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一話

『今代の勇者が召喚された』


報告が入ったのは一か月前のことだった。


この世界は三つの大陸でできており、それぞれに国が存在している。


この世界を創ったとされる女神ルヴェージュを唯一神と崇め、信仰する人族が住まう宗教国家

『セルドブルム聖王国』

獣人、エルフ、ドワーフなどの亜人たちが作った巨大な森林の中にある自然都市

『アルマルシア連邦国』

そして”神に見捨てられた大陸”と呼ばれ、土地は痩せ細り、空は濁り、そこらかしこに瘴気が漂う魔族が住まう最果ての地『ヴァルヴァラ魔境国』


この三国の間では争いが絶えず、特に、”魔族は魔物を生み出す絶対悪である”という教義のもと、魔族を積極的に攻撃する聖王国と、度重なる襲撃と、同族を殺められ聖王国を敵対視する魔境国。

両国の戦いは長きにわたり続いていた。

女神から授かる特殊な技能を使う人族。

高い身体能力と、魔法適正をもつ魔族。

戦いは熾烈を極めるも戦力が拮抗しており、両者とも決定的な一手を決めることができないでいた。


しかし、今代の魔族の王、シノニー・ルンサが”魔王”に就任したことで戦況は大きく動いた。


今代の魔王の力は歴代の魔王と比べても一線を画していた。

魔族の力は魔王の力に比例し、必然的に人族は敗戦の一途を辿っていた。


そして魔族の勝利が目前に迫っていた。


そんな時である

女神によって勇者が召喚されたのは。



『勇者』それは女神によって異世界より遣わされる人族の希望であり、切り札の呼び名である。

彼らは女神に特殊な能力や高い身体能力を与えられる。

人間の強さはスキルの数に左右されるがその取得は難しく、一生かけても数個しか手に入れることは出来ない。

そんなスキルを勇者はたやすく習得することができ、歴代最強と呼ばれる勇者は50ものスキルを手に入れていたとされている。

これまでの魔王は勇者の異常じみた成長速度と、その強さに悩まされており、いくつもの勇者対策を講じてきていた。

だが今回の魔王は……



「対策?そんなもの必要ない。

勇者などと呼ばれても所詮は人間、魔王たる私が負けるわけがない。」


とまぁ、こんな感じである。


その言葉どうり魔王は勇者の対策は一切せず、傍観していた。


その行動を後悔したのは一か月後のことであった。


「なんだ?これは」


魔王は青く光る水晶にうつる少年を指さし、

素っ頓狂な声をあげた。


「その人間はこの間ご報告致しました勇者です、魔王様。」


魔王の問いに答えたのは側に控えている、メイド服を着た少女であった。

彼女の名はリズ、魔王の側仕えの魔人である。

燃えるような赤い髪に、これまたルビーのような輝く赤さをもつ瞳。

しみ一つない透き通るような白い肌。

見るもの誰もを魅了しそうな美貌の持ち主である。


「いや、それは分かる…一か月前であったな?こやつが召喚されたのは。」

「はい、左様にございます。」


魔王は頭を抱えたくなった。

この勇者、まだまだ弱いが成長速度がこれまでの勇者と比べ物にならないくらい早い。


魔王城にある記録によると、今までの勇者は大体一か月で習得できるスキルの数は2~3個程度である。

多くても5個だ。


しかしこの勇者、すでに10個ものスキルを獲得していた。


(ありえないだろう、いくらなんでも早すぎる…通常の5倍だと?

これは対策を講じる必要が……いや待て?そうだ、何を恐れる必要がある、たかだか5倍だ…

焦る必要はない……)


「どういたしますか?」

「うむ……気にする必要はないが一応監視は続けておけ。」

「承知しました。」


(私が気にする必要はない…大丈夫だ)


次に彼が頭を抱えたくなったのはそれから一週間後のことであった。

誤字・脱字、変なところがあればお教えいただければ嬉しいです

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