一晩祈れってことだった? 聞き逃していたのかしら? 私はさらに近付いてみる。……紛う事なき布団だわ。何故二つもあるの? 部外者は入れないみたいだったのに。

 思考を悩ませていると、不意に何かがぬっと視界の端に現れて私の腕を掴んできた。耳元に低音が届く。


「おい」


「きゃーっ!」


 驚き過ぎて悲鳴が飛び出た。甲高い叫声は洞穴の壁にぶつかってキンキンに響き渡る。

 私は布団の上に腰を抜かしながら、必死に抵抗の言葉を紡いでいた。


「な、な、な、なによ!?」

「何はこっちの台詞だ! 近距離でんな叫ぶ奴がいるか!」

「な、あ、わ、う」

「いいから落ち着け」


 襲い掛かる恐怖に心臓がばくばくと高鳴って爆発しそうだった。まなじりに生理的に雫が浮かぶ。


「まだ何もしてねーだろーが」


 乱暴な物言いが頭上から降ってきた。

 この腕を掴む手は振り解いてもいいのだろうか。

 まだってことは、何かするの!? 何かってなに!?

 脳内が慌てふためく。



「お嬢様! ご無事ですか!?」


「フォックス!」


 私の悲鳴に際してフォックスが強行突破してきたのか、腕や足や腰や首に制止しようとしがみついている住人を引き摺ってやってきた。すごい力だわ……。って呆けている場合じゃないわね。


 二枚くっつけて敷かれた布団の上。半泣きで腰を抜かす私の腕を掴む上半身裸の男。もう最悪な光景。


 一瞬間にしてフォックスの瞳が冷め切った。むしろ淀んでいる。精霊がそんなでいいの……? この男が私以外にさして興味無いのを知っているから、ぞくりと背筋に冷たいものが這う。けれどその目線が私に向けられる頃には、護衛はふふふと笑みさえ湛えていた。私もつられてふふふと笑ってしまう。ふふふ。ふふふふふ。


「分かりました、お嬢様」

「ふふ……え? な、なにが?」

「全員殺しましょう」

「きゃーっ! だめーっ! だめだめ! みんなただの現地の住人よ!」

「ただの現地の住人? お嬢様をいかがわしい男に差し出しておいて? 随分と都合がいいただの現地の住人ですね」

「きっと何か間違いが……」

「間違ったのなら痛い目にあってもらいましょう。貴方を怖がらせた罰だ」


 私が害を被っていると判断したためか、引き摺ってきた住人を乱雑に剥がして捨て置く。そして私の腕を確りと掴む、知らない男の手首を捻り上げた。


「いっ、てえなぁ!? オレが誰か分かってんのか!?」


 仄かな明かりに照らされたその人間は、上半身こそ裸であるものの煌びやかな衣類や装飾品をふんだんに着こなしている。

 いかにも身分の異なる相手であっても、私の護衛は手を緩めたりしない。


「少なくとも、こいつはここで屠ります」

「やってみろよ。ご主人様に尻尾を振ることしか出来ない駄犬が!」

「待って待って待ってーっ! 私が驚いただけで、腕も掴まれただけよ!」

「無作法に腕を掴むな。礼儀がなってないな」

「きゃんきゃん吠えんじゃねーよ」


 ふ、二人の間にばちばちと火花が弾けている気がするわ。


「お、王子よ。今はそんな場合ではありませぬ」


 ご老人が恐る恐ると割って入った。

 王子……? このフォックスと対峙している人が?

 私は立ち上がってご老人に問い詰める。


「待ってください。どういうことですか? 私は祈りを捧げればよろしいのでは?」


 ご老人はちらと王子を窺ってから、ゆっくりと重たい唇を開いた。


「……祈りではありませぬ。儀式です。予言に沿って儀式をする必要があります」

「それじゃあ分かりません! 詳しく説明してくたさい!」


 周囲がざわざわと互いに顔を見合わせていた。

 王子はフォックスの手を乱暴に払い除けると、ふんっと鼻を鳴らして壁を背にもたれ掛かっている。

 フォックスは庇い立てるように私の真横に控えた。


「……我が国には古の予言があります。その予言というのは、王子の婚約者の取り決めです。今回そちらにおられます二百七十七代王子の婚約者は、聖女と定められております。この予言に背くと、我が島は滅ぶのです」


