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 しかし、この世界の女の子たちは皆可愛い子ばかりだ。

ミーナもとても可愛くて美しい、流石お嬢様といったところか。

俺はミーナに話しかける。

俺とミーナは放課後、カフェテラスでお茶をしながら談笑していた。

俺は紅茶を飲みながら話す。

ミーナは紅茶を飲んで一息ついてから言う。

ミーナは初等部で俺からすれば後輩にあたる。

最近はミーナとよくいる時間が増えた。

ミーナのお陰か俺の男性恐怖症もすっかり影を潜めた。

ミーナには色々話した、この世界にきてからのこと、婚約者のこと、ストーカーのこと。

ミーナはうんうんと相槌を打ちながら聞いてくれた。

「大変だったんですねぇエリー先輩も」

そういって紅茶飲むミーナ。


学園に入学してから今までのことを全てミーナに話し終えた。

ミーナは俺の話を聞いてくれていた。

俺の事情を全て知っている唯一の人物だ。

俺は元男だとミーナに告白したが、俺の元の世界の話などをするうちになんだか性別なんて関係ないくらい仲良くなっていた。

ミーナも可愛く可憐で元男だとは思えない、他人の目からすると俺もこう映ってるんだろうなぁ……。

俺の身体は女だが中身は男だ、俺は女の子の身体に興奮するような変態ではないはずだ。

俺はミーナの無邪気な笑顔を見て顔を赤くしていた。

そして俺はミーナの頼みを聞き入れた。

ミーナの願いは、俺と友達になりたいというものだった。ミーナと俺は意気投合し、今では親友と言っていいほど仲が良い。

ミーナはとても明るく社交的で誰からも好かれるような性格をしている。

これは前世によるものなのか……。

そのため俺とミーナはよく一緒にいることが多くなった。

ミーナといると楽しい。

「これからもよろしくね、ミーナ」

「はい、こちらこそですわ、エリー先輩」

俺は元男だという秘密を唯一共有している友人であり仲間であるミーナと一緒に過ごす時間が楽しくて仕方なかった。

ミーナとの時間はかけがえのないものだ。

そうして、俺は学園生活を送っていったのだった。

ある日の放課後、俺はミーナといつものようにお茶をしていた。

ミーナは紅茶を優雅に飲みながら話し始める。

俺が元男だということを知っているただ一人の人物でもある。

ちなみにミーナは俺の秘密を知っていることを誰にも話していないらしい。

それが当たり前ではあるが。

ミーナは俺の話を親身になって聞いてくれる。

俺の悩みや相談も快く聞いてくれていて、この学園で唯一の頼れる人だ。


「最近、エリー先輩はお変わりになりましたよね」

ミーナは突然俺にそう言い出した。

「そ、そうかな……」

俺は内心ドキドキしながら平静を保ちつつ答える。

ミーナにそう言われると嬉しいけど恥ずかしい気持ちになる。

「私がいうのもなんですけど特に女性らしくなられたと思いますわ」

女性らしく……それって喜んでいいことなのか……?

でもこの身体にも段々慣れてきて今では普通に過ごしている。

「それもこれもあの方のおかげですかね?」

ミーナがニヤリと笑いながら俺を見る。

あの方というのはリヒトのことだろう。

俺は少し照れながらも肯定する。

ミーナには俺が男性恐怖症だということも話してある。

しかしその男性恐怖症も今ではすっかり治ってしまった。

これもミーナのお陰かもしれない。

「私の男性恐怖症が治ったのもミーナのお陰かもしれないわ、ありがとう」

「そんな、私のお陰なんてそんなことありませんよ、エリー先輩の努力の賜物です」

相変わらずこの子は謙虚だ、俺も見習わないと。

ふと気が付くと時計は5時を指していた。

「そろそろ帰らないと」

「そうですわね、エリー先輩、馬車までご一緒しますわ」

そう言って立ち上がるミーナ。

俺もそれにつられて立ち上がり、カフェテラスを出て、ミーナと二人並んで歩く。

こうして二人で帰るのもすっかり習慣になってしまったなぁ。

そんなことを考えているとミーナが唐突に言った。

ミーナの瞳が真剣な眼差しに変わる。

ミーナはその表情のまま言った。

「あの、よろしければ今度の休み、二人でどこか出かけませんか?」

ミーナのお願いとは俺をデートに誘いたいというものだった。

俺の親友であるミーナは俺を遊びに連れて行きたいと言うのだ。

「なんだ、そんなことならもっと気軽に言ってくれていいのに」

俺は快諾した。

するとミーナもぱっと表情が明るくなって喜んだ。

「やった!嬉しい!エリー先輩とデートできるなんて」

ん?デート?俺たちは元男同士だぞ?

「デートってそんな……」

俺は疑問に思ったので口に出した。

「そうですよね、デートはちょっと言い過ぎたかな、お買い物ですね」

そういってくれて俺も心のどこかで安心した、いやミーナとならデートでも嬉しいけれど。

しかし俺が男だと知っているのにどうしてこんなに俺に好意的に接してくれるんだろう……。

ミーナと俺は、お互いの休日の予定について話し合った後、帰路についた。

次の日、俺はミーナとの待ち合わせ場所に向かう。

約束の時間より10分早く着いてしまった俺は、近くのベンチに座ってミーナを待っていた。

しばらくしてミーナが来た。

今日のミーナはいつもよりもおしゃれをしている。

ミーナは白を基調としたワンピースを着ていて、髪はいつも通り後ろで結んである。

いつもは制服姿しか見ていないから新鮮だ。

俺はミーナをまじまじと見つめてしまう。

「そんなじろじろと見ないでください……恥ずかしいです……」

そう言うミーナの顔が赤くなっている。

かわいい……。

俺は思わずミーナに見惚れてしまっていたようだ。

俺はミーナのかわいさにドキッとした。

そして同時に前世では味わえなかった感情に気付く。

これが女の子の気持ちなのかな。

そんなこんなでミーナと服を見に洋服屋へと行った。

流石は王都の洋風屋、他とは品揃えが違う。

流行のミニスカートやブラウスなど様々な品が取り揃えてある。

俺はミーナと一緒に色々と見て回った。

ミーナはとても楽しそうだ。

俺も楽しいけど。

俺が試着室に入るとミーナが話しかけてきた。

どうやら俺の服装をコーディネートしてくれるらしい。

ミーナが見立ててくれたのは黒と基調としたドレスで派手すぎず普段の街中で着ても問題なさそうなものだった。

「センスがいいのねミーナは」

「そ、そんなことないです!エリー先輩が似合ってるんですよ」

慌てて取り繕うミーナはどこか無邪気だ。

「お世辞でも嬉しいわありがとう」

「お世辞じゃないですってば」

ミーナはそう言いながら微笑む。

そうして俺とミーナはショッピングを楽しんだのだった。

ミーナと買い物をした日の帰り道。

帰りの馬車を待たせてあるので馬車の停留所へと向かう。

その途中に見慣れない幌の荷馬車が止まっていた。俺とミーナが横を通った瞬間……中へと引き寄せられた。

そのまま口を塞がれる。

「ん~!!」

ガタゴトと馬車の動き出す音がする。

まずい!誘拐だ!俺たち二人はまんまと野盗に誘拐されてしまった。

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