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 そんな日は屋敷に帰ってすぐに風呂に入るようにしている。

気分転換には最適だ。

今日もいつものように湯船に浸かる。

「ふぅ……いい気持ちですわぁ……」

つい最近までストーカーに怯えていたとは思えないほどゆったりとした時間が流れる。

その時、突然扉が開く音がした。

しまった!誰か来たのか!? 慌てて身体を隠す。

そしてそこに現れたのはアリサだった。アリサだとわかるとホッと息をつく。

そして胸を撫で下ろす。

そういえばアリサとは一緒にお風呂に入ったことがなかったな。

さすがに恥ずかしかったので断ったんだけど……まさか入ってくるなんて思わなかったな。

この屋敷の浴場はかなり広い。

だから二人で入っても狭くは感じない。

むしろ広すぎて落ち着かないくらいだ。

「あら、アリサどうしたの?」

不思議に思って俺は聞く。

「お姉様と一緒に入ろうと思って……ダメですか?」


 上目遣いで聞いてくる。可愛いから断れないじゃないか。

結局断りきれずに一緒に入ることに。

「お姉様、なんだかすごく疲れた顔をしていますけど大丈夫ですか?」

心配そうな表情でアリサが言う。

「ええ、大丈夫よ。ありがとう」

微笑みながら答える。

「何かあったらいつでも相談してくださいね?」


にしても意外だったな、アリサがこんなに積極的に来るなんて。

俺としては嬉しい限りだが。

こうして楽しい入浴タイムは過ぎていった。

俺は今とても困っている。

何故かというとアリサが甘えん坊になってしまったからだ。

今だって抱きついて離れようとしない。

まるで子供みたいだ。

でも、それはそれで可愛くて癒されるからいいかな。

まあ、とにかくこのままではいけないと思い、何とか引き剥がすことに成功した。

その後部屋に戻るとまたもやアリサが入ってきた。

「お姉様、一緒に寝てもいいですか?」

「しょうがない子ね、いらっしゃい」

布団をめくりアリサを受け入れる。

そしてしばらく二人で話をした。

「お姉様、ストーカーにあってとても怖い思いをしたのでしょう?私お姉様が心配で心配で」

なるほどアリサが甘えん坊になったのはこのせいだったのか。

「私はもう大丈夫よ、今も男性は少し怖いけれど以前のような恐怖感はないわ」

「それならよかった……困ったことがあったらなんでも言ってくださいね?」

「ええ、ありがとうアリサ」

そうして会話してうちに意識が遠のいていった。

次の日の朝、俺は目覚めると違和感を感じた。

なんか柔らかいものが当たってる気がする……。

恐る恐る目を開けてみるとそこにはアリサの顔があった。

しかもかなり近い位置に。

俺は飛び起きようとするがアリサが抱きしめているので動けなかった。

なんとか抜け出そうとするが無理そうだ。

するとアリサはゆっくりと目を開けた。

やばい、どうしよう。

なんと言い訳すればいいんだ……! しかし、アリサは驚くどころか嬉しそうに笑っていた。

そのままアリサは口を開く。

「おはようございます、お姉様」

満面の笑顔で言う。

よかった、怒ってはいないようだ。

ひとまず安心である。

それにしても、どうしてアリサはこんなことをしたんだろうか。

昨日の話を聞く限り俺のことを異性として見ているとは思えない。

俺はアリサのことが大好きだし愛しているがあくまでも妹としてだ。

この身体になってからは女性にそういった感情があまり湧かない。

本来ならばアリサも魅力的な女性として映るはずなのだが……。

最近の俺はどんどん女らしくなっていっている、精神が肉体に引っ張られているのか?