 私からすると果てしなく突拍子もないけれど、語り紡ぐご老人の真剣な表情を垣間見るに冗談とは思えない。冗談で事態を茶化しているとは思えない。


「だから、オレは貴方と婚礼の儀を交わそうとしたんですよ。聖女様」


 後ろにいる王子が幾らかの乱暴さを除いて付け加える。


「婚礼の儀?」


 私は聞き返した。布団と距離を取りながら。


「単に、男女がこの地の神に誓うんです。永遠に添い遂げる約束を」

「永遠に添い遂げる……」


 正直、私の頭は急な出来事に暴発してしまいそうだった。そんないきなり添い遂げるとか言われても困っちゃうわ。困るというか嫌よ。知らない相手と。そんな時代は終わったの。時代は恋愛婚なの。


「お嬢様が野蛮な相手と添い遂げることは未来永劫ありえません」

「護衛がご主人様のお見合いに口出すんだ? オレらに滅べって言うのかよ?」

「是非滅んでくだ」

「だめよそんな言い方! フォックス!」


 異国で安易に敵を作るなんて絶対に駄目。しかしフォックスが怒る気持ちだって分かるわ。こんな騙し討ちみたいな方法、受け入れることなんて出来ない。


「前向きにご承諾いただけないのは残念ではありますが、必ずや王子と婚礼の儀は行なっていただきますぞ」

「私はしないわ!」


 この国の行く末は心配ではあるけれど、私の尊厳だってはいどうぞなんて無心で差し出したりできない。聖女にだって憧れていたように、結婚にだって憧れがあるわ! とにかく一度時間を置きたいわね。

 フォックスに逃してもらおうかしら。周囲を見渡しつつ護衛の方へ動くと、じゃらりと重たい金属の擦れる音が不気味に耳朶に触れる。

 え? と思ってその音の発生源に目線を移した。

 先程王子が触れていた私の腕に枷が付いている。鎖を越して洞穴の一部の岩に繋がっていた。気付いたフォックスが鎖を強めに引くも外れるわけもなく、がしゃりと鎖が引き伸ばされるだけ。


「何よこれ!」

「手荒な真似をして申し訳ない。だが、わしらも残された時間が少ないのだ。王子が二十歳を迎えるまでに婚礼の儀を済ませなければならない。これは、尊きものが恵んでくださった最後の機会じゃ」

「そんなの……!」

「わしらは先祖代々この予言を信じて生きてきた。今回も例外は無い」


 がちゃがちゃと乱暴に鎖を引いてもまったく千切れる気配はない。

 フォックスが刀剣を構えた。


「お嬢様、切りましょう」

「無駄じゃ。その鎖は我が島でのみ取れる特別な鉱石を使用しとる。その辺の刃物では切れまい」


 ご老人の声を聞いているのかいないのか、そのまま刀剣を振り下ろす。がちっと金属のぶつかる音が鳴り渡って、それだけ。


「改めて、儀式を行おうぞ」


 両手を広げて迫り寄られる。いやいやいやっ! こんなところに骨を埋める気はないわ!


「…………あいたたたたたた! フォックスー! 私のフォックスー! お腹が! いたたたっ! 今日は無理だわ! 今日は無理だわ〜っ!」

「お嬢様! ……だから落ちている果物を食べるのは止めようと申したじゃないですか。食いしん坊なお嬢様なんですから……」


 お腹を両手で押さえてしゃがみこむ私の肩をフォックスが支える。二人でおよよと苦痛に耐え忍ぶ。お腹が痛いよぉ。痛いよ〜! と叫ぶと明らかに周囲の住人は引いていた。なんなんだこいつらは、という目を向けてくる。

 私だって、いきなりその辺に落ちているものを食べる設定が付与されて困惑しているんだから!

 けれどこれで! これから大事な儀式だというのに格好がつかないはずだわ!


