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#16

気がつくと、私は私の部屋で寝ていた。


「どうして……」


「それは俺たちが運んできたからだよ」


返事があるはずもない問いに返ってくる答え。

声のした方を見ると、そこには大ちゃんと均ちゃん、三井君がいた。


「え?どうして……。みんな死んじゃったんじゃあ……」


「存在が冗談の三井さんだけならともかく、まさか俺たちもこんなことになるなんて、思ってもなかったよ」


「均ちゃん?何度も言いますけど、存在が冗談ってどういうこと?」


「どういうこともなにも。ねぇ、大ちゃん」


「俺に言われてもわかんないんだけど」


……いつものやり取り。たしかにあの三人だ。けど、どうして?


「俺たちにもよくわからないんだ。気がついたら、みんな生き返ってたっていうか」


「そうそう。存在が冗談の三井さんならともかく、俺たちも生き返るなんて、不思議なこともあるもんだ」


「だ!か!ら!私なら生き返ってもおかしくない、みたいな言い方、やめてくれます?私も均ちゃんと同じ人間なんですから」


「三井さん。冗談は存在だけにしといてね」


「まだ言いますか!?」


……何事もなかったかのようなやり取り。あれ?みんな一度死んだんだよね?……と、そういえば、


「優さんはどうしたんですか?」


私の問いに黙り込む三人。


「ねぇ!どうしたの?」


再度聞くと大ちゃんが答えてくれた。


「俺にもわからない。気がついたら、あの場には俺たち四人しかいなかった。藤田さんの遺体も何もなかった」


……どういうこと?優さんだけどうして?


「考えられるのは、土に還ったか、もしくは、生き返ったけど姿を消したか。どちらかかな」


そう予想する均ちゃん。たしかにそのどちらかかもしれない。でも、


「何も言わずに姿を消すっていうのは藤田さんらしくない気がするから、たぶん藤田さんは……」


そんなこと言う三井君。私もその可能性が高いように思う。


「ほら、なみぃ。元気出して」


「そうだよ、なみぃ。三井さんのいうことなんだから。存在が冗談の三井さんのいうことだから」


「ちょ、均ちゃん。たしかに失言だったかもですけど、そんな言い方……」


暗い顔してたのかも。心配する三人に気を取り直しつつ、


「でも、どうして生き返れたんでしょうね?」


そんな疑問を口にした私。すると三井君が、


「たぶん、奈美ちゃんの涙で復活できたんですよ」


なんて言ってきた。そんなこと、私の涙にそんな力……


「三井さん。冗談は存在だけに、って言いたいところだけど、そうかもしれないね。なみぃの涙だからね」


「俺も信じがたいけど、なみぃの涙なら説明がつく」


いやいやいや、均ちゃんも大ちゃんも何を真面目に言ってるの?

そんなわけないでしょ?

でも、否定したところでこの三人は引くどころが押してくるんだろうなぁ。

はぁ……。優さんは結局、どこに行っちゃったのかな?



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