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#17

今日は友達の男の子三人と遊びに来てる。

といっても、私をいれて、まだ三人しかここにいない。

めずらしいな、三井君が遅刻なんて。何かあったのかな?

待ち合わせ場所は前にもあったちょっと離れた駅の前。

また懲りずにいつかのツーリングをするつもりみたい。


「じゃ、なみぃは俺の後ろに乗るってことで」


「ちょっ、待てよ。何で大ちゃんの後ろなんだよ。なみぃは俺の後ろだろ?」


前と同じことでケンカしてる大ちゃんと均ちゃん。

それがきっかけでチキンレースして、ケガしたの覚えてないの?

って、なんか期待した目でちらちらとこっちを見てくる二人。

もしかして、あれを言ってほしいの?


「そんな目で見ても言わないんだからね」


なんて言うと二人はあからさまにガッカリした様子。


「えー。言ってくれないの?」


「なみぃなら今度も言ってくれると思ったのに。サービス精神旺盛のなみぃなら言ってくれると思ったのに」


私って、そんなにサービス精神に溢れてるのかな?

でも、言いたくないものは言いたくないし。


「そんなこと言っても、言わないものは言わないんだからね」


「はぁ……。じゃあケンカしても無駄に体力使うだけだから、三井さんが来たらじゃんけんでもしようか」


「そうだね、大ちゃん」


いやいやいや、そんなあっさり話し合いで解決できるならケンカなんてしないでよ!

そんなことをやってると、三井君がやってきた。


「ごめん、ごめん。遅れましたー」


「遅いよ、三井さん」


「そうそう。冗談は存在だけにしてよね」


「安定の返しですね、均ちゃん。私の存在は冗談じゃないですから!」


うん。いつもの三人。いつも通り。優さんに出会う前と変わらない。


「ところで、思い出したんですけど、バイクの二人乗りって免許取ってから一年経たないと駄目なんじゃなかったですっけ?」


と三井君が言った。


「ああ!三井さん、何で早く思い出さないの!」


「そうだよ、三井さん。だから存在が冗談何て言われるんだよ」


なんて言う大ちゃんと均ちゃん。


「存在が冗談なんて言うのは均ちゃんだけですからね。でも、ツーリングはできないですね」


私もちょっと楽しみにしてたんだけどな。でも、これでケンカにならない。

よかったような、悪かったような。


「じゃあ、この決着は一年後につけよう」


「そうだね、大ちゃん。間違っても三井さんが勝つことはないから。だって、存在が……」


「冗談じゃないですから!そんな冗談、いい加減、やめませんか?」


「いいじゃない、いいじゃない。楽しいんだから。三井さんも楽しいは楽しいでしょ?」


「それは、まあ、やぶさかではないですけど」


「三井さんはいじられたい。メモメモ」


「ちょ!ま!均ちゃん!そういうことじゃないですから!」


……今日もいたって平和です。

退屈なくらい平和です。

一年後、また同じことでケンカすると思うと、いやになるくらい平和です。


その平和なことが、私は大好きです。



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