「……ま、……まだ日取りはある。今日は出直そう。じゃが、聖女様が儀式を行うまで逃げることはもう不可能。どうか、覚悟を決めてくだされ。わしらを救ってくだされ」


 やめてと耳を塞ぎたいわ。まあ、一先ずとして、延期されたから。私の首の皮一枚繋がった気分……。


「護衛は出て行かんか! ここは神聖な場であるぞ!」


 喝を告げるご老人の叱りなどどこ吹く風で、私の護衛は一切動くつもりがない。力比べで敵わないと気付いたのか、今度は女性たちがフォックスの腕を引き寄せた。


「護衛様。本日はあちらでご馳走を用意いたしますわ。欲しいものがあれば、何なりと」


 みんな、どうしてもこの儀式を完遂させたいようだ。それほど住人にとって伝えられる予言は大事なものなのだろう。それは分かった。分かったけれど。


「私のフォックスにべたべた触らないで!」


 何の罪も犯さないまま枷に繋げられているよりも、目の前で私の護衛に許可も無く触られる方がよっぽど不愉快だ。燃料を投下されてふつふつと燃え沸る心根。

 聖女の喚きに驚いた住人がパッと距離を置く。

 フォックスはこんな状況下でもふふふと笑っていた。私を見て、ふふふと満足そうに。イヤな護衛ね!


「いいぜ、婆さん、皆。こいつだけ置いていっても。オレが許可する」

「王子……」

「問題ねーよ。オレを殺したりしたら、聖女様がどうなるか分かったもんじゃねーもんな?」


 後ろで様子を見ていた王子がのこのことこちらに歩み進めて告げる。腕を組んで私たちを見下ろしていた。


「……分かりました。わしらは一度席を外します故」


 王子以外の住人が揃ってその場を去っていく。ちらちらと振り返るその視線にまるで責められているみたいだわ。心優しい聖女様ならもっと話が早く進むとでも思っていたのかしら? でも、フォックスが居なかったら無理矢理にでも話を進められていたかもしれない。


「……ごめんね。フォックス。貴方は怪しんでいたのに……」

「お嬢様が害されることについて、お嬢様が謝ることは何もありませんよ」

「うん……」

「心配することもありません。最悪一国を滅ぼしましょう。俺なら出来ます」

「う、うん……」


 物騒な護衛ね。世界一頼りになるわ。




 現地の人たちが洞穴を去って、三人の中に沈黙が落ちる。蝋燭の灯りがしじまに揺らめいていた。口火を切ったのは、王子。


「諦めたらどうですか、聖女様。面倒でしょう。……もう諦めちまえよ。何も本当に永遠にここに居なくちゃいけないわけじゃない。ここの住人にとっちゃ、予言の通りに婚礼の儀を執り行うことが重要なんだ。それさえ終われば、誰も後を追っ掛けたりしねーよ」


 取り繕うのはやめたみたい。逃げようとしている相手に下手に出たって仕方がないものね。それよりも早いところ説得して、時が過ぎるように終わらせた方が建設的だと思っている。

 語られる国の事実を噛み砕けば、首を傾げて問いを投げる。


「……嘘でもいいってこと?」

「形が大事なんだ。この予言の通りであれば平和に居られるってな。予言なのに、こっちが合わせなきゃなんねえ」

「でも、貴方だって嫌でしょ」

「なにが?」

「私と婚礼の儀を執り行うの」

「オレは生まれた時から、絶対にこうなるって言われて育ってきた。今更だな」

「折角結婚するのに、その相手が自分を見ていないのよ?」

「……じゃあ、見てくれよ。ほら。早く。聖女様がオレ自身を」


 睨め付ける王子がこちらへ距離を縮める。フォックスが後ろ手に私を隠した。


「ねえ! 貴方の態度も改めた方がいいわ。そんなにツンケンしてたら、結婚相手だって嫌になっちゃうわよ!」


 そんな突然の指摘に王子は双眸をぱちくり瞬かせてから、大きな手のひらでがしがしと後頭部をかき混ぜていた。


「……そう言われてもな……。見ず知らずの奴をどうしろと……」

「そこに愛が無かったとしても、愛してあげたら愛が生まれるじゃない!」

「んな無茶な……」


 心から無理だとそう思っているらしく声音は情けなく弱まって、横を向いたまま惑いに頰を掻いている。

 ややあってから私を見ると、その手を伸べてきた。


「あんたを愛せばいいのか?」

「ちが」


 う。と答える前に、王子の手が目の前で勢いよく叩き落とされる。護衛の警戒心にぎらついた目が鋭く細められていた。


「お嬢様に馴れ馴れしく触れるな。……そして、嫌なら逃げればいい」

「オレが逃げたら国は滅ぶ。滅ぶと信じられている。だからこそ、何かを唆したんじゃないかって母や友人や従者が痛い目を見る」

「その為なら赤の他人を不幸にさらしていいと?」

「……そうだ、他人と身内は違う」

「そうですね。俺もその意見には同意します。お嬢様以外がどうなろうと知ったことではない。……もういいです、お嬢様。こいつを人質にして住人に言うことを聞かせましょう」