そんなことを考えていたが、いつまでもこうしているわけにもいかない。

早くアリサを引き離さないと……。

アリサは離れまいと必死になってくっついてくるが強引に引き離した。

それから朝食を食べ終わり学園へと向かう。

アリサは朝早くから準備をしていたので既に制服姿だ。

いつもより少し早い時間に家を出る。


いつもはアリサを待たせてしまっているからな。

今日からは俺が待っていてあげよう。

アリサはいつも通り俺の腕に抱きついてくる。

そろそろ慣れてきたな、この程度じゃもう動揺したりしないぞ。……まだちょっとドキドキするけど。学園に着くといつものように視線が集まる。

しかし前ほど嫌ではない。

これもアリサのおかげだろう。

視線を集めながらも教室へと向かい、中に入るとリヒトがいた。

リヒトは寡黙なので自分から話しかけてくることはない。

まあ、リヒトは友達が少ないので当然といえば当然か。

それでも俺にはよく話かけてくれる。

俺はこの時間が結構好きだ。

席に座り雑談していると教師がやってきた。

授業が始まる。

退屈な時間が続く。相変わらずこの時間は苦手だな。

俺は一応成績は学年トップクラスだ。

そのため勉強に困ったりはしていない。

そんな感じで午前の授業が終わった。

昼食の時間だ。

俺はアリサと一緒に食べることにしていた。アリサと一緒に食堂へ行こうとした時声をかけられた。

振り返るとそこにいたのはハッシュだった。

どうやら一緒に食べたいらしい。

別に断る理由もないから一緒に食べることにした。

三人で食事を済ませる。

「なぁあれから変な奴に絡まれたりしてないか?」

「大丈夫よ、心配してくれてありがとう」

その後も他愛のない話をした。

こうして昼休みを過ごした。

午後からも特に変わったことはなかった。

強いて言えばアリサがずっと抱きついていたことくらいか。

こうして一日が終わっていった。

今日は休日、久しぶりに街に出かけることにする。

もちろんアリサと一緒だ。アリサはとても楽しそうにしている。

さすが女の子だ、買い物が好きなんだな。

俺たちはまず服屋に入った。

アリサが着るものを選んでほしいというので選ぶことになったのだ。

正直センスがないから適当にしか選べないと思うが頑張ろう。

ここは最近できたばかりの店で、値段が安く質もいいと評判のお店だ。

店内に入ると、店員の女性が声をかけてきた。

「いらっしゃいませっ!本日はどのようなものをお探しで?」

「えぇ、ちょっと子供用のドレスを見繕ってほしいのだけど」

「わかりました!少々お待ち下さい!」

そう言い残して女性は奥の方へ消えていった。


「楽しみですね!」

アリサは楽しそうにしている。

「えぇ、そうね」

私は微笑みながら答えた。

それからしばらくして、女性から試着の許可が出た。

「こちらがお子様にぴったりのサイズとなっております」

そう言って渡されたものは、淡いピンクのドレス。

「わぁ綺麗!お姉様私早速着てみますね」

そう言ってアリサは更衣室に入って行った。

数分後、着替え終わったのかカーテンが開き、中から出て来たアリサの姿に目を奪われた。

そこには天使がいた。

「どうかな……?」

恥ずかしそうな上目遣いで聞いてくる。

「ええ、すごく可愛いわアリサ」

「ほんと?嬉しい……」

頬を赤らめ、俯いて答えるアリサはとても可愛かった。

「えぇ、とっても可愛らしいわ」

「えへへ……」

「お気に召して頂けましたか?」

いつの間にか隣にいた女性店員が声をかけてくる。

「もちろんよ!これをいただくわ、あと他の服も見繕ってくれるかしら?」

「ありがとうございます。それではサイズをお測りいたしますね」

そう言って女性の手にはメジャーがあった。

「はい、お願いね」

私はそう言ってアリサを委ねた。

「えっと、身長は……」

アリサはされるがままに身体測定をされていた。

その間私は別の商品を見て回ることにした。

しばらくすると計測が終わったようでアリサが戻ってきた。

「終わりましたよー」

「ありがとう。それでこの子のサイズはどれくらい?」

「はい、こちらはSサイズのようですのでこれなんかいかがでしょう?お色は水色になっておりましてとても可愛らしく仕上がっておりますよ」

女性店員はにこやかに笑うと服を手に取って見せてきた。

「じゃあそれにするわ」

即決、可愛いアリサの為だもの。

「はい、ありがとうございます」

私たちは次の目的地である靴屋へと向かった。

「お嬢様は何色が好きなんですかー?」

アリサの足に合わせて靴を選んでいると、後ろから男性の声が聞こえた。

振り返ると、そこにいたのはこの店の店主らしき人だった。

「ん~私は赤色が好きかなぁ」

アリサは少し悩んだ後にそう言った。

「おぉ、それはいいですね。ではこちらなんてどうでしょうか」

そう言うと男性は一足の赤いヒールを取り出して来た。

「ふむ、確かにいい色ね。ねぇアリサ履いてみて」

「はいっ!」

元気よく返事を返したアリサは、その小さな足をそっと差し出した。

「どうですか?」

「えぇ、よく似合ってるわ」

「わぁ、ありがとお姉さま!!」

アリサは嬉しそうにぴょんぴょん跳ねている。

「ふふっ、喜んでくれてよかったわ」

「お買い上げありがとうございまーす」

こうして私たちの買い物は終了した。

次はどこに行くんだろうと思っていると、アリサが一つの店の前で立ち止まった。

そこはアクセサリーショップだった。

「あら、可愛いものがたくさんあるわね」

「はい!どれも凄く綺麗ですよ!」

アリサは目を輝かせながら店内を見渡している。

そんなアリサを見ながら、私はひとつのネックレスに目がいった。

それは銀色に輝くチェーンに、青い宝石が埋め込まれたもの。

私は吸い込まれるように手に取った。

「アリサこれはどうかしら?」

そう言ってアリサに見せたのは、アリサのつけていた青色の髪飾りと同じデザインのものだった。

「お姉様が選んだものならなんでも嬉しいです」

アリサは笑顔で答えてくれた。

「そう、それじゃこれにしましょうか」

「はい!お姉様」

こうして私の買い物も終了した。

その後、私たちは夕食を食べ終え部屋へと戻ってきていた。

「今日も楽しかったわ、ありがとうね」

「いえ、お礼を言うのは私の方なんですよ。本当にありがとうございます!」

「また一緒に出かけてくれるかしら?」

「はい、是非!」

アリサは元気よく返事をしてくれた。

健気なアリサを抱きしめたくなる。

「アリサ、おいで」

そう言って両手を広げる。

「えへへ、お姉様大好き」

そう言って抱きついてくるアリサはとても愛おしい。

「私も好きよアリサ」

そう言って頭を撫でてあげる。

「もっとぎゅってして……」

そう言って私に体を預けてくるアリサは、甘えん坊のようだ。

「ええ、これでいい?」

「うん、ありがとうお姉様」

幸せそうなアリサの顔を見るだけで、幸せな気持ちになる。

そうしてしばらくアリサを抱きしめていたが夜も遅いのでお互い寝ることとなった。

アリサは自室へと戻っていく。

「おやすみなさい、お姉様」

去り際にアリサが言った言葉を聞き、思わず笑みがこぼれた。

「ええ、おやすみ」

アリサは扉の向こうへ消えていった。

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