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#4

ある日、お見舞いに行くと


「おめでとう、藤田さん」


と、大ちゃんが言っていた。

藤田さんの退院が決まったみたい。


「退院祝いは何がいいですかねぇ」


何気なく言った言葉に藤田さんは


「そうですね。奈美さんとデートがしたいです」


……え?何を言ってるのかな、この人は。

退院祝いってそういうものじゃなくない?

言われたことの意味をすぐには理解できず、少し呆然としていると、


「藤田さん。その気持ちわかります」


と均ちゃんが言い出した。

え?均ちゃん、何言ってるの?わかるの?


「私たちも藤田さんと同じように奈美ちゃんのことを想ってます」


あれ?三井君も何言ってるの?


「俺たちも退院したら、なみぃとデートがしたいです」


大ちゃんも何言いだしてるの?わりと恥ずかしいんだけど。

それに何?『安西先生、バスケがしたいです』みたいな?

ほら、看護師さんも笑ってるじゃない。

ていうか、看護師さんはいつの間に入ってきたのかな?

検温の時間です?今かな?今なのかな?


「で、どうですか、奈美さん。お返事をいただければ」


なかなかグイグイ来ますね、藤田さん。

でも、断る理由もないかな?


「わ、私なんかでよければ」


「っし!」


え?ガッツポーズするほどのこと?

……何泣いてるの?大ちゃん。

え?均ちゃんも?

ええ?三井君も?

藤田さんの退院で楽しい雰囲気になると思ったのに、どうしてこうなった!?


そんなこんなで藤田さんとデートを重ね、あれよあれよという間にプロポーズされました。

ホント、どうしてこうなった!?

もちろん嬉しいです。めちゃくちゃハッピーです。

でも、知り合って半年もしないのに結婚って。

まさかです。

考えもしなかった出来事です。


そうこうしているうちに大ちゃん、均ちゃん、三井君の退院の日です。

私は藤田さん、いや優さんと出迎えに行きました。


「三人とも、退院おめでとう」


「ありがとう、なみぃ。藤田さんもありがとうございます」


「実は私のほうから、お三方に言わなければいけないことがありまして」


優さんは話し始めた。

私は隣で静かに聞いていた。


「何ですか?藤田さん」


「実は、奈美さんと結婚させていただくことになりました」


結婚。まだしばらく縁のないことだと思ってたけど、やっぱり結婚するんだなぁ。

彼の口からその言葉を聞くと実感が増す。

幸せも、増す。

優さんの言葉を聞いて大ちゃん、均ちゃん、三井君は呆然としているみたい。

やっぱりびっくりするよね。

私もびっくりしてるし。


「ちょ、ま、え、ちょ、ええ?どういうこと、奈美ちゃん」


笑っちゃうくらいに動揺してる三井君。実際笑っちゃってるけど。


「落ちついて、三井君。今、優さんが言ったとおり、私は優さんと結婚することにしました」


「ゆ、優さん?」


それから私は三人の退院祝いに食事でも、と思ってたんだけど、三人ともそんな気分になれないと言って帰っていった。

そこまでショックだったんだとその時気づいた。

でも、こればっかりはしょうがないし。

今はそっとしておくのがいいと優さんにも言われたから連絡も取らなかった。


しばらくして、優さんと連絡が取れなくなった。

どこにいるかもわからない。行方不明。

優さんのご家族にも連絡をした。

警察にも相談に行った。

でも、見つからなかった。

まさか、マリッジブルー?

男の人もなるの?

とにかく不安だった。

不安で不安でしょうがなかった。


そんな私のところに大ちゃんがやってきた。

そして、ある告白を聞いた。



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