 焦ったくなったのか性急な提案を寄越す。私に視線すら合わせないとなると、フォックスの中ではほぼほぼその案で固まっているのだろう。

 しかし敢えなく王子に一笑に付された。


「ハッ、無理だよ。オレが死ぬことと予言の通りにならないことだったら、オレが死ぬことが選ばれる。死んだらオレの次の奴が二百七十七代目の王子になってやり直せるからなぁ?」


 聖女様さえ居ればどうにか出来るってことね。

 私は少し考え込む素振りを見せて、再度顔を上げて疑問を呈する。


「……ちなみに、聖女って何者か知っているの?」

「さあ? なんか神に祈ったりしてんだよな。島から出ることがねーからそういうのは詳しくねえ」

「なるほどね……。私は精霊の加護を授かっているけれど、聖女に関してはあの王女様だって今でも思っているわ。私だけではなくて、みんなが。すべての神殿で祈りを捧げることに成功したんだってずっとずうっと讃えられているもの。あの子がみんなの希望と憧れの聖女であることは到底覆らない。……そもそも、王女が聖女になる。そう声高に掲げているのは故郷の国だものね」

「はあ? 何のことだ?」

「お嬢様……?」


 私はつらつらと早口に言葉を繋げていく。聖女の力を知らない王子はもちろん、フォックスも揃って困惑した表情で私を見ていた。にこりと笑ってみせる。


「聖女は他にいるわ! 王子様!」

「へ?」

「今度は正々堂々と口説き落としましょう。そう、恋文を書くの!」

「あぁ?」

「運命に抗えないからって腐ってちゃダメよ! 愛し愛される未来を諦めちゃダメ! 幸いにも聖女様に婚約者はいらっしゃらないわ。うん!」


 名案とばかりに押していく。王子は身を引いて両手を上げる。待ったを掛けたいらしい。


「ま、待てよ! 聖女はあんたじゃないのか!?」

「……精霊の加護は授かっているけれど、聖女の称号があるかと問われると微妙なところね」

「び、びみょうって……」


 私の勢いに呑まれて王子は体から力が抜けていくようだった。

 それでも再び瞳の奥を澱ませて、視線を斜め下に向ける。


「訳分かんねーけど、今更間に合わねーよ。オレの誕生日までもうすぐだ。島の外の国に手紙を出しても、届くまでに全部終わっちまう」


 幸せな未来に縋り付きたい。今になってその気持ちがひしひしと伝わってくる。

 諦めたふりをしているだけで、誰だって自分自身を見てもらいたい。

 私は両手を口元に持っていくと不敵に笑う。不気味にも笑う。


「うふふふふ……。大丈夫よ! 私には世界一速くて強くて格好良い素敵で最高な精霊様がいるんだから!」


 唐突に話題が飛んできたフォックスは瞠目していた。今は話題が拗れても困るので触れない。


「さあ、紙と筆を持って! とびきり素敵な愛を認めた手紙を書くわよ!」

「んなもん書けるか!」

「何言ってるの。書くのよ。愛することは格好悪いことじゃないわ。愛し愛される夫婦になりたいでしょう? 人生、たった一度きりよ。今が正念場なんだから」

「ぐ、うぅぅ……。……あぁ、くそっ! 書けばいいんだろーが! 必要なもん持ってくるから待ってろ!」


 肩をいからせながらどかどかと大股で王子が洞穴の外へと向かう。その背を見送る私と、……さっきからじっと静かに私を見下ろす護衛。

 沈黙が怖いわね。


「……なによ、フォックス」

「その世界一の貴方の精霊とは誰のことですか?」

「そんなの、貴方しかいないじゃない。私のフォックス」

「駄目です。嫌です。行きません。貴方を一人ここに置いて行ける訳がない。あんな野蛮な男がいる所に」

「大丈夫よ。王子だって、運命の渦中で幸せになろうともがいているもの」

