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日常系エッセイ

油断して 角を取られた 次の手は……

作者: 丸井竹

掃除機をかける時、四角いところを丸くかけ、掃除機が届かないところは、見えないふりをする。

そんな掃除下手な私の家には、部屋の角によく小さな蜘蛛の巣が出来る。


小指の先ほどもないような小さな蜘蛛が現れ、いつの間にか埃が絡みついた蜘蛛の巣ができているのだ。


それを見つけてしまえば、さすがに見なかったふりも出来ず、ちゃんと掃除をしなければという気持ちになる。


ところが、そんな小さな蜘蛛の巣を、うちの娘がペットとして認識し始めた。


「ママ、トイレの角に蜘蛛の巣があった。壊しちゃだめだからね?」


そんな無茶なことを言い出したのだ。

蜘蛛の巣は放っておくと、次第に巨大化していくし、ごみの付着も増えていく。

トイレに放置しておけば、それこそ見たくもない毛が永久保存されてしまい、不潔極まりない。


さすがにそれは、掃除下手な私でも看過できない問題だ。

ということで、怠け者だというのに、繊細な作業を求められるようになった。

蜘蛛が死なないように気を付け、さらに蜘蛛の巣がこれ以上大きくならないように、埃をまとわせた巣を削りながら掃除することになったのだ。


最初から、蜘蛛の巣が出来ないように角まで掃除しておけばよかったと思うほど面倒くさい。


そうこうしていると、ある日、娘が玄関に置いてあった消毒スプレーを指さして私に無言で促した。


その消毒スプレーは玄関に置いてあり、出入りの際に、頭の部分を押して手にアルコールを振りかけているものだ。

そんなスプレーの後ろに、小さな蜘蛛がすかさず巣を作っていた。


やられた!と思ったが、後の祭り。


「ママ、壊さないでね」


大容量タイプのため、持ち上げて使うことのなかったスプレーは、一カ月以上そこに居座り、まんまと蜘蛛に動かないものだと認識されてしまったのだ。


娘にペット認定された蜘蛛が二匹になった。


もうこれ以上の蜘蛛の巣は増やせないと、さすがの私も心を入れ替えた。

入れ替えたと思ったが、一日中稼働しまくっているエアコンの陰に出来た。


すかさず取り払い、窓の外に追い出した。

しかし上の角ではなく、なぜか下の角にも蜘蛛の巣が出来た。


そこで私は気が付いた。

蜘蛛を保護するということは、蜘蛛の繁殖を助けるということになるのではないだろうか。

前よりも早く、掃除を促されているような気がする。


良いことなのか、悪いことなのか、それはもうよくわからないが、我が家には既に娘にペット認定された蜘蛛が三匹もいる。


そろそろ蜘蛛との共存を考えてもいいのかもしれない……?



ここで一句。


油断して 角を取られた 次の手は

水面下での 攻防戦へ




密かに撤去を試みたい……。挿絵(By みてみん)

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