side 勇者#1
勇者君目線です
ちゃんとできてるか不安すぎて心臓が…
「はぁ!!」
「ギュオオォォォォォ!!」
僕が剣を振るうと、大きなカエルのような魔物は断末魔の叫びをあげて絶命した。
僕の名前は”皇 裕翔”。
一か月ほど前にここ、セルドブルム聖王国に勇者として召喚された。
喚ばれた目的はもちろん魔王討伐、健全な男子高校生ならば興奮して当然だろう。
もちろん僕も例にもれず、二つ返事でOKした。
「では、勇者殿のステータスを確認してはくれまいか。」
玉座に座り、如何にも王様然とした初老の男、”聖王マドエリス”にそういわれ、僕は鑑定石と呼ばれる水晶に手をかざした。
すると、その水晶は少し発光しモニターのような画面が投影された。
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皇 裕翔 人族 17歳 Lv:1
職業 勇者
筋力 100
体力 100
物耐 100
敏速 110
魔力 50
魔耐 50
スキル:『言語理解』『女神の加護』『取得経験値増量』『聖光魔法』Lv1『鑑定』Lv1
称号:『異世界人』『選ばれし者』『勇者』
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(すげぇ…ゲームみたいだな)
「どうですかな?そこに勇者殿のステータスウィンドウが表示されてると思うが、まず最初に名前、種族、年齢とレベルがあり、その下に勇者様の各能力値が表示されている。
続いてスキルと称号が書かれており、それが勇者様の現在の強さになるというわけだ。
スキルや称号を詳しく見たい時はそのスキル、称号を触れば詳しく見れるぞ。」
「なるほど…」
僕は試しに『言語理解』のスキルを見てみた。すると…
『言語理解』
〔どんな言語でも話せるようになる。異世界で困らないように女神が付与した〕
(おぉ、まじでゲームみたいだな)
「して、勇者殿のステータスを教えてもらっても構わないか?」
「構いませんよ。えと、筋力、体力、物理耐性が100と敏速が110。魔力と魔法耐性は50ですね。
レベルは1で職業は勇者です。」
「なんと!まだレベルが1なのに三桁とは。流石勇者殿だ!
スキルはいくつあるのだ?」
「5個ですね。」
「素晴らしい!普通スキルは1,2つなんだが、勇者殿は本当に規格外だな!
これなら魔王討伐もそう遠くなかろう。」
そういうとマドエリスは上機嫌に家臣に何かを命じた。
「さて、これから魔王討伐の為に勇者殿にはレベルを上げてもらう為魔物退治をしばらくやってもらおうと思う。そうなると仲間も必要になるだろうと思いこちらで用意した。おい、入ってこい。」
玉座の間の入り口に向かってマドエリスが声をかけると、扉が開き一人の男と、二人の女性が入ってきた。
「この者たちは王国で厳選した勇者殿の旅に同行する冒険者たちだ。
皆、勇者の仲間にふさわしい強者たちだ。勇者殿の旅に大きく役立ってくれるだろう。
自己紹介は後でやるといい。さて、儂から言うことは以上だな。
では勇者殿魔王討伐の成功、心より祈っておる。
騎士団長、後は任せたぞ。」
「はい、かしこまりました。勇者様、こちらへ。」
甲冑を纏った綺麗な金髪の美丈夫に案内され、僕は応接室と思われる部屋に来ていた。
「では、まずは挨拶を。私はこの国の第一騎士団の団長を務めています。
ゼイル・フェルトと申します。これから勇者様のレベル上げやこちらで暮らしていくために必要な一般常識などを教えていきますのでお見知りおきください。」
そういうとゼイルさんは綺麗な所作でお辞儀をした。
「さて、ではこれから勇者様にしていただくことを簡単に説明させていただきます。
明日、勇者様の現在の実力を測らせていただきます。それをもとに訓練メニューを作成していきます。
ある程度勇者様に実力がつきましたらレベル上げと実践を経験してもらうために魔物狩りをしていただきます。さて、ここまでで何か質問はございませんか?」
「えと、魔物を倒すとレベルが上がるのはなぜですか?
まるでゲームみたいな…。」
「げーむというのはよくわかりませんが魔物やその他のすべての生物には存在値というものがあります。
存在値はその生物の強さそのもので、多ければ多いほど強くなります。それを表しているのがレベルと各ステータス値です。存在値は自然に増えることはありませんが生き物を倒すとその生き物の存在値の10分の1を得ることができます。」
「では、魔物じゃなくても存在値が入ってレベルを上げることは可能なんですか?」
そういうとゼイルさんは苦笑した。
「確かに理論上は可能です。しかし得られる存在値は微量でレベルを1つ上げるだけで寿命を果たすので現実的ではありません。その点魔物は弱いものでもそれなりの存在値を得られるのでレベル上げには最適です。」
「なるほど。ありがとうございます。すごくわかりやすかったです。」
「いえいえ、仕事ですので。では明日から早速訓練が始まりますので本日はもうお休みください。
勇者様をお部屋にご案内しろ。」
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あれから侍女の方に部屋に案内してもらった。
簡素な部屋だったが落ち着いていて過ごしやすそうな部屋だった。
用意されていた部屋着に着替えベットに寝転がった。
「ふかふかだ…。」
部屋の天井を眺めていると疲れていたのか眠気が襲ってきた
「明日から頑張ろう…。」
そうつぶやき僕は深いまどろみへと意識を手放した。
お読みいただきありがとうございます。
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