「王女が承諾して此処まで来るとも分からないじゃないですか」

「そうね。その時こそ逃げましょう」

「今、逃げましょう」

「今? ……逃げるのなら、方法は一つだけれど」

「この国の人間すべてを」

「私の腕を切り落としてよ、フォックス」

「な、」

「そうしたら、私たち逃げられるわ」


 滞ることなく言い切る私に、フォックスは口を半開きにして一瞬狼狽えた後、ぎりと唇を噛み締めていた。

 そんな顔しないでよ。……させているのは、私ね。私だけがさせられる顔。

 フォックスの語気から威勢が削られる。その頬をそっと包んで撫でる。


「……出来ないと知っていて。ずるいです」

「予言の不実行の末にこの国が滅ぶのならいざ知らず、貴方が国を滅ぼすのはダメ」

「……、……とっとと手紙を書かせましょう」

「ええ! 張り切って書きましょう!」


 ごめんね、フォックス。ぎりぎりまで誰かのために頑張らせて。




「先に言っておくけど、あくまでもどうするか決めるのは聖女様よ。強制させることはないわ」

「分かったって。分かった分かった。それで何て書けばいいんだよ?」

「それは自分で考えるの!」

「思い付いたら苦労してねーんだよ〜……!」


 真っ新な紙と向き合いながら王子が髪をかき乱している。

 提案した以上無責任に放り出す訳にもいかないから、私もさり気無くああかなこうかなと思索する。とはいえ恋文なんて私も綴ったことないわ。大事なのは気持ちよ! という前向きな精神。


 書き進める最中、王子がぽつりと口を開く。


「……なあ。聖女様って、どんな奴なんだ?」

「んー……そうねぇ。誰にでも優しくて、温かくて、王女なのにとても気さく。根が明るいし、弱音は吐かないし、けど少し恥ずかしがり屋な所があるかも?」

「ふ、ふうん……」

「……なにをニヤニヤしているの?」

「べつに……」

「小さい頃は貴族の男の子たちを蹴散らしてたわよ」

「……いいじゃん」

「あ、そう……」


 恋文は自己紹介から始まって現状のやるせなさに続き、それでもと繋がる。貴方の話を聞きました毎秒貴方を想っていますだとか幼い頃の貴方はガキ大将を気取っていたオレすら蹴散らしてくれたでしょうとか、予言から始まった想いではありますが運命であるとも考えられますとか、必ずや貴方の笑顔を守りますだとか、なんかそんな感じ。

 始めはぎこちなかった字列も、結びに終わる頃には手が止まらなかった。


「で、できたぜ……!」

「出来たわーっ! きゃー! こんなの最高の恋文よ〜っ!」

「へへ、そうか?」

「そうそうそう!」


 出来上がった手紙を前に二人で盛り上がる。休憩も入れずに必死に考えていたがために、謎の勢いを得ているとも言える。

 きっと外はすっかり夜が更けているはず。

 私はフォックスに向き直ると、ぱちんと両手を合わせてお願いをした。


「それじゃあフォックス、頑張らせてごめんね。お願い、聞いてくれる?」

「……答えを分かっていて聞くなんて、意地が悪いです」


 フォックスは不服に眉を顰めていたが、成す術の無さを吐息として深く出し切ってしまってから、鎖に繋がれていない私の手を取り引き寄せる。行きたくないという意思を如実なままに抱き締めてくれた。

 さらに言えば、見なくても分かる。王子を威嚇している気がする。頭上から淀んだ空気を感じるし……。


「お嬢様の枷の鍵、貴方は持っていないんですね?」

「ああ。婆さんが持ってる。……まあ、楽しい恋を教えて貰った気もするし、最悪婚礼の儀の前に逃してやるよ。オレの国の事情なんてあんたたちにゃ関係ねーし。……好きな奴が、他の奴と婚礼の儀をするなんて死んでも嫌だろうしな。なんとなく、それだけは分かったよ」


 腕を組む王子は、私とフォックスを見比べて肩を分かりやすく竦めてみせた。

 その言葉を聞き受けて、フォックスは決心がついたのか私の頬を一度緩やかに撫でる。私はその手のひらを追う。離れ難いわね、少しの間なのに。


 そうして身を離すと、フォックスの体が透明に澄んだ。かと思えば、真っ白な毛並みの生き物が無から姿を現す。大きくて、美しくて、気高い。私の精霊。


 王子は目を見開き唇をぱくぱく上下させて驚きを示していた。


「では、行ってきます。お嬢様」

「ええ、気を付けてね。ありがとう、わがままを聞いてくれて。フォックス」


 精霊は四つ足の一つでたんと地面に強く蹴れば、洞穴の外まで一っ飛び。瞬きの間に。これなら、すぐに国まで着いてしまいそう。後は聖女たちが来てくれるかどうかの問題ね。


「あんたの精霊すげーな……」

「そうなの。世界に自慢して回りたいわ」


 でも本当は、自分だけの秘密にしておきたい。そんな大事な存在。


「精霊ってあんななのか」

「私も初めて見たのよね。話には聞いていたけれど」

「え?」

「相手のすべてを知らなくても、愛したっていいでしょ?」







「お嬢様、起きてください。お嬢様」


 繋ぎ止められている岩を背にフォックスの帰りを待っていたら、いつの間にか微睡んでいたらしい。馴染みのある声によって意識が浮上する。

 どれだけの時間が経ったか分からないけれど、目の前には膝を付いたフォックスが居た。私の顔を覗き込んでいる。段々と思考が覚醒して、ハッと顔を上げた。


「フォックス……。あ、やだ。私眠ってた? 貴方が急いでいた時に……」

「構いませんよ。お疲れなのでしょう」


 フォックスが視線で王子を示してくれた。王子も少し離れた所で横になって眠っているみたい。

 私は座り直すと居住まいを正してフォックスに問い掛ける。


「それで……聖女様はなんて?」

「これが精霊様。なんて美しい、と」

「聞きたいのはそこじゃないのよ!」


 きぃーっと握り拳を上下させた。フォックスはふふふと意地悪く笑っている。いろいろ仕返しされた気分……。


「とにかく、一度この島に行ってみましょう、と。すぐに出発すると仰っていましたので、朝には到着するのではないでしょうか」

「そう……。後は本物の聖女様が来て、私たちが偽物だってことになって、その結末がどうなるのかってところね。国同士のことは国同士にお任せしましょ。あそこは大国だもの。王女が嫌だったら、きっと結婚なんてさせないわ」


 そう、聖女様には何の心配もいらない。とても強大な後ろ盾があるから、意思に反することにはならないはず。

 この島の行く末は、この島民の問題だ。本来は私が心を痛めることではない。何事も起こらないように、せめて精霊の加護を含めた祈りだけは贈りたいけれど。

 最も私が不安視しなくてはならないのが、聖女を騙っていることで断罪されるのかどうか……。顔見知りの人間が聖女を騙っていると知ったら聖女様悲しむでしょうね……。どさくさに紛れて、王子に逃して貰うしかないかしら。


「それから、お嬢様。枷の鍵です」

「え!? どうしたの、これ!」

「ご老人の部屋から拝借してきました」

「もーっ! ダメだけど素晴らしい働きだわ〜っ!」


 罪のない人を枷に嵌めているんだから、無断で鍵を借りるくらい許して欲しいわ。

 フォックスが開錠して私を鎖から解放すると、枷に囚われていた位置に優しく唇を落とした。円環に赤く跡の残っていたそこが、思い掛けず熱を持つ。もちろん、私の頬も。思考も。焼き切れそう。


「……これから逃げるって時に、ドキドキさせないでちょうだい!」

「貴方が誰かのものになってしまうのは、想像するだけでも嫌だったので」

「もうっ。例え首輪を嵌められたって、私は誰のものにもならないわ」

「ええ、知っています」


 フォックスが私の手を引いて駆け出した。もう、ここに残る理由もない。

 私は振り返った。すやすやと眠る王子様。お姫様が来てくれるらしいわ。その物語の続きは、私のものではない。


 洞穴を抜け出して、フォックスの精霊体に飛び乗った。ふわふわで温かい背中。貴方の鼓動を感じる気がする。




「あの島、滅んじゃうのかしら」

「いいんじゃないですか。その時は。他人の人生の意志を奪うくらいなら、いっそ滅んでしまった方が」

「もう! フォックス!」

「俺が滅ぼすことはもうありません。もし予言によって、あの島に異変が現れるなら、その時は島を去ればいいんです」

「それは、……そうね。そうよ。どうにだって出来るじゃない」


 人間は逞しい。存外すべて、やってみれば何とかなったりするものだ。私だってそうやってきたもの。


「……さぁて、私たちは、次はどこに逃げようかしら? どこまでも付いてきてくれるわね? 私のフォックス」

「貴方となら世界の果てまでも、お嬢様」



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